表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/166

97. ニャン娘な女

 

「ハロハロに、たまたま遊びに行ったら、ハナ達が、私を差し置いて、サルガタナスと遊んでるって聞いて来たのニャ!」


 メイド服を着た、猫耳族の美少女が、ハナの問い掛けに返す。

 整った顔に、茶髪の猫耳、スラッとしたモデル体型なのだが、しっかりと出てるところは出てていてグラマラス。よく見ると筋肉もしっかりついていて、アスリート体型と言った方が良いかもしれない。


「ハナ! 助けに来たよ!」


 続けて、ハナの影の中からもう1人、アンさんがヒョコッと出てくる。


「ドワーフ王、ドラクエルの娘まで現れたか……これは、分が悪いな」


 サルガタナスの体の周りに、移転スキルで逃げようとしたのか、魔力の揺らぎを感じた瞬間!


「逃がさなのニャ!」


 剣鬼ブリトニー・ゴトウ・ロマンチックが、素早く動く。


 カキン! カキン! カキン!


「なっ……!」


 塩太郎は、思わず息を飲む。

 何故なら、ブリトニーと異界の悪魔の動きが速すぎて、何人も居るような残像が見えてるのだ。


「畜生……残像しか見えやしねえのか……」


「塩太郎君。残像が見えるだけで、凄いですよ。常人には、普通、姿も追えない速さですから」


 アンさんが、塩太郎の独り言を聞いて、勝手に答えてくれる。


「ニャハッハッハッハッハッハッハッ! サルガタナス、お前、弱くなったんじゃニャいのか?」


「クッ! お前が、強くなり過ぎてるのだろ!」


 サルガタナスは、防戦一方。


「ゲホッ、ブリトニー様! サルガタナスは、我らハラダ家、ハラ家の者が倒す約束になってる筈です。ゲホッ!」


 ハナが、口から血を吐きながら、ブリトニーにサルガタナスを殺させないように言う。


「ニャ! ハナ、もしかして、サルガタナスにやられたのか! 私の大好きなハナちゃんを、サルガタナスが、痛めつけたのニャ!」


 突然、ブリトニーの魔力が膨れ上がる。


「違います! これは塩太郎殿に蹴られただけで、サルガタナスにやられた訳ではありませんので!」


 ハナが、サルガタナスのせいにしとけばいいのに、正直に、塩太郎に蹴られたと言ってしまう。


「ニャに~?コイツに蹴られただ?」


 突然、ブリトニーの怒りが、塩太郎に向けられる。


「エッ!」


 ちょっと不味い。あの猫耳は、どう考えてもヤバい。

 というか、体が鉛を付けてるように、とても重い。

 どうやら、塩太郎に対して、ガブリエルが使ってた重力魔法ってやつを、ブリトニーも使ってるようだ。


「ブリトニー様! 止めて下さい! 塩太郎殿は、何も悪くないのです!」


 ハナが、慌てて、ブリトニーを止めに入る。


「私のハナを虐めた奴は、殺すニャ!」


「ブリトニー姉様! ちょっと待って下さい!」


 アンも、慌てて塩太郎と、ブリトニーの間に割って入る。


 しかし、ブリトニーは、全く意に介さない。

 そのまま塩太郎向けて、刀を振り落としてくる。


 しかし、


 カキン!


 ブリトニーの凄まじい斬撃を、アンの大盾が受け止める。


「どくニャ! アン!」


「どきませんよ! 姫ちゃんが、やっとこさ、召喚させた勇者候補を、みすみす、ブリトニー姉様に殺させる訳にはいきませんから!」


「ブリトニー様! 塩太郎殿は、何も悪くないんです! ゲホッ!」


 ハナは、ブリトニーに懇願しながら、再び口から血を流す。


「なっ! また、ハナが血を流したニャ!

 絶対に、その男許さないのニャ!チ〇コスライスしてから、体の皮を剥いで、干物にしてから食ってやるニャ!

 きっと、旨み成分がたくさん出て美味しくなるのニャ!」


 ヤバい。ヤバ過ぎる。人間を干物にして食べるって、どんだけ干物好きなんだよ。

 確かに、干物にしたら美味しくなるかもしれんけど、それを人間でやろうとするなんて、どんだけ滅茶苦茶なんだ。


 とか、しょうもない事を、思わず考えてると、


「ちょっと! アンタ! ウチのルーキーを干物にするって、舐めてんの!」


 ずっと、遠くで観戦してたシャンティーが、いつの間にか近くまで来ていて、サディスティックサイコニャン娘のブリトニーに言い放つ。


「ゲッ! 腹黒シャンティー……」


 何故か、ブリトニーの手が止まる。


「アンタ! ウチのルーキーをこれ以上虐めたら、初めてアンタと会った時と同じように、また、タコ殴りのボコボコにしてやるわよ!」


「そ……それは、ちょっと、嫌だニャ……」


 異界の悪魔サルガタナスとの戦いでさえ楽しんでいたブリトニーが、心なしか、ブルっている。


 というか、このヤバ過ぎるニャン娘を、タコ殴りで、ボコッただと?

 シャンティーの奴、なんて事してるんだ。


「お……お前、コイツが怖くねーのかよ……。俺なんか、足が震えが止まんねーのに……」


 塩太郎は、ブリトニーに完全にビビっている。そう、ブリトニーは、ちょっと違うのだ。

 ガブリエルもやばかったが、ブリトニーに関しては、本能が、絶対にコイツに近づいたらならないと、ずっと警鐘を鳴らし続けている。

 だって、塩太郎のまつ毛が、まるで電動歯ブラシのようにずっと高速で振動してるし。


「アンタ、自分の事を最強の侍と嘯いてる癖に、結構、ビビリなのね?」


「そうじゃねーだろ!その猫女、どう考えてもヤバい奴だろ!

 俺のまつ毛見てみろよ! 危険を察して、ずっとピクピク動き続けてんだから!」


 塩太郎は、高速でピクピクしてる自分のまつ毛を指差す。


「相変わらず、アンタのまつ毛、キモイわね……」


 シャンティーが、塩太郎のまつ毛を見て、メチャクチャ引いている。


「う……うっせーやい! 俺は、このまつ毛の特殊技能のお陰で、権謀術数渦巻く京の都で生き抜く事ができたんだよ!」


「そうなの……」


 シャンティーは引きながらも、何故か納得してくれる。


「そんな事より、何で、お前はブリトニーが怖くねーんだよ!

 どう考えても、ありゃあ、イカレ女じゃねーかよ!

 沖田とか、河上彦斎とか、人殺しを楽しむイカレ野郎共と同じ空気を感じんだよ!」


「沖田や、河上なんたらが、誰だか知らないけど、まだ、ブリトニーがルーキーだった時に、生意気だったから、シメた事があったのよ!

 それ以来、ブリトニーは私にビビってんのよね!」


「猫耳で、獣に近いからか?」


「まあ、獣人のような畜生は、最初にガツン!と、殴って、どっちか上かハッキリさせとけば、ずっと、上下関係が継続するもんなのよ!」


 もしかしたら異世界アルアルなのか、シャンティーは、さも当然の事のように答える。


「それで、あのイカレニャン娘、尻尾丸めてビクビクしてるのか?」


「そういう事よ!」


 何故か、シャンティーはエッヘン!と、胸を張る。


 どうやら、腹黒シャンティーの威光は、激ヤバサイコニャン娘、ブリトニー・ゴトウ・ロマンチックにも、有効であるようだった。


 ーーー


 面白かったら、☆☆☆☆押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ