87. 黒いタコ
シャンテーを軍師にした『犬の肉球』『犬の尻尾Dチーム』連合軍は、予定通り、異界の悪魔サルガタナス率いる軍団に攻撃を仕掛ける。
ん? そのまま突っ込んでいいのかって?
相手も、高位の異界の悪魔なので、最初から『犬の尻尾Dチーム』が尾行してるのを知っていた筈なので今更なのだ。
「作戦通り、異界の悪魔サルガタナスと、その他の奴らを引き離すわよ!」
現在、塩太郎達パーティーの中で、異界の悪魔に傷を負わせる事が出来るのは、聖剣 政宗を持ってる剣姫ハラダ・ハナだけ。
しかしながら、他のメンツでも、異界の悪魔を吹っ飛ばせる事ぐらいは出来るのだ。
「防御力50パーセントup、攻撃力50パーセントup、素早さ50パーセントup!オールエンチャント!」
光の妖精シャンテーが、パーティー全体にエンチャントを掛ける。
本来なら、こんな大掛かりな魔法を掛けるには、長い詠唱と膨大な魔力量が必要なのだが、エリスの使い魔であるシャンテーは、その辺の所を、全てエリスの高純度で質の良い魔力で補ってしまえる。
それによりシャンテーは、ただの高位妖精なのに、神獣並の魔法が使えてしまうというカラクリである。
「これは有り難い! ワシが前回、サルガタナスと戦った時は、攻撃力、防御力20パーセントのエンチャントしか受けれんかった!
素早さまでプラス50パーセントなら、全盛期の力が出せるというもの!」
スエキチ爺さんが、俄然ヤル気になっている。
「それでは、サルガタナスに向けて斬撃波と魔法攻撃! 撃てーー!!」
シャンテーに号令により、有無を言わせず、異界の悪魔サルガタナスに向けて全集中攻撃を仕掛ける。
異界の悪魔サルガタナスは、避ける事も出来ず、そのまま続く廊下の奥に吹っ飛ばされる。
「初撃の作戦は成功よ!
予定通り、ハラダ家、ハラ家はそのままサルガタナスを追撃!
ムネオは、サルガタナスとその他の敵の間に位置して、私とエリスを守りなさい!
その他の者達は、サルガタナス以外の敵を倒すのよ!」
「「了解!!」」
シャンテーの指示を聞いて、塩太郎達は、素早く配置につく。
サルガタナスは、結構、飛ばされていて、塩太郎達から50メートル先ぐらいに飛ばされている。
まあ、真っ直ぐな長い廊下がある場所を狙って攻撃を仕掛けたので、作戦通りなのだけど。
そして、シャンテーは、少しだけサルガタナス寄りの塩太郎から見て35メートル付近に位置している。
シャンテー達がサルガタナスに近い所に位置してるという事は、それぐらい近付かないと、ハラダ家、ハラ家の侍のHP管理が出来ない事を意味している。
多分、思っていたより、異界の悪魔サルガタナスを吹っ飛ばしてしまったのだろう。
「塩太郎! アンタ、分かってないと思うから言っとくけど、アンタ達の援護は遠くて出来ないから、そのつもりで頑張んなさいよ!」
シャンテーが、大声を出して一々言ってくる。
「分かってるわい! お前なんぞ居なくても、俺は古都京都で、最強の人斬りと言われた男だぞ!
本来なら、俺一人でもこんな奴ら大丈夫なんだよ!」
塩太郎は、4匹の敵に向けて木刀を抜く。
「て! 貴方、何で木刀なのよ!」
塩太郎の木刀を見て、ハラ君に噛み付いていた女魔術師が、塩太郎にイチャモン付けてくる。
「一々、うるせぇー女だな! こんな奴ら木刀で十分なんだよ!」
「うるせぇー女って……」
なんか、魔術師の女が、塩太郎の言動に呆気に取られている。
「シャンテーもお前も、ギャーギャーうるさすぎんだよ!」
「何なの!アナタ、どんだけ口が悪いのよ!」
「うっせー! お前も大概だろうがよ!」
「キィ~! ムネオ様とチェンジお願いします!」
なんか、魔術師の女が、シャンテーに向かって何か叫んでいる。
アホな女は、ほかっといて、塩太郎は自分達の戦力と敵の戦力を確認する。
こちらの味方は、塩太郎を含め、盾役が2人に、魔術師が2人、回復役が2人の合計7人。
一方、敵は、見覚えのあるタコ侍?4匹。
しかも黒い。
塩太郎のまつ毛が、危険を感じてか、久しぶりにピクピク動いている。
「何か、ヤバそうなタコだな……」
「コイツらは、タコ侍キングですね……しかもユニーク種」
塩太郎の独り言に、盾役の兄ちゃんが答えてくれる。
「紫色のタコより強いのか?」
「紫より、比べ物にならないくらい強いですよ! こちらはキングで、しかもユニーク種ですから」
「というか、コイツら、腕が8本あるのに、刀を1振りしか持ってないのは何でだ?」
「だから、ユニーク種だからです!
噂によると、異界の悪魔サルガタナスが使う流派をマスターしてるらしいです」
物知りの兄ちゃんが、何でも答えてくれる。
「異界の悪魔サルガタナスと同じ流派って事は、ハラダ家とか、ハラ家と同じ流派って事か?」
「ですね。ハラダ家と異界の悪魔サルガタナスは、一応、同門と言われてますので」
「そいつは、おもしれーな!
そのうち、ハナとも勝負して、剣神の称号を奪うつもりだったし、練習相手として申し分ねえじゃねーかよ!」
塩太郎は、俄然ヤル気になる。
しかしながら、このタコ侍キングとの死合によって、知らなくても良い事に気付いてしまうとは思いもしなかったのだ……。
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