表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/166

6. 傷を負った男

 

「何で、かかってこねーんだよ!」


 塩田郎は、焦っている。


 何故なら、両まつ毛が、全力でピクピク動いてるから。

 タコ侍の背後から、もう1匹、別のタコ侍が近づいて来てるのだ。


「チッ! しょうがねー」


 塩田郎は、覚悟を決める。

 1匹相手なら、まだなんとかなるが、2匹となると、てんで自信が無い。

 それなら、1匹だけでも、最初に倒すのが得策。


 塩田郎は、すぐさま、自分からタコ侍の間合いに入り、そして、居合の構えから、一閃!


 スパン!!


「……ん? てっ!? えぇぇぇぇーー!!」


 塩田郎の斬撃は、対面してた背後のタコ侍を纏めて、2匹とも斬りさいていた。


「なんで?!」


 塩田郎は、いつも通り踏み込んだつもりでいた。

 それなのに、自分の想像より、3メートルも先に踏み込んでおり、自分が想像してたイメージの3倍速く、そして、3倍の威力でタコ侍を斬りさいたのだ。


「一体どうなってんだ?」


 塩田郎は、全く気付いてない。

 レベルが25に上がり、この世界でも使える者が稀な闘気を、何気に習得して強さが跳ね上がっている事を。


 そして、もう1つ。実を言うと、SSSSダンジョンの下層に居る魔物は、会心の一撃か、闘気を使わないと倒せなかったりする。


 最初の一匹目は、居合切りによる会心の一撃。(どうやら、この世界では、塩太郎の居合切りは、会心の一撃と認識されるらしい)


 そして、今の一撃は、居合切りによる会心の一撃、プラス、闘気での一撃。


 塩田郎は、本当にたまたま、タコ侍をやっつけていたのである。


 もし、最初にタコ侍と相対した時、居合切りを使ってなければ、多分、攻撃を弾かれて負けていた。


 偶然に偶然が重なり、塩田郎は、SSSSダンジョン下層を生き延びていたのだ。


 じゃなければ、この世界の住人でも、攻略するのが難しいと言われている、SSSSダンジョンの下層で生き残れない。


 そもそも、Lv.1の人間が、会心の一撃を連発できないし、Lv.1の人間が、闘気をマスター出来ない。

 塩田郎が、幕末伝説の人斬りだったので成せた技。


 まあ、そんな人間を選んで、紫の悪魔は、佐藤 塩田郎を異世界に送りこんだのだと思うけど。


 そして、お約束のレベルアップの時間。


 ティロリロリ~ンLv.26になりました。


「またかよ! 敵を倒すと、頭の中で鈴の音が鳴るルールなのか?!

 だとしたら、とんだ罰ゲームだぜ!」


 ティロリロリ~ンLv.27になりました。

 ティロリロリ~ンLv.28になりました。

 ティロリロリ~ンLv.29になりました。

 ティロリロリ~ンLv.30になりました。

 ティロリロリ~ンLv.31になりました。

 ティロリロリ~ンLv.32になりました。


「今回は早かったな。まあ、不快な音だから、早く終わるに越した事ないけどな!」


 この時の塩田郎は、近い将来、この不快な音が、待ちどうしくて仕方が無くなるとは、思いもよらなかった。



 ーーー


 この階層を徘徊してから3日目。

 因みに、塩田郎は、洞窟の中に居ると思ってる。


 鈴の音も滅多に鳴らなくなり、タコ侍も難なく倒せるようになった頃、


「チッ! しまった……」


 塩田郎は、油断からか、左腕に傷を負ってしまった。


「糞っ! 消毒用の焼酎ぐらい入ってねーのかよ!」


 塩田郎は、魔法の鞄の中をまさぐりながら、イラつく。

 この大した事ない傷が、致命傷となる可能性もある事を、よく知ってるのだ。


 消毒しないで、そのまま放っておくと化膿する場合もあるし、血を流し過ぎると死んでしまう可能性も有る。


 塩田郎は、そんな奴らを、殺伐とした空気が流れる幕末京都で、ごまんと見てきた。

 まあ、塩田郎自身も、一度、血を流しすぎて死んでるのだけど。


「チッ!有るのはロープだけかよ」


 塩田郎は、応急処置で、左腕の上の方をキツく縛る。


「まあ、利き腕の右腕じゃなくて、良しと思うしか無いな……」


 とか、思ってる合間に、まつ毛がピクピク動く。


「チッ! どんだけいやがるんだ。本当にゴキブリ並に湧いて出やがるな……」


 幕末出身の塩田郎は、知らない。

 ダンジョンあるある。ダンジョンでは、魔物が次から次へと湧いて出る事を。


 塩田郎は、たくさん倒せば、そのうち敵が居なくなると思っているのだが、塩田郎が殺した分は、キッチリ補充されるので、何時まで経っても、敵は減らないのだ。


 なので、このダンジョンを脱出するまで、永遠と、倒しては湧くの無限ループ。


「糞っーー! 眠いし、痛てー!敵が直ぐに湧いて出やがるから、休憩も出来ねー!」


 とか、無駄に多くなった独り言を言いながら、永遠とも思えていた、迷路のようなダンジョンを歩いてると、


「ん?! アレは何だ? 出口か? いや、扉?」


 塩田郎は、石畳の廊下の向こうに、今まで見た事が無い、豪華な扉を見つけた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] いや幕末の人がルールとか罰ゲームとかもう設定もクソもないでしょうよ…… あと元暗殺者のクセに口数多過ぎ なんで素人ラノベ作家は独り言ブツブツマンばっか書くかねぇ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ