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54. 感極まる男

 

 本編に戻り、ヨネンが語った最強の侍という言葉を聞いて、塩太郎が感動してる場面から。


「塩太郎……アンタ、何、涙目になってんのよ……」


 シャンティーが、怪訝な顔をして塩太郎に話し掛けてくる。


「エッ……何言ってんだよ……」


 塩太郎は、急いで涙を拭う。


「どう見ても、泣いてるじゃない?」


「違うちゅーの! これは、目にゴミが入ったからであって、絶対に泣いてない!」


「はい。はい。そういう事にしときましょ!」


 シャンティーは、メチャクチャ呆れている。

 どう見ても、塩太郎は感動してるし。


 シロと、シロのご主人様なる人物が、あの人斬り群雄割拠の幕末で、塩太郎を見つけ出し、しかも、塩太郎の事を、最強の侍だと信じて、この異世界に送り出してくれたのだ。


 あの時代、塩太郎より劣る、二流の人斬りが有名になっていくなか、塩太郎だけが、誰にも気付かれず取り残されてく感覚……。

 有名になってみたい。しかし、超一流の暗殺者が、顔を知られる訳にはいかないという葛藤……。


 そんな全ての、取り残されてく感覚、葛藤を、

 シロとシロのご主人様なる人物が、幕末京都で、塩太郎を見つけ出し、しかも最強の侍だと認めてくれたという事実が、今まで塩太郎の心の中で燻ってた、全てのモヤモヤを吹き飛ばしてくれたのだ。


「アンタ、今度は、突然ニヤケだして、凄くキモイんだけど……」


「ニ……ニヤケてなんか、ないやい!」


「あの……もうそろそろお店の中に、入ってくれませんか……ドワーフ王国直営店は、一応、高級店なので、店の前でワチャワチャされると、他のお客様にも迷惑掛けてしまいますので……」


 暫く、静観してたヨネンが、タイミングを見計らって、塩太郎達に提案する。

 確かに、ステンドガラスをディスったり、泣いたり、ニヤケたりしてる客が、店の入口付近にずっといたら、迷惑極まりない。


「ワチャワチャって、アンタ……今日の私達は、ムネオの頼んでた大盾を取りに来た客なのに、それが客に対する態度なの?」


 人に命令されるのが嫌いなのか、シャンティーがヨネンに食ってかかる。

 もう、ここまでくると、完全に輩だ。


「客? あの、僕、ついさっき、シャンティーさんに1億マーブル毟り取られたんですけど……」


 流石に、先程、シャンティーに1億マーブル毟り取られてた事を、根に持ってたのか、ヨネンが、ボソリと言い返す。


「それは、私が、350年間も精神的苦痛を受けた、賠償金でしょうが!」


「で……ですけど……」


 なんか、シャンティーがヒートアップしてる。

 本当に、何でもイチャモンを付けて、金を毟り取るヤクザにしか見えない。


「シャンティー殿、もうこの辺で……。私も、ドラクエル殿に作って貰った大盾を、早く見てみたいので……」


 仲裁役のムネオが、タイミングを見て割って入る。

 そう、シャンティーに意見する時は、タイミングが大事なのだ。

 タイミングを見誤ると、自分に返ってきてしまう。ヨネンのように……。


「そうね。私も実は、ドラクエルに注文してた大盾を楽しみにしてたのよ!」


 流石はムネオ。塩太郎とシャンティーの口喧嘩の仲裁役を、いつも買って出てるだけあって、見事に話を収める事に成功した。


 まあ、塩太郎とシャンティーの口喧嘩を収める事が出来るのが、『犬の肉球』にはムネオしか居ないので、仕方がなく仲裁役を買って出てるのだが、本来は、ガリム王国の元王様で、他人の口喧嘩を仲裁するような身分の者ではないのだけど。


 いつもニコニコしてるだけのエリスじゃ、口喧嘩の仲裁なんて無理だしね。


 てな訳で、ドワーフ王国直営店、ムササビ支店の店の前に訪れてから15分後、やっとこさ、店内に入れた。


「「いらっしゃいませ!!」」


 店内にいた従業員達は、戦々恐々。

 多分、シャンティーとヨネンのやり取りを、店内で耳を澄ませて聞いていたのだろう。


「あら。久しぶりに来たけど、ここの従業員って、こんなに総出で出てきて、深々と挨拶なんかしてたっけ?」


「シャンティーさんも、この店舗に来るのは、何百年振りでしょ。

 いくら長寿のドワーフ族でも、シャンティーさんを知らない新人もたくさん入ってきてますから、この機会に、ご挨拶をと思いまして」


 ヨネンが、なんとか取り繕う。

 というか、ヨネン自身もビックリした顔をしてたし。

 店内に居た従業員達が、外の騒ぎを盗み聞きして、自発的に全員集合してたようである。


 まあ、腹黒シャンティーの悪名は、ドワーフ王国直営店、ムササビ支店でも、代々語り継がれていたのだろう。

 多分、値引き交渉とか酷かったと思うし。


 因みに、シャンティーは、ガブリエルの件も有り、最近では、西の大陸は、ドワーフ王国にある本店にばかり行ってたから、南の大陸のドワーフ王国直営店では、昔から居る従業員以外は、シャンティーとは初対面なのであった。


「成程ね! これからは南の大陸を中心にして活動するから、今後とも宜しくね!」


 シャンティーは、とても悪そうな顔をしてニヤリと笑う。

 そんな腹黒シャンティーを見て、ドワーフ王国直営店ムササビ支店の従業員達は、ぶるりと、身震いするのだった。


 ーーー


 ここまで読んでくれてありがとうございます。

 面白かったら、お気に入りにいれてね!


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