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40. 執念深い女

 

 塩太郎たち『犬の肉球』が、アリエッタの背に乗って、飛ぶこと3時間。西の大陸と南の大陸の海峡を渡っていると、南の大陸の方向に巨大な街が見えてきた。


「オイ! シャンティー! なんか、滅茶苦茶デッカイ街が見えてきたぞ!」


 塩太郎は、興奮気味にシャンティーに質問する。


「アンタ、いちいち五月蝿いわね……海が見えたやら、街が見えたやら、南の大陸には一度行ってるでしょうに」


 シャンティーは、ヤレヤレと、呆れ顔。


「そんな事言ったて、前に南の大陸に行った時は、あんなデッケー街見てねーし!

 というか、江戸や京都以上にデケー街なんじゃねーか!?」


 塩太郎は、興奮覚めやまない。


「江戸や京都が、何か知らないけど、まあ、前に南の大陸から撤退する時は、ガブリエルを巻くために人が居ない場所ばかり通って来たから、確かにムササビ自治国家は通ってなかったわね……」


 シャンティーは少し考えて、合点がいったようである。


「だろ! で、このムササビとか変な名前の国は、一体、何なんだよ?

 そもそも、お前、南の大陸は全て城塞都市とか言ってなかったか?

 このムササビとかいう国、どこにも城塞のようなもの見当たらねーじゃねーかよ!」


 塩太郎は、矢継ぎ早に質問をする。

 前回、来た時?転移してきた時は、ガブリエルに追われていたので、観光する暇が全くなかったのだ。

 現在、日本人なら、「ハイハイ異世界の街ね!」で、済まされるが、塩太郎は幕末日本人、見るもの全てが、目新しいのである。


「しょうがないわね。無知な、アンタに教えてあげるわ!

 ここは、南の大陸で、『漆黒の森』に次ぐ2番目に大きい国家で、冒険者が運営する国。ムササビ自治国家よ!

 そして、城塞都市じゃないのは、周辺の魔物は冒険者によって、全て狩り尽くされてるから。

 因みに、冒険者ギルドランキングTOP10入りすれば、ムササビ自治国家の運営に関わる事が出来るわ!」


 いきなり、シャンティーが、トンデモ事実をぶっ込んできた。


「嘘だろ?その辺に居る冒険者が、国の運営を任されるって……。

 国って、天皇陛下や殿様が統治するもんじゃないのか?」


 幕末出身の塩太郎は知らなかった。

 国には、君主制の他にも色々ある事を。

 共和国やら、合衆国やら、立憲君主やら色々ある事を、幕末出身の塩太郎は知らなかったのである。


「因みに、現在、ギルドランキングTOP10の内、過半数を、ガブリエル率いる『犬の尻尾』の傘下ギルドが牛耳ってるから、もう、ムササビ自治国家は、ガブリエルの国みたいなものね!」


 ここで、またまたシャンティーが、衝撃事実をぶっ込んでくる。


「ガブリエル、ヤバすぎんだろ……」


「物凄くヤバイのよ。だから、ガブリエルに恨まれてるエリスと私は、おいそれと南の大陸に渡れなかったの」


 シャンティーは、ガブリエルに追い回された過去を思い出してか、ぶるりと震える。


「それなのに、また、南の大陸に来ちゃって良かったのか?」


 塩太郎は、ちょっとだけ心配する。

 もう一度言うが、ちょっとだけ。

 シャンティーには、SSSS未攻略ダンジョンで助けられた恩があるから、一応、心配するが、それ以上に酷い目に遭わされているから。


「まあ、前回、アリエッタにキツくお灸を据えられてたんで、暫くは大丈夫でしょ!

 ガブリエルも、赤龍アリエッタが、この世界の調停者だと理解してるようだしね。

 それに、エルフ種の王族は、もともと異世界人が大好きだから、塩太郎が怒れば、おいそれとエリスに手を出す事はないでしょうね!」


 またまたまた、シャンティーがトンデモ事実をぶっ込んで来る。


「エッ?! もしかして、ガブリエルは、俺の事が好きなのか?」


「間違い無く、大好きね! 南の大陸のハラダ家の者達も優遇してるし、異世界人、それも日本人ならお構い無しね!

 そもそもガブリエルのマスターである、ゴトウ・サイトなんて、神のように崇めてたから!」


「俺が、あんな美人に惚れられてるのか?」


「勘違いしないでよ! エルフ種は、種族的に異世界人に惹かれてしまうの!

 まあ、ゴトウ・サイトの次ぐらいには、惚れられてるわね!

 アンタの場合は、エリスにも惚れられてるけど」


「嘘?!」


「本当よ! だからいつも、アンタの後ろでモジモジしてるんじゃない!」


 塩太郎は、突然、トンデモ過ぎるトンデモ事実を告げられて動揺する。


「お前、俺の事、好きだったのか?」


 塩太郎は、後ろを振り返り、長い耳を真っ赤にしてるエリスに聞く。


「ええと、その好きだけど、ガブリエルちゃんに怒られるから、友達以上、友達以下の存在にしかなれないよ!」


「え?何それ……友達以上、恋人未満じゃなくて、友達以上、友達以下って、恋人でも友達でも無いって事じゃねーのか?」


 塩太郎、違う意味で驚愕する。


「アンタ、バカ? アンタへのガブリエルの執着見てなかったの?

 エリスが、アンタを恋人にでもしてみなさい。

 多分、アリエッタが止めても、世界を消滅させてしまうわよ!」


「えっ? 何で、世界を消滅させるんだ?」


「そんぐらい、ガブリエルは異世界人に執着してるの!

 子供の頃、異世界人であるゴトウ・サイトに救われた過去があるからか、ガブリエルは、エリス以上に異世界人への執着が強いのよ!」


「ただの、執念深い女じゃねーかよ!」


「そうよ。だから350年経っても、ゴトウ・サイトを殺したベルゼブブの復讐を諦めないんじゃない」


「怖え~」


 こんな感じで、塩太郎は、異世界主人公らしく、ハーレムルートに突入していたのだった。

 まあ、執着深い女と、友達以上、友達以下の同僚と、手が出せない女ばかり惚れられてんだけど。


 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

 面白かったら、お気に入りにいれてね!




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