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31. 疑いの目をむける女

 

 ヤリヤル城塞都市の冒険者ギルド会館は、丁度、ヤリヤル城塞都市の中央部分に位置する、石造りの無骨な3階建ての建物である。


 隣には、神龍教の教会やら、政府機関やらがあり、その3つ建物を中心として、放射線状に街が形成されてる感じだ。


 そして、そんな街の中心にあるヤリヤル冒険者会館の扉を、ガリム王国の王様であるムネオンが、勢い良く開ける。


「エッ?! 王様?」


「何で、ムネオン様が、冒険者ギルドに?!」


「誰か! 早く、ギルド長を呼んで来て!」


 ヤリヤル冒険者会館は、大騒ぎ。

 そりゃあ、国の先王がイキナリ現れたら、誰だってビックリするよね。


「はい!はい! 騒がしい!

 ギルド長なんてどうでもいいから、この子の冒険者登録をやって頂戴!」


 シャンティーは偉そうに、ヤリヤル冒険者会館の奥にあるカウンターで、職員と思われる女性に指示を出す。


「えっ?! あっ、はい。この人を……シャンティー様が自ら連れてくる人物って……」


 どうやら、流石に、女性職員も戸惑ってるようだ。

 シャンティーは、先王でさえ顎で使う人物?妖精だし、そのシャンティーが連れて来る人物なのだ。当然と言えば、当然であろう。


「フフフフフ。この子を『犬の肉球』に入れる為よ。

 そして、ムネオも、勿論入れて、『犬の肉球』の復活よ!」


「「エエェェェェーー!!」」


 シャンティーの発言に、ヤリヤル冒険者会館に居た者達が、全員、ビックリ仰天声を上げる。


「そして、この子。塩田郎を冒険者登録したら、そのまま『犬の肉球』の再登録手続きをお願いね!

 団長はムネオで、副団長は塩田郎で、お願い!」


「「エエェェェェーー!!」」


 またまた、ヤリヤル冒険者にいる冒険者達が奇声を上げる。


「あの……シャンティー様……いきなり連れて来た者を、名門『犬の肉球』の副団長に据えるって……」


「ハッ?アンタ、文句あんの?」


 シャンティーは、対応してくれている女性ギルド職員を睨み付ける。


「いえいえ! 一応、聞いただけで、決して、シャンティー様に文句など有りません!」


 女性職員は、冷や汗をかきながら否定する。

 誰だって、腹黒の二つ名を持つシャンティーを、敵に回したくないのだ。


「フン! まあ、いいわ。冒険者登録すれば、すぐに塩田郎の実力は分かるんだから!

 とっとと、冒険者登録して、昇級試験の準備もしておきなさいな!」


「それほどの……」


 受付の女性職員は、塩田郎の実力をはかるように、ジロジロ見る。


「塩田郎! このカウンターに置いてある石版に手を置きなさい!」


 シャンティーは、女性職員を無視して指示を出す。


「えっ? あっ、ああ」


 塩田郎は、突然、シャンティーに指示を出され、言われた通り、カウンターに置いてある石版に手をかざす。


 すると、石版の上空になにやら、文字が浮かび上がる。


 名前: 佐藤 塩田郎

 職業: 剣士Lv.80

 称号: 幕末最強の人斬り

 スキル: 居合一撃、闘気、斬撃波、気合い

 力:3500

 HP:1200

 MP:8200


「な……何ですか! この滅茶苦茶なステータス!

 称号持ちで、しかも、この人のスキル、剣士が持ってるスキルじゃないですよ!

 全部、剣豪スキルじゃないですか!

 それに剣士なのに、MP8200なんて破格ですよ!

 一体、この人、何者なんですか!!」


「フフフフフ。ガブリエルが異世界から召喚させた勇者候補を、南の大陸で強奪してきたのよ!」


「エエェェェェーー!! そんな事して大丈夫なんですか!

 というか、よく生きていられましたね!」


 再び、女性職員と、ヤリヤル冒険者に居合わせ冒険者達が驚愕している。


「こんぐらいの化物じゃないと、『犬の肉球』のアタッカーは、任せられないのよ!

 アンタ、分かってる?

 最初の『犬の肉球』のアタッカーは、伝説の勇者なのよ!

 それと対等になれる実力者じゃなければ、誰も『犬の肉球』のアタッカーになれないの!」


「シャンティーさん的には、この塩田郎さんが、伝説の勇者と同等な存在になれると?」


「私が鍛えたら、確実になれるでしょうね!

 だって、私って天才だから!」


 何故か、シャンティーが無い胸を反らしエッヘンとしている。


「分かりました! そしたら、直ぐに昇級試験を始めましょう! 着いて来て下さい!」


 塩田郎達は、興奮気味の女性職員に連れらて、ギルドの階段を登り屋上に到着する。


 屋上全体は闘技場のようになっていて、闘技場の周りには、観覧席まで用意されているようだ。


「塩田郎さんは、中央で試験官の指示に従って下さい!

 シャンティーさん達は、観覧席に向いましょう!」


 塩田郎は、受付のお姉さんに言われたように、闘技場中央に、一人で向かう。


 闘技場の中央には、試験官と思われる男が一人立っており、塩田郎に話し掛けてくる。


「成程。君が、シャンティー様が連れてきた者か。流石に凄いな……というか、その体に纏ってる闘気、ちょっと緩めてくれるかな……立っているのがやっとだから……」


 どうやら塩田郎は、試験と聞いて気合いが入ってたようだ。

 普段は押さえ込んでいる闘気が、ダダ漏れしていたみたいである。


「あっ! すんません!」


「大丈夫だよ! 試合が始まったら、闘気全開にしてもいいから。その代わり、僕も結界が張ってる観覧席から審判やるので、そこんとこ宜しくね!」


 審判は、そう言うと、急いで観覧席の方に走っていった。


 そして、塩田郎が闘気を引っ込め、深呼吸し、落ち着いた所で観覧席をグルリと見やると、いつの間にか、大勢のギャラリーが集まっている。

 多分、復活する『犬の肉球』のアタッカーが、どれだけの実力があるのか見に来たに違いない。


「フフフフフ。やったるか! 思えば、俺の人生、こんなにも人に見られる事なんて、一度も無かったからな。いつも、一人きりで暗殺だったし……」


 塩田郎にとって、これだけ期待された状態で人に見られる事は皆無。


 ついさっきのハマオカ王国の戦いだって、ハマオカ王国を一人で叩きのめすまで、誰も塩田郎の事なんて知らなかったし、注目もされてなかった。


「これが、期待って奴か! チョー気持ちいいじゃねーか!

 多分、高杉とかは、いつもこの期待を感じてたんだな!

 だってアイツって、いつも無駄に目立ってたし。

 だけれども、この期待に答えるのって、チョー大変だよな……失敗したら失望されそうだし。

 と思うと、ヤッパリ高杉は凄い奴だったんだな。

 アイツは、期待を裏切った事、一度としてなかったし、いつも想像の斜め上を行ってたし!

 俺も、高杉みたいにやるしかねーな!」


 やはり塩田郎は、ダンジョンで一人でいた時間が長かったせいか、一人きりになってしまうと、長文の独り言を言ってしまう癖がついてしまっているようである。


「準備はできましたかーー? 」


 観覧席から、試験官が大声で聞いてくる。


「ああ! いいぜ!」


 塩田郎も、大声で返事をする。


「そしたら、塩田郎さんの正面にある門から魔物が出て来ますので、それと同時に、試験スタートです!!」


「おおよ!!」


 塩田郎は返事をするのと同時に、気合いを入れて、闘気と殺気を全開に発する。


 しかし、待てど暮らせど、正面の門から魔物が出て来ない。


 塩田郎が、気合いを入れて待ち続けると、正面の門から、魔物じゃなく、人っポイ奴が出てきた。


「来やがったな!」


 塩田郎は、恐ろしい程の殺気を、その者に向ける。


「待って下さい! 違います!違います!

 試験用の魔物が、塩田郎さんの殺気に恐れをなしたのか、プルプル震えて、闘技場に出ていけなくなってるんです!」


 魔物飼育員ぽい男は、その場で倒れ込み、失禁しがら必死に説明する。


「エッ?どういう事だ?」


 塩田郎は首を傾げる。


「勝者! 佐藤 塩田郎! D級昇格試験合格です!

 続いて、シャンティー様の意向により、C級昇格試験も続けて行います!」


 観覧席から、試験官の声が聞こえてきた。


「何もしてないのに、次の試験?」


 どうやら塩田郎は、何もする事なく、殺気のみでD級試験に合格してしまったようだった。


 ーーー


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