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119. 冒険者ギルド会議(2)

 

「ちょっと、待った! 順位について、大いに異議あり!」


 大遅刻して現れた『鷹の爪』団長ハラ・クダシは、ブリジアに異議を唱える。


「それより、遅れたきた理由は、何か有りますか?」


 ブリジアが、トーンを抑えた冷静な丁寧語を使って、ハラ・クダシに尋ねる。


「そ……それは、ギリギリまで未攻略ダンジョンの攻略してたからで……」


 ハラ・クダシが、何故か、しどろもどろになりながら答える。

 ブリジアの、いつもの喋り方と違う丁寧語は、とても怖いのだ。


「そう。いつもと同じ理由ですか……。だったら、いつも通りの罰を与えないといけないですね!」


 ブリジアの言葉遣いは、とても丁寧だが、顔は全く笑っていない。

 その証拠に、『厄災の銀狼』の普段は、一つしか出てない尻尾が、いつの間にか9つに増えている。

 そして、その9つに増えた尻尾が、静電気か何かなのか、放電してバチバチしてるし。


「ひぇ~!お許し下さい!」


『鷹の爪』のメンバー達は、本気で脅えている。多分、これから何をされるのか分かっているのだろう。


「冒険者ギルド会議に遅刻した者がいたら、ムササビ冒険者ギルド長として、罰を与えるのが、歴代冒険者ギルド長の役割ですからね!」


 でもって、案の定、ブリジアの尻尾から『鷹の爪』のメンバーに向けて、電撃が放たれる。


 バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!


「「ぎゃああああああああああああああーー!!」」


 お約束通り、『鷹の爪』の面々は、まっ黒焦げになってしまったのだった。


 そして、またまたお約束通り、シャンティーがすぐさま駆け付けて、『鷹の爪』のメンバー達に、エリスポーションを振り掛けて復活させる。


「1本100万マーブル!4人居るから、しめて400万マーブルね!

 つけといてあげるから、次にエリスポーションを納める時に、纏めてお金を払って頂戴な!」


「すみません……」


 ハラ・クダシは、完全にぼったくりだというのに、シャンティーに頭を下げる。

 ハラ・クダシは、『一の太刀を疑わず、二の太刀は負け』という薩摩示現流の教えを体現したような、潔い男なのであった。


「で、クダシよ。異議とは?」


 騒ぎが落ち着いたのを見計らって、ブリジアが改めて、ハラ・クダシに質問する。


「『カワウソの牙』の冒険者ブレスレットを確認して下さい!」


「何故じゃ?」


 ブリジアが、訝しり質問する。


「順位が『鷹の爪』と、入れ替わってる筈です!」


「あっ……俺達、3位になっていやがる!」


『カワウソの牙』の団長のヤナトが、冒険者ブレスレットを見て、素っ頓狂な声を上げる。


 そう、『鷹の爪』は、少しでもギルド順位を上げる為に、ギリギリまで頑張ってたのだ。

 しかしながら、本来なら、このような事は絶対に起こらない。


 大体、キルドランキングの確定は、12月末日に行われ、1月になると冒険者パーティーのポイントがリセットされる。でもって、いつもなら1月の10日から15日の間に、初回の冒険者ギルド会議が行われるのだ。


 しかしながら、今回の冒険者ギルド会議は、ガブリエルが急遽招集を掛け、12月28日に行われている。


 まあ、年末に行われるので、初回の冒険者会議と纏めた方が良いんじゃないという事になり、今回だけ、特例的に、第1回目の冒険者会議が、年を越す前に行われたという流れがあったのだ。


 てな訳で、本当はまだ、正式には冒険者ランキングが確定してない。


 急遽、年末に行われる事になった冒険者会議に合わせて、暫定順位でギルドランキング10位入りすると思われる冒険者パーティーに、冒険者ギルド会議の招待状が送られる流れとなったのだ。


 まあ、今回、10位入りする冒険者パーティーは、現在、11位の冒険者パーティーと大きくポイントが離れていたので出来た対応なのだが、実際は、順位は完全に決まってた訳では無かったのである。


 でもって、『鷹の爪』は、その今回だけの方式の穴を上手く突いたのだ。


「じゃあ、俺達は、第3位の席に移動すればいいんだな?」


『カワウソの牙』の面々は、何事でもないように、第3位の席に移動する。


「エッ? それだけ?」


『鷹の爪』団長のハラ・クダシは、あまりにも呆気ない、『カワウソの牙』の対応に、呆然とする。


「エッ?何かあるのか?俺達、そんなに冒険者ギルドランキングの順位に固執してねーしな。

 というか?お前、もしかして、ゴトウ族に縁が有るハラ家の人間なのに、ゴトウ族が、中庸を良しとすること知らねーのかよ?

 だから、『犬の尻尾』も、いつも5位を狙って取ってるし、たまたま、俺達『カワウソの牙』が最近、1位取ってたのも、本当にたまたまだったんだぜ……今回、『三日月旅団』に1位を奪われたのも、そんなに気にしてねーしな!」


「そうだったたの……」


 ハラ・クダシはワラワラ震え、ガックリとその場に膝をつく。


「そうだったも何も、どう考えても、実力No.1の『犬の尻尾』が、万年5位な時点でおかしいだろ?

 俺達、『カワウソの牙』は、そもそも『犬の尻尾』の傘下ギルドなのに、『犬の尻尾』より、いつも上の順位に居るのは、ゴトウ族は、冒険者ギルドランキングの順位なんか、最初から重要視してねーんだよ!」


「『鷹の爪』の今迄の努力は……。

 ギルドランキング1位になろうと、いつも必死だったのに……」


「そんなの知らねーよ! ただ、冒険者ギルド会議に参加して、冒険者ギルドに影響力を持つ事が目的だし、順位に固執してるのは、お前ら『鷹の爪』と、冒険者ギルド会議に参加する事を国策にしてる西の大陸の『フレシア』ぐれいなもんだろ?」


「そうなの……」


『鷹の爪』団長のハラ・クダシは、他の冒険者パーティーを見渡す。


 クダシと目の会った者達は、哀れな者を見るような顔をして、無言で頷いたのだった。




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