表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

110/166

110. 思い出し泣きする男

 

「クゥ~これでやっと、剣聖になれたぜ!

 剣聖サトウ。格好良い二つ名だぜ!」


 二つ名に、異常な程の憧れを持ってた塩太郎は小躍りする。

 まあ、剣王の称号を持ってたのだけど、なにせ、剣王は、この世界に4人も居るのだ。

 特別感など、何もない。


 その点、剣聖は、この世界に2人だけ。

 レア度が、半端なく上がる。

 更に、ハラダ家、ハラ家以外で剣聖の称号を持ってる者は、佐藤 塩太郎ただ1人だけ。

 インパクトが、全然違うのである。

 しかも、現在、剣神の称号を持ってるのは、剣姫ハラダ ハナ。近頃の剣神の中では、実力が抜けていて、誰も、剣神の称号をハナから奪えないと思われているのだ。


 まあ、ベルゼブブを倒した後に、必ず、塩太郎は、ハナから剣神の称号を奪う気なのだけど。


「塩太郎、何で、そんなに嬉しがってんのよ?」


 シャンティーが、ずっとニヤニヤしてる塩太郎に、首を傾げて聞いてくる。

 そう。塩太郎は、剣王、拳王の称号を取っても、それほど喜んでなかったのだ。

 しかしながら、剣聖の称号には、表情をほころばせ喜んでるのである。


「お前、知らねーのかよ?

 剣聖ていったら、日本では、上泉 信綱、塚原 卜伝のような、伝説的な剣豪だけが持つ称号だぜ!

 それを、俺のような裏街道まっしぐらの下っ端な人斬りが、ゲットできたんだ! 嬉しく無い訳ないだろ!」


 そう。日本で、剣の達人と言えば、剣聖の称号なのである。

 その称号を得て、塩太郎の感情は爆発してしまったのだ。


「ふ~ん。日本では、剣神より良い称号なのね……」


「お前、アホか!神とか付く恐れ多い称号を、普通のただの人が名乗れる訳ないだろうが!

 本当に、この世界の住人は、軽々しく神の名を使いやがってふざけてんのかよ!」


 そう。幕末時代の日本では、人が神の名を名乗っていいのは京都の帝ぐらいのもの。

 実際、天照大御神や、スサノウとか、日本武尊とか、祖先はみんな神様だしね。


 まあ、塩太郎自身も、祖先が神様である京の帝を旗印に徳川幕府と戦っていた訳で、神の称号を名乗るのは、実はすこしだけ気が引けてたのである。


「剣聖サトウ。やっぱりしっくりくるな!」


「アンタ、本当に、どんだけ剣聖が気にいってんのよ!」


 流石のシャンティーも呆れている。


「オイ! 早くムササビ自治国家に帰ろうぜ!早く、他の冒険者達に自慢したいからな!」


「エッ?何言ってんのよ?暫く、この周辺の未攻略ダンジョンを攻略していって、ギルドランキングを上げようと思ってたのに?」


「そんなのどうでもいいだろ! 俺はムササビ冒険者ギルド本部のエントランスで、肩で風を切って歩きてーんだよ!

 俺こそが、剣聖サトウとよ!」


「何よ、それ?そんな事したい訳?」


 シャンティーが理解出来ないと、呆れて塩太郎を見る。


「お前のように、二つ名持ちには分かんねーんだよ!

 お前、なんやかんや言って、名前が売れてるじゃねーかよ!

 俺なんか巷の奴に、腹黒シャンティーのお供だと思われてんだぜ?

 ちょっと、情けなすぎんだろうがよ!」


「腹黒言うな!」


 シャンティーは、凄いスピードで突っ込みを入れる。


「だけれども、もう、あんだけムササビ冒険者本部で暴れたんだから、もう、シャンティーに喧嘩売る奴なんていねーだろ?

 俺も、そんな風になりたいんだよ!

 俺が、前の世界で、どんだけ影が薄かったか知ってんのかよ!

 ちょっと有名な二流の人斬りが、俺が誰にもバレずに暗殺した大物を、誰が暗殺したか分からない事を良い事に、勝手に自分達が斬ったと手柄を横取りしやがるんだぜ!

 人斬りが、名前売れたらやりにくというのに、アイツら自分達が斬ったと嘯いて、しかも、調子に乗ってデケーつらしてたんだぞ!

 俺が一人で飯食ってる横で、俺が斬った大物を、自分達が斬ったと嘘付いて!」


 塩太郎は、少し思い出して涙を流す。


「アンタ、何、いきなり泣き出してんのよ!」


「だから、普通に二つ名持ってた奴には、分かんねーんだよ!」


「だからって、私の計画を潰すつもり?」


 シャンティーは、剣呑な雰囲気を醸し出し、塩太郎に圧をかける。


「うるせー! 俺は、剣聖になったお披露目をしてーんだよ!」


 しかし、塩太郎も一歩も引かない。

 だって、二つ名持ちになるのが、長年の夢だったのだから。


「はぁ~仕方が無いわね。パーティーメンバーのモチベーションを上げるのも、パーティーを預かる軍師の仕事よね……」


 シャンティーは、少し呆れながらも譲歩するような態度を見せる。


「おっ! 流石はシャンティーさん!話せば分かる女!」


 塩太郎は、ここぞとばかりに持ち上げる。


「分かったわ! ムササビ自治国家に戻ってあげる!

 その代わり、1ヶ月間、お小遣い5000マーブルよ!」


「それは、無いだろ!」


「だったら、ムササビには、絶対に戻らないけど?」


「すんませんでした!お小遣い1ヶ月間5000マーブルで、お願い致します!」


 塩太郎は、ジャンピング土下座してシャンティーに頭を下げたのだった。


「仕方が無いわね。そんなに頼むなら、ムササビ自治国家に行ってあげるわよ!

 勿論、1ヶ月間お小遣い5000マーブルでね!」


「アザース!」


 分かっていた事なのだが、シャンティーにものを頼む場合、大体、お金で解決できるという事を、今回、塩太郎は深く学んだのであった。


 ーーー


 面白かったら、☆☆☆☆☆押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ