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105. 悲願を達成した男

 

 シャンティーと『鷹の爪』副団長のドワーフのオッサンの話し合いで、塩太郎とハラ・クダシが、剣聖の称号を掛けて戦う会場は、『鷹の爪』1軍が居る階層の階段フロアーと決まった。


「そういう事なので、団長達が、今居る階層のフロアーボスを倒すまで、暫く、ここで待って居て下さいませ。

 団長達が、フロアーボスを倒したら、一度誰かが、必ず、1階階段フロアーに戻ってきますので、その時に合流しましょう!」


 ドワーフのオッサンが、『犬の肉球』のメンバーに、今後の流れを説明する。


「こちらから会いにいっちゃ、いけねーのかよ?」


 塩太郎は、ドワーフのオッサンに質問する。

 そう、塩太郎は、相手の事を、最初にしっかり調べておきたいタイプなのである。


 人斬り時代も、調べれる事は、全て調べて仕事に当たっていた。

 それが、人斬りを確実に成功させる為の技。

 まあ、そもそも人斬り対象の居場所や、毎日、何処に行くかとかを調べとかないと、人斬り出来ないしね。


 それから、人斬り対象が、凄腕の剣士の場合もあるし、用心棒が凄腕の場合も多々ある。

 塩太郎的に、最初に相手の情報を知ってた方が楽なのだ。

 それぞれの所属する流派によって、剣筋に特徴もあるし、分かってるのと、分かってないのでは、やり方が変わってくるしね。


「ここで、のんびり待ってりゃいいじゃないの?」


 客人用のフカフカのソファーにゆったりと座り、完全にくつろぎ状態のシャンティーが面倒臭そうに言う。


「相手の戦い方を知ってた方が、勝率があがんだよ!

 相手が何をしてくるか予想できねーのが、一番怖いんだからな!」


「アンタ、案外、小心者なのね……まあ、確かに、相手のやり方知ってた方が得よね……」


 シャンティーは考え直したのか、『犬の肉球』メンバーの冒険者ブレスレットを回収して、ドワーフのオッサンに全て渡す。


「団長達が、フロアーボス部屋に到着する前に合流するという事ですな?」


 ドワーフのオッサンは、シャンティーに質問しながら、冒険者ブレスレットを、そのまま若い冒険者に手渡す。


「そういう事よ!」


 若い冒険者は、シャンティーの返事を聞くやいなや、移転装置が設置されてる階段の方に走っていった。


 それから、1分後。


「1軍が攻略完了してる169階層の階段フロアーのログを、冒険者ブレスレットに記憶してきました!」


 先程消えた、若い冒険者が戻ってきた。


「OK! 169階層ね!」


 塩太郎達は、若い冒険者から、169階層のログを記憶した自分達の冒険者ブレスレットを受け取り、手首にはめ直す。


「シャンティー殿。 私も同行致します!」


 シャンティーの話し相手をしてた『鷹の爪』副団長のドワーフのオッサンも、ソファーから立ち上がった。


「それじゃあ、案内、宜しく頼むわね!」


「承知!」


 ドワーフのオッサンは、力強く返事をした。


 ーーー


 そんな感じで、169階層まで転移し、『鷹の爪』一軍を追い掛ける事になった。


「こちらですな!」


 ドワーフのオッサンが、『鷹の爪』一軍のマップラーと同期化させてると思われるマップラーを見ながら案内する。


 どうやら、ドワーフのオッサンは盾役なのか、敵の攻撃を大盾で受止めながら案内してくれている。

 自分では、全く敵を倒す気なさそうなので、仕方が無く、塩太郎が敵を倒す役目を引き受ける。


「成程。団長に挑戦すると言う事あって、中々やりますな!」


 ドワーフのオッサンは、敵の攻撃を受止めながら塩太郎に話し掛ける。


「アンタも、中々やるな。アンさんには敵わないと思うけど、ムネオさんと同等ぐらいは防御力ありそうだな!」


「恐れ入ります。勇者の末裔と同等と言われるのは嬉しい事ですな!

 まあ、ムネオ殿も本来、盾職ではありませんでしょうに、それでも無難にこなすとは、流石、勇者の末裔でございます!」


「ん? ムネオさんって、剣技もイマイチで、剣王だったか、剣帝レベルと言ってたぞ?」


「普通、剣技が剣帝レベルで、盾職のレベルも盾帝レベル、尚且つ、魔法の実力も聖級魔法まで使え者など居ませんよ!

 まあ、ゴトウ族には、そんな者達がゴロゴロ居るのですが……。

 多分、ムネオ殿は、ゴトウ族である、ガブリエル様やブリトニー殿やアン姫様方が、いらっしゃらなければ、最強レベルだと思いますが、如何せん、今の時代は、ゴトウ族の劣化版となって仕舞われているのです……」


「へぇ~ムネオさんは、魔法も使えたんだな……」


「S級レベルの魔物の攻撃を受止めるには、必ず闘気を使わないと受け止められませんので、当然ですね。

 それをムネオ殿は、高いレベルでこなし、攻撃魔法も一級品ですので!」


 ドワーフのオッサンが、まるで見た事あるかのように、ムネオを絶賛する。


「なんか、オッサン。ムネオさんの事、詳しくないか?」


「それは、ムネオ殿が若い時、『鷹の爪』に所属し、私の前任の副団長まで上り詰めていたからで御座いますな!」


「嘘だろ?!」


 塩太郎は、ドワーフのオッサンのまさかの言葉に、ビックリ仰天する。


「本当でございますよ。本来は、『犬の肉球』に入りたかったのだと思いますが、ムネオ殿の実力では無理とシャンティー殿に言われたらしく、アン姫のツテを頼って、『鷹の爪』に入団なされたのです。

 最も、ムネオ殿がまだ10代で、ガリム王国の王になる前の話ですがね!」


「ムネオさん。今の話、本当かよ!」


 塩太郎は、目を輝かせて、ムネオに聞く。


「本当じゃな。まあ、昔の話じゃがな」


 ムネオは、何事でも無いように答える。


「その頃のムネオ殿は、オールラウンダーで、剣術と魔法を駆使して戦っおりましたな!」


 ドワーフのオッサンが、その当時のムネオのスタイルを解説してくれる。


「今と、全然、違うじゃねーかよ!」


「『犬の肉球』での役割は、盾役じゃからな。まあ、『犬の肉球』に求められるアタッカーのレベルに、儂は遠く及ばなかったという事じゃな!

 なにせ、前任者は、儂の祖先の偉大なる勇者様じゃからな。それと比べられては、儂とて諦めるしかなかったのじゃ! カッハッハッハッハッハッ!」


 ムネオさんは、豪快に笑い飛ばすのだが、あまり目は笑っていなかった。


「当然よ! 本当に、初代団長の勇者は、強かったんだから!

『犬の肉球』のアタッカーは、初代団長と同等か、それ以上じゃなければなれないのよ!

 塩太郎。アンタはまた、初代団長に全然届いてないけど、ポテンシャルだけ言えば、全然上だから!

 頑張って、精進しなさいな!」


 シャンティーが、話に割って入る。


「ですな。塩太郎が登場してくれたお陰で、再び、『犬の肉球』が、復活する事ができたのだ。儂からも礼を言うぞ! 塩太郎!」


 何故だか知らないが、ムネオも塩太郎に頭を下げてくる。

 というか、目尻に涙を溜めてる気がする。


 多分、ムネオにとって、『犬の肉球』は、相当思い入れがあったのだろう。

 何せ、自分の祖先である勇者が作った冒険者パーティーなのだから。


 しかし、シャンティーには、アタッカーとしては実力不足という理由で、『犬の肉球』の入団を認められなかったのだ。

 どんだけ、悔しかったのだろう。アンさんには、『犬の肉球』に勧誘してた訳だし……。


 そんな『犬の肉球』に、突然、冒険者も王様も引退した後に誘われたのだ。ムネオの驚きは、想像以上だった。しかも、得意なアタッカーではなく、盾役として。


 だけれども、そんな事は関係ない。

 ムネオが恋い焦がれ憧れた、名門『犬の肉球』の300年振りの復活なのだ。


 先祖である勇者と同じアタッカーじゃなくても、『犬の肉球』が復活して、また『犬の肉球』の名声が世間に広がる事こそが、ムネオの悲願だったのだから。


 ーーー


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