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103. 金儲けに余念がない妖精

 

「えっ! ちょっと、いいのかよ!ムネオさん!

 シャンティー、暴れだしてんぞ!」


 塩太郎は、大混雑してる受付カウンターで、禍々しい赤黒い魔力を発して怒声を出してるシャンティーに慌てふためく。


「もう、遅いじゃろ……今更、行っても、ワシらに出来る事などないと思うぞ?」


 一応、名前だけの『犬の肉球』の団長であるムネオが答える。


「ていうか、冒険者ギルド本部なんかで暴れたら、『犬の肉球』の名声が落ちちまうんじゃねーのかよ!」


「名声もなにも、今じゃ、『犬の肉球』など、南の大陸では誰も知らんじゃろうが。

 まあ、悪名は、名声に勝ると言うじゃろ?

 今は、兎に角、南の大陸でも有名になる事が肝心じゃ。

 それから、これで再びシャンティー殿が有名になれば、もう一々、『犬の尻尾』に絡めて、シャンティー殿をディスってくる輩もおらんくなるじゃろ」


 ムネオは、達観した仏のような顔をして、塩太郎に諭すように言う。


「今回は、これからアホな奴らに絡まれなくする為の布石というか、これ以上、シャンティーの犠牲者を出さないようにする為の生贄という事か?

 まあ、今回、シャンティーに殺られる奴らは可哀想だけど……」


「じゃな。流石に冒険者ギルド本部で、何十人か殺したら、金輪際、『犬の肉球』というか、シャンティー殿にちょっかい掛けてくる奴は、おらんくなるじゃろうて!カッカッカッカッカッ!」


 何故だか知らないが、ムネオは大笑い。


「笑うところか?」


「笑っとらんと、やっとれんじゃろ?」


「まあな……」


 てな感じで、30分後。


 極大魔法三連発で、冒険者カウンターの近くにいた奴ら80人を殺して、エリスポーションで生き返らせては、殺しの必殺コンボ3連発。

 人殺しをしながら、ぼろ儲けのいつものパターンで、一応、収拾。


 腹黒シャンティーを、元々知ってたと思われる、エルフやドワーフなどの長寿種の冒険者や受付嬢などは、何も言わずに一目散に避難し、チャッカリ被害を間逃れたりしている。


 無駄に注意し、トバッチリを受けたく無かったというのが、正解のようだ。

 何か注意とか言ってしまうと、因縁付けられて、逆に金を取られる事をよく分かっているみたいだし。


「終わったようじゃな」


 ムネオが、ポツリと呟く。


「まあ、これでムササビ自治国家では、『犬の肉球』は、絡まれなくなるな……というか、避けられようになるな……」


 ちょっと、塩太郎は悲しい気分になるのだった。


 てな感じで、シャンティーはしっかりと、移転小屋のリフォームと掃除の約束を取り付けて、ルンルン気分で塩太郎達の元に戻ってきた。


「やったわよ! 冒険者ギルドの職員に、移転小屋の掃除とリフォームの約束取り付けてやったわよ!」


 シャンティーは、ドヤ顔で言い放つ。


「それより、『鷹の爪』の居場所は分かったのかよ?」


 そんなシャンティーの話をスルーして、塩太郎は、元々の本題の話をする。


「『鷹の爪』って、そんな事より、移転小屋のリフォームの方が大事でしょうが!」


「リフォームは、ついでだろうが!俺は早く、ハラダ・ハナに挑む為に、剣聖になっておきたいんだよ!」


「本当、人が良い気分になってたのに、水をさすわよね……。一応、『鷹の爪』の事も聞いておいてあげてるから、安心して着いてきなさいな」


 シャンティーは、手をヒラヒラさせながら、とっとと再び、冒険者ギルド内の移転魔法陣部屋に入っていったのだった。


 そして、ワッシーとワシ子を預けていた厩舎に寄って、再び、空の旅をする事、30分。


『鷹の爪』団長、剣聖ハラ・クダシが居ると思われるSSSSS未攻略ダンジョンに到着したのであった。


 ーーー


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