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アグリニオン戦記  作者: 田丸 彬禰
第二十七章 ある大国の死 そして再生復活
307/376

こちらの事情と彼方の事情  

 圧倒的な兵力を擁していることからこの世界最強とも言われていたアストラハーニェ軍がわずか百日、正確には百二十四日で全面崩壊した今回の戦いは多くの教訓を残した。


 まず、挙げなければならないのは、魔術師の重要性とその戦術であろう。

 もちろん、これまでも魔術師は戦いにおいて重要は要素であると認識されていた。

 だが、それはあくまで補助的立場であり、剣士こそ戦いの主役。

 それがこの世界の軍幹部の認識であった。


 ところが、今回の戦いで魔族軍は魔術師数が敵に上回っただけで十倍以上のアストラハーニェ軍相手に圧勝したのだ。

 しかも、勝者となった魔族軍を指揮したコンシリアのもとに配された魔術師はアリストやフィーネ、デルフィンのような特別な才を持つ者ではない。


 魔術師の数を揃えることこそ勝利への近道。


 戦いの中心に魔術師を据えた戦術を構築すべきという認識を魔族軍幹部が持つようになったのだ。


 これは勇者やグワラニーの戦い方の後追いのようなものであるのだが、これまで異端とされたものが王道へと進む形にきっかけになる。

 もちろんそれがはっきりとわかるのはもう少し先のことになるのだが。


 そして、もうひとつ。

 いわゆるオールドスタイルの攻撃魔法の再評価である。

 この世界における攻撃魔法のトレンドは、簡単にいえば、魔法自体を飛ばし相手に到達したところで発動させるというもの。

 そのため、魔法が発動する前に自身の防御魔法、それから相手の防御魔法をすり抜けなければならない。

 当然ふたつの防御魔法をすり抜ける過程で魔力が減衰される。

 ほぼ同等の能力を持つ者が最高級の防御魔法展開する中での攻撃は相手に届かないのはこのためである。

 もちろん目標を覆い魔法を発動させるのこの魔法は実際に発動するまで攻撃魔法を使用したのかわからないという利点があり、相手に常に防御魔法を展開させ、魔力を消費させるという利点があるのも事実であるのだが。


 一方、オールドスタイルの魔法は、わかりやすく言えば魔法を使って手元で生成した火球や氷槍を飛ばす物理攻撃の一種であり対魔法用の防御魔法では勢いを衰えさせることはない。

 もちろん、こちらはこちらで問題はある。

 発生から到着まで相応の時間が必要となるので、相手は対抗魔法と呼ばれる魔法で物理的に相殺することで防ぐことができるのだ。

 むろん、風系魔法、雷系魔法に関しては、対抗魔法は存在しないのだが、扱いが難しいため、大部分の魔術師が使用するのは相反関係にある炎系魔法か水系魔法のどちらか。

 やってくるものさえわかれば、十分に対抗できるというわけである。

 だが、それは魔術師の数がほぼ同数の場合であって、攻撃側の魔術師の方が多くなった場合にはわかっていても完全に防ぐことはできない。

 これは別の世界にある飽和攻撃と同じ理屈である。

 今回の戦いではそれが有効な攻撃方法であることが証明されたのだ。


 実をいえば、これが再発見、または再認識されたのはミュランジ城攻防戦のひとつである「第四次モレイアン川の戦い」だった。

 この戦いで魔術師の数が圧倒的に少なかった魔族軍はフランベーニュ軍に屈したのだが、その教訓から魔族軍幹部は他国に先駆けてこの攻撃の有用性に気づいていた。

 そして、グワラニーの魔術師狩りによって確実に魔術師の数に差がついたところでそれを実行に移したというわけである。


 教訓の生かすのは勝者よりも敗者である場合が多い。

 よく聞く話ではあるのだが、これもその一例といえるだろう。


 さて、主力のほぼすべてを失ったアストラハーニェ軍は甚大が損害を被ったのは間違いない。

 だが、失った約三千万というとてつもない数字が与える影響は軍だけにとどまらなかった。

 その七割は徴兵された者。

 

 ひとくちに徴兵といっても、全国民に対して施行されるものではない。

 まず、この世界では徴兵の対象は男性のみ。

 そこに年齢制限が加わる。

 この世界の成人年齢は十五歳。

 つまりそれ未満は対象外。

 同じように四十歳を超えた者も基本的に徴兵は免除される。

 そして、王族や貴族も当然対象外。

 となれば、その具体的な対象は十五歳から四十歳までの平民男子となる。

 そして、簡単に言ってしまえば全人口の四分の一。

 もちろん対象者全員が徴兵されるわけではないのだが、出征した者のほぼすべてが死亡。

 つまり、すべての産業の主要労働力、その多くが失われてしまったのだから影響が出ないはずがない。


 これについてグワラニーが興味深い話をしている。


「酒場で語られる英雄譚ではどれだけ兵を失っても、次の戦いでは兵の数は敗戦前と同数を維持している。だが、兵が畑で収穫できるのでなければこれはありえない話である。たとえば大敗し多くの兵を失った軍がそれを補充しようとしたときには必ずどこかで人員不足が生じる。この世界でいえば人員の供給源は農民。つまり、真っ先に農業に影響が出る。そして、そうなった場合、生産力がそのまま維持されるということはない。これが英雄譚では語られない現実である。では、どの軍もすべて職業軍人なのか?魔族軍のように。その場合、失った兵の穴埋めが徴兵制よりも困難なのは魔族軍を見ればあきらか。そうでなければ魔族軍の兵数が年々減ることもなく、当然物量攻撃に屈することなどあるはずがないのだから」


 そして、この予想外かつ災害と表現できそうなくらいの大損害によるアストラハーニェの農業人口の大幅減少はすぐさま生産量に影響する。

 特に主要穀物である小麦にはとてつもない大打撃となる。

 だが、その影響はアストラハーニェ国内に留まらない。

 というより、ほんの少し前にアグリニオンの敏腕商人に大量に売り払ったとはいえ小麦が蔵の中に残っているアストラハーニェよりもアストラハーニェの小麦をあてにしている他国の方が遥かに影響は大きいといえる。

 

 そして、その影響を最初に受けるのはアグリニオンの商人たち。

 その中でもアストラハーニェとの小麦取引の大部分に握っていたあの辣腕商人は売り上げの重要部分を占めていただけにその打撃は計り知れないものとなる。


「……小麦の輸入が出来ない?」


 アストラハーニェから言い渡された小麦売買契約の破棄という事実を持ち帰ってきたベニゼロス・プラトナスの言葉にカラブリタ商会の実質的当主アドニア・カラブリタは顔を歪める。

 もちろんすでに十年間の取引契約をしているのだから、それを盾に要求はできる。

 だが、相手を考えたらそのような道理が通るはずがない。

 そして、それよりも考えなければならないのは……。


「……問題は私たちの売り手ですね」


 そう。

 アドニアの言うとおり、カラブリタ商会はアストラハーニェから輸入した小麦を、国内はもちろん、アリターナやブリターニャにも売り渡すという契約を結んでいる。

 むろんアストラハーニェが輸出を止めたのだから売る小麦がないと言うのは簡単だ。

 だが、それで了解するのは小麦買い占めの共犯チェルトーザが仕切るアリターナ王家のみで他は膨大な違約金が発生する。

 それこそこの巨大商会が一瞬で消えるほどの。

 そうならぬためには別の場所から小麦を調達しなければならないのだが、それができない事情がこの世界にある。

 アグリニオンはもちろん、ノルディアとブリターニャ、それからマジャーラは小麦輸入国。

 さらに小麦輸出国のひとつであるフランベーニュも魔族による大規模な焼き打ちで今年は小麦輸入国に転落するのは確実。

 そうなると、残りはアリターナだけなのだが、そもそも例の騒動の発端であるアリターナが他国が困窮しているからと輸出を再開するなどあり得ぬ話。


「……まあ、相手が相手ですからその決定を覆すことは難しいでしょう。ちなみに、その決定の理由についてアストラハーニェは何と言っているのですか?」


 大きく息を吐いたアドニアは諦め顔でプラトナスにそう問うた。

 実をいえば、アドニアにはアストラハーニェが売買契約を破棄したことを強く咎めない、いや、咎めることができない理由があった。


 魔族の要請に従い、マジャーラ領からアストラハーニェ南部への魔族軍侵攻を許可を得るための魔族とマジャーラ側との交渉を手引きした。


 小麦の輸出停止の十分すぎる理由になる。


 だが、そうであれば、王都ニコラエフカに滞在していたプラトナスに輸出停止を伝えただけで帰国を許すなどあり得ぬこととも言える。


 つまり、それとは別の理由がある。


 それがアドニアの推測だった。

 そして……。


「公的には陛下の決定ということです」


 プラトナスはそう答える。

 ただし、続きはある。


「ですが、裏に手を回し手に入れた情報では、前線で軍が大敗したとのこと。しかも、その大敗は、大敗と表現するのが生ぬるいくらいの敗北で、魔族領に侵攻したほぼ全軍が全滅したというということです。その結果、働き手を失ったアストラハーニェの農業生産は大幅に落ち込む見込みということです」


 その言葉とともにアドニアの表情が変わる。


「たしか魔族領に侵攻したのは二千五百万人。それがほぼ全滅となれば、確かに破格値で売りたいくらいにあり余っていた小麦の輸出を停止しなければならないほどの事態ではありますね」


「……さらにアストラハーニェには徴兵した者が戦死した場合、見舞金がない代わりに税金免除という決まりがあります。私が知っているものが今も適用されるのであれば、戦死者が出た一家の租税は二年間なし。さらに五年間半額となります」


「それが事実ならば、国家財政にとって莫大な損出となります」


「労働者が大幅に減ることによる生産減。それに減免措置による収入減」


「これはなかなか厳しい状況ですね」


「アストラハーニェには輸出を停止は承知したことを伝えてください。いずれ輸出できるようになったらよろしくとでも言って」


「さて、アストラハーニェはそれでよしとして、ここからが本題です」


「国内分と海賊たちに提供する分については備蓄を開放すればいいでしょう。また、アリターナの備蓄については私がチェルトーザ氏に話をつけます」


「ですが、ブリターニャとフランベーニュ、それからノルディアの商会と契約したものについては別の場所から小麦を手に入れてくるか莫大な違約金を支払うかの二者択一」


「どちらを選択すべきだと思いますか?」


 そこまで一気に喋ったアドニアは目の前に並ぶ幹部たちを見やる。


「どうですか?」

「言いにくいことではありますが、アストラハーニェ産の小麦の穴埋めできるほどの余剰などどこにもありません」


 そう答えたのは側近のひとりアレキイポス・カルペシリだった。

 それに続くのはこの場にいる三人の側近のもうひとりエルピディオス・カルジッツアだった。


「残念なことですが、違約金を支払うしかありますまい」


 もちろん違約金を踏み倒すということはできる。

 だが、それをやった場合、破産は免れても商人として死ぬ。

 それどころか物理的に死ぬ可能性も高い。


 破産し一文無しになってもやり直しはできる。

 しかも、今回の場合はこちらの落ち度というより外的要因。

 ゼロから始めても十分に復活できる。


 カルペシリの言葉には初めての大損に動揺し軽はずみは決断をしないよう若い当主を諫めるような意味が含まれていた。

 だが、アドニアは、というより、アドニアの元の人格の人物はこのような理不尽な経験を何度も味わっている。

 そして、このような場合にどうしたらよいかも承知している。


 足掻けば足掻くほど穴が大きくなる。

 素直に敗北を認めること。

 それが損害を最も少なく済ませる方法。


 これがその経験から得た対処法である。


 ただし、今回にかぎり、大損にはなるが、破滅は免れる可能性が残されていた。


 白旗はそれを試してからだ。


 アドニアは薄く笑う。


 ……すべての原因をつくったのはあなたなのです。当然貸しを返してもらいますよ。アルディーシャ・グワラニー。


 悠長に構えてはいられない。

 まだアストラハーニェの小麦輸出停止の報は流れていないが、その情報が流れ出すのも時間の問題。

 なにしろアストラハーニェ産の小麦を扱っているのはカラブリタ商会だけではない。

 当然他の業者にも同様の通知はされている。

 そうなれば自分たちと同じように違約金の支払いを避けようと動き出す。

 ことが公になる前に。

 皮肉なことだが、それによって異変が気づかれるのだろうから。


「チェルトーザ氏に会いに行きます」


 そう。

 魔族を小麦の調達先と決めたものの、肝心のアドニアはグワラニーとのパイプがない。

 そうなると仲介役が必要となるのだが、アドニアが選んだのはもちろんアントニオ・チェルトーザ。


 まず、グワラニーとのパイプがある。

 さらに例の小麦調達の共犯であると同時に魔族軍のマジャーラ領からの侵攻に関してはアドニアと同じく被害者の立場。

 なによりも彼は交渉の達人。


 これ以上の人材はいないだろう。

 というより、グワラニーとの交渉テーブルへ導いてくれる唯一の人物である。


 むろんアドニアの要請に応じたチェルトーザは素早く動く。

 魔族との国境へ書を持たせた使者を送る。


 至急面会したし。


 それが文面の骨子だった。


 そして、二日後。

 グワラニーとアドニアの会談は実現する。

 アドニア側はアドニアのほかにチェルトーザが同席する。

 ただし、それは実態的なものであり、表面上はチェルトーザにアドニアに同行するというのが正しい表現となる。

 一方のグワラニー側は、グワラニー、バイア、アリシア、アンガス・コルペリーアとデルフィン・コルペリーアと、コリチーバ率いる護衛隊となる。


 アドニアの同席はグワラニーたちには連絡されていなかった。

 これはそれを理由にキャンセルされることを恐れたチェルトーザの計らいである。


 チェルトーザの隣に座る見知らぬ女性にグワラニーの視線が動いた直後、アリシアが耳元で囁く。


「……アグリニオンの女傑です。グワラニー様」


 もちろんその言葉でグワラニーは来訪者の目的を察した。

 ただし、実際にはその半分ほどだけが正解だったのだが。


 そして……。


「こちらはアグリニオン国の評議委員会議長アドニア・カラブリタです」

「はじめまして、グワラニー様。カラブリタと申します」

「ようこそ。私はアルディーシャ・グワラニー」


 短い挨拶の中でグワラニーとアドニアはお互いに相手の品定めをおこなう。

 むろんグワラニーはアリシアからアドニアに関する報告は受けており、アドニアもチェルトーザのブリーフィングで凡その人物像は掴んでいる。

 だが、それらはあくまで情報。

 自身の目で見るものに勝るはない。


 そして、それが終わったところで、グワラニーが口を開く。


「それで、そのアグリニオン国の代表が魔族の若造に何の用なのかな」


「一応言っておけば、これでも少々忙しい。話は端的にお願いしたい」


 要求があるなら、さっさと言え。


 簡単に言えばそういうことになる。

 そう。

 このとき、グワラニーはその目的を単純な報酬目当てだと思っていたのだ。

 そして、その相手であるアドニアはチェルトーザに視線を向け男が頷くのを確認すると口を開く。


「……では、端的に申し上げます」


「小麦を少々お譲りいただきたいと思います」

「なるほど」


 グワラニーは薄く笑う。


 ……さすが強欲商人。

 ……ノルディアが我が国の小麦で生き延びたことを嗅ぎつけ自分たちもそれを手に入れようというわけか。

 ……おおかたフランベーニュの小麦畑が焼き討ちにあったことで値が上がっているのだろう。


「……とりあえずお伺いしましょう?その少々とはどれくらいの量を言っているのですか?」

「十セネジュ袋二億五千万ほどになります」

「二億五千万?」


「さすがにそれは少々とは言い難いですね」


 アドニアが示した数字にグワラニーが苦笑いを通り越した表情でそう応じたのは当然といえば当然である。

 十セネジュとは別の世界での別の世界での単位で示せば百キログラム。

 その袋が二億五千万袋というのは、二千五百万トン。

 これは異世界にある某島国の小麦輸入量の約十倍と同じである。


 グワラニーの表情を見て慌てたのはチェルトーザである。


「……カラブリタ商会の当主の言葉少々足りないのでその言葉を補っておけば、この小麦買い取りは単純な金儲けとは違うのです」


「彼女と彼女の商会が生き残るために必要なものと言ったほうが適切なもの」


「そして、それにはグワラニー殿も大きく関わっているのだ」


 そこからチェルトーザが語ったのは、この世界独特の商慣行についてだった。


 大口取引の場合、基本代金は前払い。


 つまり、カラブリタ商会はアストラハーニェに最初に小麦代金を支払い、アドニア商会はその小麦を売り渡す各国の商会から代金の前払いを受けている。


 そうであれば、カラブリタ商会は小麦の引き渡しを拒否したアストラハーニェから前払い金を回収し、その小麦を売り渡すはずだった商会に前払い金を返せば話が終わるではないかと考えたくなるところなのだが、そうならないのは違約金の存在である。

 これはアグリニオンの各商会が信頼の証としておこなっているもので、前払いを要求する代わりに商品を渡せなかった場合は前払い金の返還だけではなく相応の違約金を支払うというものである。

 そして、多くの場合、それは前払い金の数十倍が設定される。


 今回の取引でいえば、カラブリタ商会は一袋あたりブリターニャ金貨十枚を違約金として設定している。

 つまり、違約金の総額はブリターニャ金貨二十五億枚。

 前払い金の返還だけでなんとかなりそうなアリターナの備蓄分を差し引いても金貨十億枚の支払い義務が残る。


 さらにアストラハーニェに支払ったブリターニャ金貨二千万枚も全額返金されるかは怪しい。


 つまり、小麦が手に入らなければカラブリタ商会は確実に破綻する。


 そう言ったチェルトーザが続いて口にしたのはその原因となるものだった。


 アストラハーニェの歴史に残る大敗北。

 その結果に農業人口の低下などによるアストラハーニェの小麦収穫量の激減と輸出停止。

 それによってアストラハーニェの小麦の大部分を扱っていたカラブリタ商会が厳しい状況になった。


 だから、その戦いの中心にいたグワラニーは自軍の勝利に貢献しながら、そこから負債を一手に背負うことになった彼女を功を報いる意味でも救わねばならない。


 それがチェルトーザが張った論陣だった。

 さすが「赤い悪魔」の長アントニオ・チェルトーザというところだろう。

 だが、その相手はアルディーシャ・グワラニー。

 そう簡単にはことは進まない。


「チェルトーザ殿の言い分とカラブリタ商会の窮状は理解しました」


 すべてを聞き終えたところでグワラニーはその言葉にこう続ける。


「ですが……」


「我が国はもちろん、私自身もカラブリタ商会が潰れてもなにひとつ困ることはない」


「たとえそれが我が軍の侵攻に協力した結果であったとしても」


 門前払い。

 または、けんもほろろ。


 そうとしか受け取れないグワラニーの言葉だったのだが、チェルトーザが感じたのはそれとは全く逆の感触だった。


 脈は十分にある。


 チェルトーザが一歩前に出る。


「……ちなみに……」


「それだけの小麦は用意できるものなのでしょうか?」

「私の手元にはないですね。残念ながら」

「では、国としてはあるということでしょうか?」

「さあ。あるかないかは言うわけにはいきません。食料の備蓄情報は国家にとって重要な機密事項ですから」


 確定だ。

 これはいける。


 自身の問いに答えるグワラニーの言葉が纏う香りを嗅ぎ分けたチェルトーザはその思いを強くした。


 チェルトーザは視線を落とす。

 

「グワラニー殿。どうにかなりませんか?」


 いかにも情に訴えるようにもう一度懇願するが、グワラニーはそれに応えず、その言葉を口にした者とは別の人物に目をやる。


「カラブリタ殿。ちなみにあなたはアストラハーニェ産の小麦をいくらで売り渡す契約だったのかな?」

「……一袋ブリターニャ金貨一枚です」

「さすが噂に違わぬ随分な儲けだ。毎回それだけの儲けを確保していれば相当な蓄えがあるのでは?」


 死者に鞭打ちが如く言葉である。

 だが、ここで激発しては終了となる。

 

 内なる感情を表情のどこにも出さずアドニアはこう答える。


「たしかに蓄えはあります。ですが、今回の違約金の支払いにはそのすべてを吐きだしても足りない。これが現状です」


「では、お隣の方にお借りしてはいかが。チェルトーザ殿はたしか公爵。当然大国アリターナの大貴族ともなれば、相当な財があるでしょう」

「借りることは可能かもしれませんが、返すアテがありません。なにしろ違約金を払うような仕事をした商会は信用がガタ落ち。その後は大口取引がなくなりますから。それに落ちぶれた商会の客は他の商会に毟り取られる。これが我が国のしきたりです。生き残っても細々と仕事を続けていくだけでとても大金を返せる状態にはなりません」


「つまり、そうならないためにはどうしても小麦が必要というわけですか?」

「……はい」


「では、あなたとチェルトーザ殿が協力して溜め込んでいる小麦を吐き出せばいいでしょう」


 グワラニーがその言葉を口にした瞬間、交渉相手のふたりの表情が変わる。


 大海賊か。


 そして、時を同じくして情報の出所を心の中で呟く。

 だが、逆にいえば、それを隠して交渉する必要がなくなるということでもある。

 チェルトーザは大きく息を吐き、それから口を開く。


「そこまでわかっているのであれば、もう一段階踏み込んで話をしましょう」


「実際にカラブリタ商会がアストラハーニェから購入するはずだった二億五千袋のうち一億袋はアリターナが備蓄として確保するもの。つまり、違約金が発生するのは残り一億五千万袋分ということになります」


 そう。

 先ほどの説明では伏せていたものをここでチェルトーザは開示したのだ。

 そして、ここからチェルトーザはギアを一段階上げる。

 それととも声質が硬質化していく。


「むろんアリターナは違約金については放棄する。だが、アストラハーニェへの代金のうちこちらが支払ったものについては返還してもらわねばならない」


「そして、アグリニオン分として我が国が備蓄しているものを放出するのは可能だが、アグリニオン国の資金で購入した小麦をカラブリタ商会の損出の穴埋めに使えるのかはアリターナ側の判断だけではできない。当然アグリニオン国の決定機関である評議会で多くの大商人の許可を取る必要がある」


 アリターナの倉庫に眠るその小麦はアグリニオン国民が窮した場合に使用するものであり、当然ウーノラスでの議決が必要。

 そして、これまでの経緯から将来の不利益を度外視し、カラブリタ商会追い落としの好機とばかりに否決される可能性が高い。


 チェルトーザの言葉はそれを暗示していた。


「つまり、やはりアドニア商会は自前で必要量の小麦を買いそろえる必要があるわけですか」


「ですが、そうであっても我が国がその穴埋めに協力する必要性はまったく感じませんね」


「申しわけありませんが」


「どうしてもダメですか?」

「協力しても我々には何の利もありませんから」

「ということは……」


「グワラニー殿に利があれば、話に乗ってもらえるということでしょうか?」


 そう。

 チェルトーザが待っていたのは、グワラニーのこの言葉だった。

 もちろんそれを掴んでも確実に欲しいものが手に入るわけではない。


 それでも、糸口は見つかった

 そうなれば、いくらでもなんとかなる。


 チェルトーザは心の中でそう呟く。


 そして、やってくる。

 その言葉が。


「一応お伺いしましょうか」


「カラブリタ商会の救済に我々が協力した場合、我々にどのような利があるのでしょうか?」


 救済の条件は出た。


 だが、これは簡単なことではない。

 たとえばこのような場合、一般的に対価として支払われる金や銀。

 だが、それはもともと魔族領から流れたもの。

 同じく貴石の類もその気になれば大海賊を経由して簡単に手に入るうえに需要が多いわけではない。

 南国の果実や砂糖、それに胡椒も同様。

 大海賊がかかわっているものはワイバーンを経由して手に入る。


 つまり、それ以外のもの。


「……情報」


 長い沈黙後、アドニアの口から漏れ出したそれが彼女が提供できる唯一のものだった。

 だが……。


「……情報」


「たしかにそれは重要だ。ですが、それはあなたが欲するものと等価のものなのですか?」


「ブリターニャ金貨一億五千枚の価値がある情報などそうはないでしょう」


 今度こそ万事休すと思われたその時だった。


「では、グワラニー様の臣下となるのはどうでしょうか?」


 それはグワラニーの隣に座る女性からの提案だった。


「臣下であれば自身に協力した者の危機を救うのは主の務めとなりますが」


「臣下。つまり、彼女が私の部下になるわけですか……」

「はい。そうなれば今まで以上に多くの情報が手に入るようになります」

「ですが、いくつか問題があります」


「もちろん彼女が信用できるのかということも大きな問題ですが、彼女が我々の配下に入るというその情報を知っている人間がこの場にいることが一番の問題でしょう。その問題を消し去るには……」


「彼女がそれを承知した場合、もうひとりは消えてもらわねばなりません。この場で」


 アリシアの言葉に割り込んでやってきたバイアの言葉が終わった瞬間、グワラニーの視線がチェルトーザへと動く。


「……たしかに」


「いえいえ。それは大丈夫です。チェルトーザ様も臣下になってもらえばよろしいだけなのですから」

「……まあ、そうであれば……」


 アリシアの提案にバイアをそう応じ、それからふたりはグワラニーを見やる。

 もちろんこの間、アドニアもチェルトーザもなにひとつ言葉を発していない。

 つまり、本人の了承なしに勝手に話を進めているのだ。

 だが、ふたりにはすでに拒否権はない。

 それを飲まなければ、アドニアは自身の商会ごと破滅し、チェルトーザは物理的に消されるのだから。

 一瞬の百倍ほどの時間が過ぎたところで、グワラニーがバイアに目をやる。


「バイアと少し話をしてくる」


 そう言ってその場を離れる。


 もちろんそれはアリシアの提案の可否についての相談。


 ふたりを配下にして小麦を供出するか、カラブリタ商会の窮地を放置し、人間界の穀物騒動を高みから眺めるか。


 それをおこなうことによる自身の利益がより高いのはどちらかということを天秤にかけたのである。

 そして、その結果は……。


 五ドゥア後、戻って来たグワラニーがアドニアとチェルトーザに目をやる。


「ふたりの身柄を確保する代わりに小麦二億五千万袋を一袋あたりブリターニャ金貨一枚で譲り渡すことにすることにする」

「二億五千万袋ですか?一億五千万袋ではなく」

「はい」


 グワラニーの言葉とともに、ふたりはその損得を計算し始める。


 むろんチェルトーザにとってこれはあきらかに赤字。

 だが、それを断れば死が待っている。

 アドニアがそれを承知した段階で自分も受け入れざるを得ない。

 では、肝心のアドニアはどうか。

 実はこの小麦の取引だけを考えれば大幅は赤字である。

 だが、それでも違約金に比べればはるかに安い。

 商会が終わるよりはるかにマシ。

 承知するしかない。


「改めてグワラニー殿に尋ねる」


「こちらに対する条件は承ったが、肝心の小麦二億五千万袋は本当に用意できるのか?」


 小麦が用意できるだけの量が魔族の国にあるのか?

 さらに用意できたとしてそれを一介の将でしかないグワラニーが差配できるのか?


 それについていえば、前者はイエス。

 そして、後者についてはほぼイエスというのが、その問いに対する答えとなる。


 そもそもの話として、魔族の国では生産された小麦はすべて国が買い上げることになっている。

 そして、販売量の調整はおこなうものの生産調整というものはおこなっていない。

 そうすればどのようなことになるのかはいうまでもない。


 グワラニーが皮肉交じりに言った言葉を流用すれば「全国民が二十年間食えるだけ」の小麦がある。

 むろん、これは大袈裟なものではあるが、その在庫は増えることはあっても減ることはなく、魔族の国にとっての問題点という点では事実を端的に表している。


 この世界の金銀の元締めであるため支払い自体が滞ることはないのだが、問題になっていたのは小麦の保管場所。

 ノルディアに泣きつかれたとき、王が相手の要求以上の条件を示したのもこの問題があったからだ。

 今回は前回以上の量が捌ける。

 さらにカラブリタ商会が窮地に陥った理由は自軍に協力した結果となれば王は了承するのは間違いない。

 そこに今回は大金をせしめることができる。


 いくつか条件が加わることはあるだろうが、供出自体の拒否はない。


 それがグワラニーの読みとなる。


 王の承認、そのための条件が追加される可能性もあり、正式な契約は少し先になるのだろうが、とりあえず核の部分だけは今ここで決めるべき。


 これがバイアの意見となる。


 そして……。


「……もちろん最終的には我が国の王の許可を取らねばならないので決定というわけにはいかないが、カラブリタ商会に一袋あたりの単価ブリターニャ金貨一枚で二億五千万袋を売るということで話を進める」


「当然のことではあるのだが、これだけの量だ。収穫時期が古いものも相当数入ることは了解してもらわねばならない」


「我が国の王には今日中に話をつけてくる。明日もう一度ここに来てもらおうか。そこで細かな契約をおこなうことにするが……」


「まずは大枠についての契約を取り交わしたい」


 グワラニーはそう言って二枚の羊皮紙を取り出す。

 これは人間と顔を合わせるときには必ず用意しているメモ用紙代わりのもので、公的文書用に比べて質が劣るものである。

 何も書かれていない羊皮紙とペンを差し出され怪訝な顔をするふたりにグワラニーはその説明をする。


「こちらには二億五千万袋の小麦を単価ブリターニャ金貨一枚で購入したいというアドニア・カラブリタの名前入りの要望書。そして、こちらには……」


「アルディーシャ・グワラニーに臣従すると書き、最後にふたりの名前を入れてもらおうか」


 ふたりがそれを書き終わると、それを握りしめたグワラニーはこの直後王都イペトスートへ戻り、王へこの一件を報告する。

 むろん、アドニア自筆の小麦買い入れ要望書とともに自身の意見を添えて。


「……わかった」


 グワラニーの予想通り王は微妙な笑みとともに大量の小麦を供出することを許可する。


「……それにしても倉庫に寝かせ鼠の餌にするしかなかった小麦を一袋あたりブリターニャ金貨一枚というとんでもない高値で売り払うとはおまえは軍人よりも商人に向いているのではないのか」


「しかも、相手が守銭奴国家第一の商人。これはなかなか痛快だ」


 そう冗談を言ったところで、表情を変えた王はグワラニーを見直す。


「だが……」


「今回は我が軍の反攻に協力したから特別に小麦を売り払ったが、次はこうはいかないと釘を刺しておく必要があるだろう」


「我が国にとって特別な利をもたらす働きをしない者に小麦を渡し、奴らの金儲けの手伝いをする気はない」


「そして、今後小麦が売れる場合となった場合でも、その商人ではなくワイバーンを通じて売る。そうすれば、こちらの金や銀の流す量が減るだろうから」


「だが、気前よく小麦を流し、人間どもが我が国の小麦に依存する体制をつくれば戦いとは別の方法で世界を支配することができる。しかも、食料は金や銀以上に影響はすぐに現れる」


「たしかに、そういう手も悪くないな」


 翌日。

 グワラニーは改めて条件を示す。


 対アストラハーニェ戦勝利に貢献したことを考慮し、カラブリタ商会に対し、我が国は十セネジュ袋二億五千万袋を一袋あたりブリターニャ金貨一枚で売り渡す。

 代金は諸事情を考慮し、引き渡しが始まる前に五千袋分、残りはすべての引き渡しが終わったところで支払うものとする。


 引き渡し場所は我が国とアリターナとの停戦線とする。


「これでよろしいか」

「もちろんですとも。ありがとうございます」


 グワラニーはアドニアを見やりながらそう言うと、生き残ることができたアドニアは大きく頷く。

 一方、チェルトーザが気になったのは自分も巻き込まれた対価についてだった。


「これでも私はアリターナ王国の貴族だ。国を裏切るようなことはできない」


「それとも私とカラブリタ嬢は移住……」


 チェルトーザが自身の言葉を止めたのはある矛盾に気づいたからだ。

 そして、その様子を冷ややかに眺めていたグワラニーはその続きを口にする。


「そう。我が国に移住するなら、そもそもカラブリタ商会へ小麦を売り渡す必要などなくなる。もちろん今まで通り生活して構わない」


「誓いを忘れずにいてくれれば」


「さて、安心したところで署名していただきましょうか」


「契約者はアドニア・カラブリアとなるわけですが、万が一、彼女が支払いを怠った場合に備えてアントニオ・チェルトーザ氏も署名してもらいましょうか。そのような場合にはあなたがこの支払い義務を負うことになりますので」


「それと……」


「こちらにも署名を……」


 詳細の説明に入ると黙って眺めるだけだったグワラニーの代わりにその場を取り仕切るバイアが続いて示したのは大量の無地の羊皮紙である。


「名前だけを書いていただきます。内容については後日こちらで書きますので」


「つまり、あなたがたが裏切り行為をおこなった場合、そこにそれなりの内容を書き加え、多くの場所に流します。そうなれば、あなたがたは自らが属する組織に抹殺されるというわけです」


 バイアは笑顔でその言葉を口にしたものの、むろんこれは完全に脅し。

 しかも、何も書かれていないため、何が書かれ誰に渡すかがわからないので相手には相当の重圧がかかる。


「もちろんこれはあくまであなたがたの裏切り行為が発覚した場合におこなうもの。せっかく手に入れたあなたがたをつまらないことですり潰す気はこちらにはありませんから」


「こちらが必要なときに必要なものを提供し、こちらにとって不利になるようなものを相手に渡さなければいいだけです」


「まあ、我々についてなにひとつ話さないことが一番でしょう」


 一見すると今回もグワラニーの圧勝。

 アドニアはもちろんチェルトーザもなすすべなしとも思える結果であるのだが、実際にそうなのかといえば、必ずしもそうは言えない。


 まず、グワラニーはカラブリタ商会に小麦を売り渡す気など全くなかった。

 つまり、ゼロベースからのスタート。

 自分自身の差し出した結果とはいえ、そこから魔族から小麦を引き出すという満額回答を手に入れたのだ。

 ふたりは魔族から小麦を調達するために交渉をおこなっていたわけなのだから、これを成功と言わずに何を成功と言うのだ。

 しかも、法外ともいえるあれだけの量を完全な形で調達できたのだ。

 完勝といって祝杯を上げる事案と言ってもいいだろう。


 では、グワラニーの実質的敗北なのかといえば、そうでもない。

 小麦を提供することによって失うものなど何もないと言っていいのだから。

 しかも、小麦の代わりにアントニオ・チェルトーザ、アドニア・カラブリタという得難い人材を手中に収めたのだ。

 当然こちらも勝者の側だ。

 もちろん魔族そのものも、肥料にするくらいにしかないもので大金と恩を手に入れたのだ。

 とても敗者とは言えないだろう。


 つまり、全員が勝者側。

 そうなるであろう。


 そして、その五日後のアグリニオン国。

 本来、この時点で沈没確定だったカラブリタ商会は圧倒的な存在感を示していた。

 まさに不沈艦である。


 アストラハーニェから小麦輸出停止。

 そして、フランベーニュの兄弟喧嘩の際に手に入れたフランベーニュとの商取引の七割を扱うという権利。


 それらはすべてが反作用的に動き大打撃を受けたにもかかわらず、カラブリタ商会は何ごともなかったかのように予定通り納品をおこなう通知を取引相手に出しそれを粛々と実行する。

 だが、カラブリタ商会とともにアストラハーニェの小麦に手を出していた商会はそうはいかない。

 違約金がネックとなり、次々と倒れていく。

 当然ではあるが、カラブリタ商会へ救済を求める者もいたのだが、アドニアは毅然としてそれを拒否する。

 むろん本来であれば、これ幸いとばかりに弱った相手を飲み込みさらに大きくなるところなのだが、さすがに今回ばかりはそれをおこなうだけの余力がなかったというところが、本当のところだろう。


 そこからさらに時間が進み、いわゆる二次倒産が多発し、それが収まったところでようやくアグリオンの商人まで巻き込んだアストラハーニェ大敗の余波は一応の収束を迎える。

 カラブリタ商会のひとり勝ち状態で。


 ただし、アストラハーニェからの輸出は消え、代替が期待された魔族からの小麦放出がない以上、翌年以降は国際的な小麦取引はほぼ消えることになると思われる。


 自給可能なのはアリターナのみ。

 ただし、輸出はしない。

 アグリニオンは例の備蓄が生き残る。

 今回の魔族軍の逆侵攻に協力したマジャーラはノルディアとともに魔族の小麦で生き残る。

 だが、農地の回復が間に合わないフランベーニュと、そもそも小麦輸入国であるブリターニャは厳しい状況となることが予想される。


 そして、ここからあらたな動きが生まれることになる。



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― 新着の感想 ―
小麦の備蓄量についてですが、魔族の国のニ十年分とのことですが、ブリターニャやフランベーニュとの人口比的に足りているのでしょうか? 人間と魔族では人口比がかなりあると思っていますが、魔族の備蓄は残るので…
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