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アグリニオン戦記  作者: 田丸 彬禰
第二章 邂逅

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付録 登場人物紹介 第二章

第二章で初登場した者の紹介となります。

若干のネタバレ要素を含みます。

アンガス・コルペリーア。

 魔族の国最高の魔術師。

 初出時、百七十八歳の純魔族。

 魔族を人間換算にする場合は、その三分の一とするのが一般的。

 この場合は五十九歳。

 老人の部類に入る。

 自身が最高位の魔術師であるとともに多数の弟子を抱えている。

 軍魔術師団長や宮廷魔術師長以上の能力を持ちながら、政治にも軍務にも関わりを持たない。

 そして、それは自身の弟子となり魔術師団に入る条件となるため、弟子たちも同じ。

 そのため有能な魔術師の大部分を失っている軍の魔術師団より数段上の魔術師が揃っている。


 ちなみに、魔族の国は人間世界と違い徴兵制を敷いておらず、軍への加入はあくまで志願による。


 国政や軍に距離を保つアンガス・コルペリーアが唯一関わりを持っているのが、「魔術師適正検査」と呼ばれるもの。

 これは魔族の国に伝わる伝説の魔道具によってその者に魔術師の能力が備わっているかを判定するのだが、その魔道具を所有しているのはアンガス・コルペリーアを含めて五人のみ。

 ちなみにそれがどのような姿なのかは本人以外知らない。

 一応、アンガス・コルペリーアが「これだ」と言ってグワラニーに見せたものは「真実の羽根=マァト」と呼ばれる白い鳥の羽根。

 そして、その魔道具のうち、アンガス・コルペリーアが所有するものは、魔力の有無だけではなくその魔力量まで判定できる優れもの。


 ついでに言っておけば、この世界では人間、魔族ともに魔力は後天的に備わることはなく、また、その魔力の量も鍛錬によって増加することはない。

 つまり、鍛錬や知識の習得でおこなえるのは、所有する魔力を百パーセント引き出すことや、その魔力を使って行使できる魔法の数を増やすこととなる。


 また、アンガス・コルペリーアらが持つ魔道具は魔族のみが所有し、人間世界には存在しない。

 そのため人間界ではその者の才が開花して初めて魔術師適正者とわかるのである。


デルフィン

 デルフィン・コルペリーア。

 人間種でグワラニー軍の副魔術師長。

 初出時、人間換算では十歳前後となる三十歳。

 ちなみに、この世界において、成人とされるのは魔族では五十歳、人間世界では十五歳である。

 美少女、いや、美幼女なので、大人が恋愛感情を持ってはいけない。

 ちなみにこの世界には「ロリコン」などという言葉は存在しない。

 だが、この「ロリコン」という単語はいずれ重大な局面でキーワードになる。


 名前からわかるとおりアンガス・コルペリーアの孫であり、父親アルヴェルダは純魔族種であるが、母親アヴィは人間種。

 そして、両親とも魔術師適正はない。

 父親は純魔族の男としては珍しく軍務にはついておらず、魔術師団の運営に携わっている。

 アンガス・コルペリーアによれば、「本人の希望などどうでもいいが、これだけ大きな組織は運営を任せられるだけの信用がおける者が必要なのだ。なにしろ私は魔法の研究に忙しい。そのような雑務に関わっている暇はないのだから」ということらしい。


 グワラニーの婚約者である。

 むろん、これは溺愛する孫娘の希望を叶えるためにアンガス・コルペリーアがグワラニーの魔術師長を引き受ける条件として出したもので、当初困惑していたグワラニーも彼女の真の力を知って、打算からその要求を飲むことにした。

 そして、その実力はむろん魔術師としての最高位の力量。

 アンガス・コルペリーアの言葉を借りれば、「勇者一行のふたりの化け物魔術師よりもさらに上」の魔力量を持ち、ふたりと比べて足りない「実戦経験」も、自身の魔術師団が持つ豊富な知識で補えるとしているが、その言葉は贔屓目から来ているものではないことはその後の戦いで証明される。


 後世の軍史によれば、個人の力で敵を倒した数が最も多いのは彼女であり、さらにひとつの戦いの個人の戦果においてもそのスコア上位十件の大部分は彼女の名が連なる。


 火、水、風、雷という四つの系統の魔法すべてにおいてハイレベルの技量を持つが、特筆すべきは多くの魔術師がその扱いに苦慮する風系魔法を得意としていること。

 また、治癒系魔法も得意であり、その技量は「死者蘇生」を行使できるフィーネを除けば最高位とされる。


 基本的に無口であり、会議などでは「かわいいお地蔵さん」状態で時間を過ごす。

 この年代の少女らしく甘いものが大好きで、それを提供してくれる女性には懐く。

 また、グワラニーを一目ぼれしたのも魔族の国の王都イペトスートの菓子屋で、どれにすべきか迷っていた彼女におすすめを教えてくれた男こそグワラニーだった。

 ただし、グワラニーの記憶からはその出来事は完全に抜け落ちている。


アンブロージョ・ペパス

 赤身の濃い茶色の髪の純魔族。

 魔族軍将軍で初出時、百十七歳。

 剣士としても軍指揮官としても非常に有能。

 「勇者候補」出現の報を聞き、自ら部隊を率いて討伐に向かうものの、アリストとフィーネの魔法により部隊はほぼ壊滅。

 残った兵を率いて勇者に最後の一撃を加えようとしたところで、グワラニーの依頼を受けたアンガス・コルペリーアの高弟に救出される。


アソテラ

 魔族の国の宮廷魔術師。


ヨアイ

 アソテラと同格の技量を持つ宮廷魔術師。

 ただし、その技量はこの世界最高位にあるデルフィンはもちろん、アンガス・コルペリーアにも遠く及ばない。

 さらにアンガス・コルペリーアの見立てによれば、自身が抱える三人の高弟よりも相当な格下ということになる。

 ただし、アリストとフィーネを除く人間界ということであれば、その実力は圧倒的なものといえる。


アルベルト・ライムンド

 魔術師長アンガス・コルペリーアはその場では口にしなかったのだが、自身がグワラニーとバイアに対しておこなった魔法講義の際に語った風変りな剣士の名はアルベルト・ライムンド。

 自身には魔法の素養がないにもかかわらず、異様というくらいに魔法に執着していたのだから十分に風変りと言えるのだが、実をいえば、この男は異世界からやってきた者。

 もう少しだけつけ加えれば、あの日グワラニーたちとともにあのバーから飛ばされた者である。

 元は大学卒業後、親の金をアテにして就職もせずオタク生活を送っていた。

 だが、こちらに来てからはなぜかそのオタクの知識とこよなく愛していたゲームキャラクターが自身の身体に実装され、とんでもない身体能力とスキルを持った無双剣士となる。

 ただし、彼がゲームの世界で使用していた魔法剣士のうち魔術師的要素は抜け落ちていた。


 せっかく異世界に来たにもかかわらず、肝心の魔法が仕えない。


 彼にとってそれは一生の不覚。

 そこでその剣の腕を見込まれて戦場から後方に回され剣士学校の師範となった彼は高名な魔術師ベルハミン・タンガラーに師事する。

 そこで彼が師に問うたのは、自身が知る魔法について。

 その多くはこの世界には存在しなかった。

 だが、それは「荒唐無稽なものであるが、それと同時に存在すれば非常に有効でもある。魔術師の新魔法の開発の際には目標とはなる」とタンガラーが将来の参考にと書きとどめたことから記録として残ることになる。


 そして、重要なのは、彼が飛ばされたのはグワラニーがやってきた時代よりも遥か昔であること。


 これによって、同じ場所から同じ世界に転移しても、明確な指定をしない場合、辿り着いた時間軸は変わるということ。

 さらに人間が転移しているにもかかわらず、グワラニーとライムンド、さらに言えば大海賊の長バレデラス・ワイバーンは魔族としてこの世界で生を受け、一方フィーネは人間として始めている。

 つまり、時間や種族は同じ条件で転移しても変わることがあるということである。

 かろうじて性はそのまま、に見えるのだが、やがて、それに反する証拠も提示される。



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