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もうひとつの邂逅 Ⅰ
マチンガにおいて、勇者チームとグワラニー双方が少しずつ手の内を明かしたあの日からしばらく経ったある日の魔族の王都イペートスート郊外。
午後におこなわれる会議の準備も終わり、自らの屋敷の窓から外を眺めるグワラニーの横に立ち、同じ光景を眺める男が声をかける。
「騎士団長に特進されたグワラニー様。それにしても当初の予定よりも随分大きな収穫を得ることができましたね」
側近であるその男の言葉にグワラニーが応える。
「それは違うな。騎士バイア。これは予定以上ではなく予定外の戦果だ」
相手も、そして、グワラニーも、あきらかに上機嫌だった。
そして、ふたりがこれほど機嫌のよい理由。
それはもちろん魔族の国最高の魔術師が今日付けで正式に彼の陣営に加わったことだった。