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#43 支社長

トリア、シェフシャ、ナホカト、この3カ国に領地の一部を提供してもらえる事になったので、早速、各国に支社を設立しようと思う。

現在は、トリア王国騎士団の元に部隊を派遣して訓練を行っているが、社員達も、さすがに遠方のナホカト国まで派遣というのは勘弁してもらいたいだろう。


「さて、これで全ての国で建物が完成しましたし、現地で社員を採用しましょう」


本社から、各国の支社に幹部1名とベテランの社員100名を配置し、求人を行った。

どこの支社でもA~F-ランクまでの人材を募集し、幅広いサービスを一定の水準で提供できるようにしたいのだ。


「ねぇ、Fランク取ってどうすんの? 鍛え上げるにしても、ベルのようにはいかないと思うわ」

「いいんですよ。私がベルを鍛えたのは、気まぐれではなく、本人の素質と向上心からです。

誰もが物になるとは思っていません」


F-ランクといえば、駆け出しの冒険者に毛が生えた程度の者達で、薬草採取の依頼を主にこなし日銭を稼ぐ。稀にゴブリン討伐に成功すれば、それはもうお祭り騒ぎだ。

そんな者達まで採用する事に、ルミナはメリットを感じていない様子だった。

現在、我が社の社員の最低ランクはD+。

だが、そのランクは少数で、平均すれば+も-も付かないBランクだろう。

そこにF-の採用枠が加われば、勿論、平均は下がってしまう訳だが、これは先を見越しての採用だ。


……………………………………………………………………………


「なぁ、ベル? 私の役職なんやった?」

「シャーロット様は、支社長ですよ。シェフシャ王国支社で一番偉い人です」


シェフシャ王国の責任者には、王妃のクロエと仲良しな、聖女 シャーロットを指名した。

彼女は戦闘職ではないが、ベルが付いているので全く心配無い。


「頑張らなあかんな!

そういえば、明日から面接やんか!! ベル! 頼んだで!!」

「はい、お任せ下さい」


張り切ってはいるが、面接の全てをベルに丸投げするシャーロット。

そんな、聖女(疑) に、ベルは笑顔を絶やさず仕えている。私とベルは、親子関係になってから日が浅く、”お父様” と呼ばれるのが、くすぐったくも心地よい時期だ。正直、ベルを本社に置いておきたかったが、シャーロット専属護衛を切望していた愛娘の不興を買う訳にはいかない。


「え!? 俺がナホカト国支社長!?

テオにやらせとけよ!」

「テオは、ストラス王国の報道官をやってもらっているじゃないですか。私には貴方以外に頼れる人が居ないのです」

「そ、そうか? まぁ、頼られるのは嫌いじゃないぜ? その支社長ってのは何すりゃいいんだ?」

「先ずは、現地で戦力の確保と、その増強を行ってください。求人はしてありますので」

「何人ぐらい採用するんだ?」

「詳しい事は、後程連絡しますが、A~Fランクまでで2500名程採用してください」

「おう! …… えっ!? ちょっ!!」


申し訳ないが、シドには即日赴任してもらった。

ストラス王国の本社は、私が管理するので、後はトリア王国だ。距離的にかなり近いし、正直必要ないとも思ったが、折角、土地を提供してもらっているので支社を設立した。

その支社長には、ヴィットマンを指名したのだ。


「おい! いいか? 俺とヴィットマンは家族みてぇなもんだ。コイツと離ればなれにするのだけはやめといた方がいいぜ。もしナホカト国なんぞに行かせようもんなら、俺もついて行くからな! 本社の戦力に穴が空いちまうのは困るだろ?」

「…… トリア王国支社長として、ヴィットマンを指名します。ここ(本社)からなら、通勤出来なくもない距離です」

「エスカーよ、通えるなら良いと思うがな」


馬車を使えば、片道1時間半。

通勤で1日に3時間も使ってしまうのは勿体無いが、それ以上の何か特別な友情があるのだろう

通うにしても住み込むにしても、数ヶ月間色々と試してから決めたらいいだろう。


こんな感じで各支社の責任者が決まり、いよいよ面接が始まるのだ。



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