第5話
屋敷に戻ってきた俺たちは再び俺のステータスについて話していた。
「にしても魔力値17万5千って、、、多すぎないか?一般の魔法使いは約5万。もちろん成人してからだ。宮廷魔法使いも個人差はあるが、平均で10万だ。なのにおまえは5歳で、、、。」
「そうねぇ。毎日魔力増幅訓練していたけどまさか、毎日全て消費してから寝るとは思わなかったわよ。」
「え!?訓練してたの気づいてたの!?」
思わず素を出してしまった。
「当たり前じゃない。親をなんだと思ってるのよ。生後3ヶ月くらいから魔導書を漁っていたんだから。すこし気にかけて見ていれば、しっかり魔法をわかっていることや隠れて増幅訓練しているくらいわかったわよ。最初は吐くくらいキツいから心配していたんだけど途中から慣れていたものだから驚き通り越してすこし呆れてしまったわ。」
「そ、そうですか。でも母様、そしたらどうして魔法訓練はしてはいけないのですか?」
「今日から始めるつもりよ。本当は早すぎるんだけどね。でも無属性魔法しか使えないなら、アイール家秘伝術を習得させるしかないわね。」
「なんですかそれは!?」
そんなのがあったのか!確かに、家のことを全く聞いてなかった俺も悪いけど!早く言って欲しかった!
「アイール家は辺境伯家で、境界線付近の領主。つまり、他国からの防衛。武官の家系なのだ。そしてアイール家には秘伝がある。無属性魔法と武術の融合。まずはそこから訓練をするぞ!」
そう父さんが返した。
「よっしゃー!やってやる!!」
俺は両手を挙げて叫んだ。
「その前に、魔力についてはどれぐらい知っている?すでにおまえは十分魔力値が高い。だがもっとこれから増える。それを今教える。」
「えーっと魔力値、つまり魔力量は成長すれば自然に増えます。ですが故意的に増やすことも可能です。それは毎日自分の魔力をどれぐらい使ったかで増えるということ。例えば100%使った場合は100増えるようになること。また同じ魔力の分を使って次の日になっても元々の魔力量の違いで増える量が違うということは知っています。例えば魔力量が100で50使って寝た前日と魔力量が1000で50使って寝た前日だと増える量はそれぞれ50と20と変わることです。」
「そうか、そこまでわかっているなら一つだけ教えることがある。」
父さんは急に真面目な顔になった。
「それはある年齢に達すると魔力が一気に増えると言うことだ!」
へ?そんなことあるの?
「誰でも知っていることなのだが、未だにその現象が全く原因不明でな。そういう理由で書物には記されていない。下手な記述をするとそれだけ勘違いをしてしまう者も多く出るし、デタラメを書いたと揶揄される可能性があるからな。」
へー。なるほど?
「そしてその年齢は8歳から9歳、12歳から13歳、15歳から16歳と決まっている。武闘大会がこの国や北の帝国でも、国の交流として開催されるのだが年齢制限があってな。それが今言った理由だ。年齢が少し違うだけで、魔力量での圧倒的不利になってしまうからな。話が逸れたが何を言いたいかというと、そのまま魔力を増やせばさらに増えることになる。頑張れ!ってことだな!」
そのために今その長い話をしたの!?とても為にはなる?とはおもうが。
「それを知っているからこそ貴族でも子供の頃から魔力増幅訓練をする者は多くいる。だがそれは少なくとも8歳からだ。小さい頃からつらい訓練をさせるのは虐待のようなものだし、貴族の面子も立たないからな。でも俺は今正式に認めた。そういうことだ。だから魔力は好きに訓練しろ。そしてアイール家秘伝は今日から、んーやっぱ明日からにするか。明日から秘伝を修得してもらう!」
「なるほど。では誰にも隠れず堂々と訓練していいと言うことですね!頑張ります!」
「がんばりなさい、でもツラいときは言うのよ?レノード。」
「はい、ありがとうございます!」
こうして話し合いは終わった。
そして夜。
5歳の記念パーティーを行った。5歳になるとステータスがもらえるために、貴族は記念パーティーを行う。辺境伯は国の防衛のため、王族のパーティー以外は例え侯爵家以上の貴族から招待されても、出席しなくていい。そして自分のパーティーに他貴族を迎えなくてもいい。そしてこの5歳のパーティーは自分の領地の人だけで盛大にやるのが辺境伯家のやり方だ。
だが今年は同い年の王女がいるらしく、数週間後には王都に行くらしい。すこし楽しみだな。ちなみに王都にも屋敷があるらしい。さすが貴族!
次の日
朝ですね、はい。今着替えさせてもらってます。メイドに。まー貴族の慣習らしいので、仕方ありませんね。最近やっと慣れてきた。最初はなんて、よっしゃー!10代後半くらいのお姉さんたちだー!とか思ってた。けど着せ替え人形のようにされるし大変だったわ。子供の体ゆえか変な気分にならないし。でも時々甘えてみたりしている。
「お姉さん!ありがとね!」
ここでキラキラの無垢スマイル発動!
「キャー!可愛いわ!は、鼻血が、、、ど、どういたしまして!!」
大丈夫かな、鼻血とかやばくね?
まー、いいや!ここで抱きつけ!
「ありがとー!ギューして?」
「ぐへへ、仕方ないかな???しょうがないよね。はい、ギューーー」
ぐへへ、とこんな風にいたづらしてます。あれ?このお姉さんあまりな、い、
ヒィー!!!
なんか一瞬殺気が!?なんでこんなに鋭いの!?あ、今スキル恐慌耐性を得たわ。
考えるのをやめよう。うん。ちなみにこの人はカルアさん。専属メイドです!
年齢は聞いても全然答えてくれない。絶対まだ20にも成ってないと思う。
「さて、レノード様。今日は貴族としての勉強をしてもらいます。逃がしませんよ!!!」
聞いた瞬間、俺は一瞬でスキル体術をスカル岩投げを発動しながら使った。今日も逃げてやるぜ!!
あれ!?うごかない!?まさか、鍛えているとでも言うのか!?メイドなのに!?
ぐぬぬぬぬぬ!!
「レノード様のようなエロガキが私に抱きついてくることは想像の余地を出ません。なのでこのまま抱きしめて離さないため私は腕力系スキルのレベルを必死に上げました!もう貴族の勉強をするという言質をとるまで離しません。」
はぁ!?なぜ俺にそこまで!?まぁ言質を取るまで離さないならこのままでいっか。
「あれ?なにも言わないんですか?えーーーーー。正直な方ですね。感心しますよ。神童と呼ばれているのに将来が不安でたまりませんね。」
なんかさっきから言い方にトゲがあるんだけど!?俺一様貴族だからね!?ま、いいけどさ!うちの執事とメイドとは仲がとてもいいからね。というより父さんと母さんの冒険者時代の後輩ばっからしいしさ。
そのまま10分経過。
くんくん、ええにおいがしますなー!
やっべ、トイレ行きたくなった!
「あ、あのさ、ト、トイレ行きたいな~って、あはは。」
これはまずい!
「そんなことに私はだまされません!」
えー!!!そこは信用しようよ!
「いや、本当なんだって!漏らしちゃうよ!?いいの!?」
「別にどうぞ!このまま漏らせば恥を晒しますね~~。どうします?さぁ、今日は貴族の勉強をしますとおっしゃってください!」
ちくしょー!しょうがないな!
「わ、わかった!する、するから!今日は精一杯貴族の勉強をさせていただきます!」
「よく言えましたね~、では行きましょう。」
すると俺の手をつかみトイレに一緒に行った。
「ねー、なんで手をつないでるの?」
「それは逃げられるからに決まってるじゃないですか!」
ほんと信用無いんだね、俺。
「でも見られるのは恥ずかしいしさ。逃げないからトイレの外にいてくれない?」
「ダメなものはダメです!さぁ、さっさとスッキリしてください!それにお風呂でメイドに洗われている時にニヤけているではありませんか!ぐへへ。」
「、、、。もうヤダ(泣)」
結局今日の貴族の勉強、訓練を見事成し遂げた。