第11話
俺は随分朝早く起きた。
早速神刀を取り出してみた。オーラヤバ。気軽に出せないぞこれ。あれ?鞘もある。おー!刀を鞘にしまったら、オーラ消えた。便利。能力は何かな?
武器 ザ・ルーラー(神刀)
姿:刀で刀身や柄の部分が真っ黒で真っ赤な桜の文様が刻まれている。鍔の部分も黒く丸い形で真っ赤な桜が一輪咲いている。
特徴:不壊 魔法を切れる 伸縮
自分の一つの魔法の効果を高める。契約者へ転移 ザ・ホーリー所有者の位置がわかる。
ザ・ルーラーの鞘
姿:全体的に黒く、真っ赤な桜の模様がある。
特徴:不壊 契約者へ転移 常時半径10メートル以内の味方と識別する者の防御力を異常に高める。
うっわ、強。えげつないな。でもこれの白持っている奴がいるんだろ?ヤバいな。
なるほどねー。とりあえず能力がヤバいのはわかった。アイテムボックスに当分入れとこう。この武器自体の能力のおかげで無くなさないけど、変なのに絡まれるのは嫌だしな。
コンコン
「どうぞ~」
「失礼します。朝食のお時間でございます。」
「わかった。自分で着替えるから少し待っててくれ。」
「了解いたしました。そう伝えておきます。」
俺はパジャマから普段着に着替えた。寝室を出て、家族がいるテーブルのイスに腰をかけた。
「おはようございます、お父様、お母様、お爺さま、お婆さま。」
「「「「おはよう。」」」」
皆で朝食を食べる。特に挨拶はない。ないのだからない。しょうがない。
黙々と食べていると、急にお父さんが口を開いた。
「いきなりだが、おまえの婚約者が決まった。相手も神童で、かなりの美女らしい。よかったな。」
「ブフォ!!!!!ゲホッゲホッ」
「いきなりすぎですよ、あなた。」
「だが今しかなかっただろう。」
「どういうことですか?」
「そのままの意味だ。」
「そうですか。では会いましょう。それからです。貴族としては受け入れます。ただ見てみたい気持ちがあるので。」
そう言ってから俺は水を飲む。
「そうだな、それがいい。で、会うのは今からだ。」
「ブフォー!!!ケボッゲホッ」
「いきなりすぎですよ、あなた。」
「でも今しかなかっただろう。」
このやりとりほぼ全く同じのがつい先ほど行われたよな?
「わ、わかりました。何時間後でしょうか?」
そう言ってもう一回お水を飲む。ちなみに今は朝の8時だ。すこし遅いと思うかもしれないが、貴族はこれくらいが普通だ。
「30分後だ。」
「ブフォー~~!!ゲホッ、い、いきなりですね!?!?」
「それはレミーナにも言われたが今しか言えなかっただろう?」
「いや、そうではなく来る時間ですよ。なんか焦ってません?向こう側。」
「それがな~あちらも引く手数多になるだろうにその本人の令嬢が、早く会わせろと言うのでな、仕方ない。」
「そうですか。」
「ま、頑張りなさいよ。」
「そうじゃな、今から女性を口説くポイントをこのワシが直々に教えてやろう!!」
バシン!!
「い、痛!なにするんじゃ!せっかくの髪の毛が!命の灯火じゃぞ!?」
「何をするもありませんよ!バカなこと言ってないでちょうだい!?レノード。一つだけ女の子と関係を良好にできるポイントを教えてあげるわ。」
はいはい、しっかりききますぞ!!
「それは、正直に思ったことを言いなさい。ということ。でもデリカシーのない言葉は言ってはダメよ?」
「なるほど!ありがとうございます!」
こうして朝食を食べ終えた俺たちは屋敷の玄関で待つことになった。どうやら相手は侯爵家でわざわざこちらに来てくれるという。ちょっと緊張してきたな。は、腹が痛いぞ!?なんてことにはならず、悠々と待っていた。相手は子供だ!俺も外見はそうだが内面は大人だ!大丈夫。やっぱ緊張してるな、俺。
あ、あれ?もう来た!?嘘でしょ!?20分も早く来るか!?一般的には、自分より下の爵位の貴族には待たせることになる。何しろ時計などの細かい時間を指すものがないし、早く行くと相手の貴族にも迷惑がかかるからだ。だから必然的に遅れる。そしてそれを待つというのも爵位が下の貴族の礼儀をわきまえているという、面子の保ち方なのだ。ちなみにうちの家も相手の家も王侯派らしい。
馬車が門の前に止まる。
「ご到着なされました!」
相手の家の筆頭メイドらしき人物がこちらに足早で来て、そう告げると俺たちは屋敷の前で横に並ぶ。
馬車から出てきたのは燃えるような赤い髪に、赤い目を持つダンディーな人と、ピンク色の髪と目を持つキリッとした美人。最後に出てきたのは、ちょうど先ほどの二人の色を足して2で割った、これまた美人というよりこの世の女性の完成形のような美貌を持ち、尋常じゃないオーラを放つ同い年と幼女だった。俺は少し、いやとんでもなく嫉妬した。こんなやつが世の中にいるのか。まるで生物としての格が違うと言い放されているかのような圧倒的な格。これは、密かに5歳最強の座を奪われた。いや目の前でしっかり奪われたような気がした。そしてまだ嫉妬することがある。
それは、、、、、、、貴族なんだからこの子が誰かと婚約してしまうということだ!うらやましい!誰だよ!?この子と将来イチャイチャできる子は!?俺は人生初、いや前世含めても一番嫉妬した!
俺は人生で一番叫んだ。声を大きく、腹に力を入れながら。
「すーーっ、めっちゃ可愛いいーーー!!だれだよ、この子と結婚できる奴!?うらやましくて仕方ない!?どいつだ!?この女の子と結婚できるのは!?俺が奪いに行ってやるー!!!」
『マスター、あなたが婚約します。そして順調にいけばあなたが結婚します。』
、、、、テヘッ!そうだった!!
やったぜ!!!
あっ やべっ
貴族なのに終わったかもしれん。
この子と婚約するはずなのに!?まさかここに来て、解消!?嫌だ、あ、涙が。。。
するとその少女はこちらに小走りで来て頭を撫でながら慰めてくれた。
「大丈夫?フフッあんなこと言われて嬉しいのは何年ぶりかしらね。こんにちは。あなたの婚約者のシャルル・フォン・カインザークよ。」
そして今日の晴天の空に浮かぶ太陽がしっかり脇役になるような、最高の笑顔でしゃべり出した。
これから運命の歯車が加速する。




