6/67
第6話 遠くには建物、足元には芝生
「そのことなんだけど……。」
「あっ!そういえば呼ばれてたんだった。ごめんっ!」
どこかへ行ってしまった。
「こんなところに置いてかないでよ……。」
でも、少し遠くに建物がある。
あっちに行けば誰か紹介してもらえるかも。
「ふぅ、もう少しだけ休憩……。」
芝生から緑の匂いがする。
少し故郷のことを思い出した。
「……まだ来たばっかりなんだ。もう少し頑張らないと。」
よしっ。
気合を入れて立ち上がり、
「うわっ!」
転んだ。
「うう……。いい滑り出しじゃない気がする。」