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第5話 レモネード
あの後、女の子はひたすらに走った。
僕は追いかけるので精一杯だ。
「はあ、はあ。」
「こんなんでへばってたら、誰からも雇ってもらえないよ?」
「ぼ、ぼくひゃ……ここの、がくしぇいじゃない……。」
なんでこんなに体力があるんだろう。
「とりあえず、少し休む?」
こくり、頭を振って肯定する。
もう、これ以上動けない……。
「はいっ、これ。」
「はあ、はあ……なにこれ。」
「家政学園名物のレモネード。疲れた時にはこれが一番だよ。」
ごくっ、ごくっ。
生き返るっ!おいしい!
「それは、頑張った新入生におごってあげよう。」
「……ありがとう?」
「でも、本当に体力はつけた方がいいよ。護身術の授業だってあるし、落とされる可能性もあるんだから。」