3/67
第3話 秘密の鍵
王都家政学園。
貴族、商人、ときには王族といった人々に仕える使用人を育成する学校らしい。
「申し訳ありません。私はそろそろ旦那様の元へ向かいます。」
「全然大丈夫だよ!ここまでありがとう。」
一人だけになった。
……大丈夫。きっといい人と出会えるはず。
「あの、使用人を雇いたいのですが。」
勇気を出して門の前に立っていた人に話しかけてみた。
「はい、失礼ですがどこの家の方でしょうか?」
「ホール男爵家のインテ、ホール・インテガーです。」
本名はホール・インテガー。姓がホールで名がインテガーになる。
インテガーだと呼びにくいから、普段はインテで通している。
「何か証拠となるものは?」
証拠……。
「この鍵はどうですか?」
鍵の持ち手の部分に一族の紋章が刻まれている。
僕の一族が王を輩出していたころから始まった伝統で、
王が代替わりするたびに王子にこの鍵を渡していたらしい。
これなら証拠になるはず。
「……はい、確かにホール男爵家の紋章ですね。」
「インテガー様、王都家政学園へようこそ。」