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サミュエルへ
この手紙を読んでるということは、私はもういないのね。寂しがり屋のあなたの事だから、泣きながらこれを読んでいるのかも。
……ごめんなさい、冗談を言わなきゃやっていられないくらいに、正直言うと参っているの。あなたが忠告してくれたこと、この場所も安全じゃないって言うのは、本当だったわ。昨日も刺客が潜り込もうとしてたらしくて、父も夫も殺気立っています。
私はこれを書きながら、旅支度をしているの。そうは言っても、持っていけるものも、必要なものも何もないわ。私の命と、今お腹の中にいる、この子の命だけ。それだけでも守れるかどうか分からないもの。
何も言わずに旅立つ私を許して下さい。ううん、それよりもずっとひどい裏切りをしてた。あなたを疑ってしまったの。だからこんなにも、何もかもが後手に回ってしまったのだと思っています。あなたが最初に忠告してくれた時、素直に逃げてれば良かったのに。
どれだけ生き延びられるか分かりません。それでも、この子にだけは生きて幸せになって欲しい。生まれてくるだろう子供は男の子です。だからフェリックスと名付けるわ。もしもあの時の約束がまだ有効なら、この子を助けて。どうか愛してあげて下さい。
でもね、ここからが大事なところだけど、もしもこの子を助けることであなたの幸せが犠牲になるなら、助ける必要なんてないわ。確かに息子のことは大事だけど、あなたも私にとって大切なひとであることに代わりはないのよ。
私の願いはたった一つだけ。どうか幸せでいて下さい。
それじゃあ、またね。ディアナより
追伸 ずっと大好きよ、サミュエル
最後まで楽しんでお付き合い頂ければ幸いです。
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