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どこに?
今回検挙された拠点の幾つかは、取引所となっていたようで、直接に現金で取引が行われていたのか厳重な金庫が存在した。しかしその拠点には親玉がいるはずで、そこに例の『出金』が行われているはずなのである。捕まった構成員に、集金を担当していた者は存在しなかったし、それが誰なのかは未だに判明していない。一ヶ月、最低でも数ヶ月ごとに建物に出入りして、大きな荷物を持っていても怪しまれない者は?
点検業者。宅配業者。他にも挙げればまだあるのかも知れないが、とりあえずはこの2つを検索に掛けてみることにする。人間居住エリアの業者出入り記録は、登録されたIDが入り口で認証された際に自動で記録される。そのログの中から検索するだけで、答えは出る。勿論、無断で閲覧できるのは特課だけだ。今までに検挙された拠点が存在していたアパルトメントやビルの記録の中で、集金日に出入りした業者を漁っていく。
ビンゴだ。打ち出された結果に、自然と心拍が跳ね上がる。この三十年間で、集金日にそれぞれの拠点を出入りしていた業者は共通していて、しかもたったの5つ。ガス・クレアシオン、レーヴ・エネルギーファクトリー、セントレア水道局、スパイダー運送、キュアノス・オフィスセキュリティ……火災報知器の点検業者か。どれも耳馴染みのある業者ばかりだ。これらが全て犯罪行為に加担していたとなると、指折りの不祥事になるだろう。
耳馴染みのある?ふと抱いた違和感に、ハッとしてもう一度、検索結果に視線を落とす。それらはどれも『魔法使いにとって』親しみのある業者であって、決して人間にとってではない。基本的に貴族は貴族が経営している業者を、人間は人間の経営している業者を利用することが暗黙の了解になっている。サービスに大した差などないはずだが。
この拠点も含めて、検挙された拠点は全て『人間のエリア』に存在する。人間エリアで貴族の業者を使うなど、理由は一つだろう。奴隷取引は総じて貴族が元締めになっている事が多いが、今回もその線が濃厚だと、このデータで確信した。それも、相当の大物だ。
背筋がゾクリと震えるのを感じながらも、調べる手は止まらない。一つ目のガス・クレアシオンの代表取締役は良く知る顔だった。一年に一度、門下生が一堂に会するクリスマス・パーティーで、何回も見かけたことがある。私の師匠のかなり初期の門下生で、つまりは私の先輩に当たる。二つ目の、レーヴ・エネルギーファクトリーは、と検索して思考が停止した。嫌な予感に背中を押されて、端末の仮想キーボードを叩く。次も、その次も。全て、見知った顔だ。その線を繋ぎ合わせれば、行き着く先はただ一つ。
最後まで楽しんでお付き合い頂ければ幸いです。
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