表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
影の行方  作者: 越入文志
2/3

第2話「オカルト研究部の活動」

こんにちは、越入文志です。

前回に引き続き、ご覧いただき、ありがとうございます!


今回は、主人公である「影野結人」の所属する「オカルト研究部」に関するお話になっています。

まだまだ説明感が否めない小説ですが、「伸び代があるな!」と考えていただければ幸いです(苦笑)


それでは、どうぞ!

 オカルト研究部の活動は、


ただ、オカルト系の話をするだけ。


1日毎にテーマを決め、そのテーマに沿った話をする。

それだけの活動で、部活として成り立っているのは、学校のボランティアも兼ね備えているからだ。

雑草抜き、花の植え替え、2ヶ月に1回のビオトープ(観察池)の掃除など、ほぼ雑用。


そんなオカルト研究部が作られたのは昨年の8月。創部当初の部員は僕と薊の2人だけ。


僕と薊が初めて顔を合わせたのも、初めてまともに会話をしたのもちょうどその頃だった。



 ある日の放課後、僕は掃除当番で廊下の掃除をしていた。


3階の廊下の掃除を終え、4階の廊下掃除へと階段を上っていった時、ふとその上に続く階段に目が止まった。

階段を上ると屋上に続く扉がある。

扉には錠前がついていて、開いているところを今まで見たことがなかった。


でもその日は違った。


扉には隙間ができていて、扉の中からはかすかに風の音がした。


よく見ると錠前の鍵は外れており、まるで僕を迎え入れるように扉がキィーという音をたてて開いた。

屋上には今まで、一度も入ったことがなかった。


屋上に足を踏み入れた瞬間、風が肩の横を通り過ぎていき、なんだかとても気持ちが良かった。

天気は雲一つない快晴。風は気持ち良かったけどとにかく熱い。夏を感じさせる蒸し暑さだ。


ふと屋上の真ん中に目がいった。


そこには体を大の字にして寝そべる一人の少女がいた。


少女は動かない。


寝ているのか?と最初はそう思ったがすぐに思い直す。

この灼熱の中寝るやつがどこにいるんだ?と。少女は熱中症か何かで倒れているのではないかと。


急いで駆け寄り少女に声をかける。


「どうしたんですか!しっかりしてください!」


 少女は気だるげに伸びをしながらこちらを振り向いた。


彼女が僕に言った一言は衝撃的なものだった。


「なぜ私を起こした」


「え?」


「お前は誰だ。なぜ私を起こした」


「え、なぜって…熱中症か何かで倒れているんじゃないかと」


 はぁ、とため息を漏らし、彼女は僕を睨んだ。


「そんなつまらん理由で私を起こしたのか。まったく、私は気持ち良く寝ていたんだ。

それをお前が起こしたことで私はこの暑さを感じなければいけなくなった」


「その理由おかしいよ…。僕は影野結人」


「…私は憑間薊だ」


 これが僕たちの初対面。

ここからどうなったのかは…


まあ、いろいろあった末、オカルト研究部創部へと繋がったわけだ。



  <  <  < 放課後 <  <  <



 僕と薊が先生の扇風機の話をしていた1分後…。


「遅れました!すみません!…っっあーー熱いですね…」


 1人目がやって来た。


オカルト研究部部員ナンバー3(薊を1、僕を2と数えて)、井上志樹いのうえしき

メガネがトレードマークの彼は見た目オカルトなど全く信じなさそうな理系男子のようだが、

中身はオカルトを愛する熱い男。特に好きなのは都市伝説に関することだ。


「いいところに来たな!志樹!」


 薊がすかさず志樹くんの首の後ろに腕をかけ、後ろ抱きをし、彼の動きを完全に止める。

これで彼は逃げられない。


せっかく3人の中で誰よりも早く来たのに可哀そうなことこのうえない。


志樹くんは志樹くんで戸惑っている様子だった。

それも仕方ない、変人で先輩とはいえ、薊は容姿だけは良いのだ。容姿だけは…。

薊が志樹くんに向かって不気味に笑いかける。


「志樹、君に頼みがある。これはオカルト研究部の未来がかかっていることなのだ」


「ま…まさか…廃部の危機ですか?!」


「いや、そんな大層な話じゃないから」


 大層な話ではないけどちょっと犯罪めいた話だよ、と志樹くんに伝えたい。

口で言ったら薊に睨まれるだろうから、言わないけど。


「君にはあるものを入手してきてもらいたい!」


「なんですか?あるものって」


「このオカルト研究部に必要なものだ」


 うーん、と下を向き真剣に悩む志樹。

これも彼の良いところなんだけど、今はなんだかちょっと申し訳なく思う。

少し悩んだ後、ハッと何かに気づいたように彼は顔をあげた。


「この暑さ…この部室に必要なのは…」


「おっ」


 薊が少し驚いたように反応する。


「エアコンですね!」


 うーん、ちょっと飛びすぎたね。


「うん、よし、わかった。職員室に行って扇風機を奪い取ってくる。それが君の使命だ」


「う…奪いって…誰からですか?」


「標的はストーカー変態教師烏針!やつの高性能扇風機を奪ってくるのだ、志樹。

風力15段階だぞ!」


「は、はい!わかりました。では早速、職員室に行ってきます!烏針の扇風機なら安心ですね!」


 志樹くんは扇風機を求め、部室を出て行った。


「志樹もわかってるじゃないか。そう、烏針のものだから許される行為なのだこれは」


「やっぱり根に持ってる」


「根に持ってなど!……もうなんでもいい。

私がやつのことを根に持っていようと持ってなかろうとそんなことは今は重要ではない。

さっきも言ったが、今回重要なのは、やつが扇風機を持っているということなのだ」


「ところで、今日の話題は決まった?」


「ああ、今日はな……そんなところに突っ立っていないで、早く入ってきたらどうだ?京介」


「こんにちは」


 入口の前に立っていた彼が2人目の後輩。


オカルト研究部部員ナンバー4、逆神京介さかがみきょうすけ

普段は不愛想な性格だが、部活に対してのまじめさはオカルト部ナンバー1。

剣道を悟の祖父である龍二さんから習っていて、その影響なのか、目上の人に対しては礼儀正しい。

オカルトに関しては言霊関連の話に興味を持っている。


「あれ、井上来てないですか?先行ってるって言ってたんですけど」


「ああ、志樹なら一度部室には来た。彼のことなら問題ない。すぐに戻ってくるさ。

…来たか。少し待っていてくれ」


 薊は椅子に腰かけ、腕を組み、目をつぶり、うーんと唸り始めた。


僕と京介はそんな薊をただ眺めていた。

薊は時々、この行動に入る。

目を瞑り、唸っている姿を見るのはこれで初めてなどではなく、むしろ日常茶飯事といったような感じだ。

それから5分ほどその状態が続き、やっと薊は目を開けた。


「はぁ、疲れた」


「何が?」


「いつも言っているだろう。疲れるんだよ。これは」


 薊はもう一度目を閉じ、右手の親指と人差し指で自分の眉間を抑えた。

マッサージのようなものだと思う。


「…まだ志樹は帰ってこないのか」


「うん、大丈夫かな」


「あいつ何かしてるんですか?」


「あ、そういえば京介は知らなかったね。今、志樹くんは職員室に行ってるんだよ」


「職員室?なんでですか?」


「薊の身勝手でね…」


「それは聞き捨てならないな。彼が進んでいったんだ」


「ああ、つまり、憑間先輩に何か頼まれてその何かのために井上は職員室に行ってるんですね」


「そう、わかってるじゃないか。京介」


「頼まれてって…」


 ふと、何かの気配を感じた。

後ろから誰かに見られているような…。

僕は今、部屋の入り口の開いた扉を背に話している。


その誰かに、心当たりはあった。


「いつからそこに?」


「憑間先輩が何か考え込んでいる時です」


 ゆっくりと振り向く。

そこにいたのは、髪が長く、前髪が完全に目を隠しているスタイルの女の子。


オカルト研究部部員ナンバー5、水神良実みかみらみ

気配を消すのがうまく、まるで幽霊のようにふるまうため、初対面の人をよく驚かせてしまう。

ただ、彼女曰くそれは人見知りであるだけで、別に驚かせようという気はないという。

そして、彼女が興味を持っているのは、わかりやすいことに幽霊についてだ。


「井上くん…さっき…見ましたよ…職員室の…近くで…」


「先生に見つかるのが怖くて、ビビって逃げたんじゃないだろうな」


 薊が不機嫌そうに呟いた。


「いえ…ビビる…というか…あたふた…してました…」


「あたふた?どういうこと?」


 僕の問いに良実ちゃんはおどおどしながら下を向いた。


「あ…その…そう思っただけで…詳しいことは…」


「それで、井上はなんか言ってたか?」


 京介が問い詰めるように言う。


「あの…声かけたつもりなんですけど…私…認識されてないみたいで…」


「あー…」


 僕、薊、京介、3人の声がかぶった。


というのも、志樹くんは良実ちゃんを認識する能力(それを能力というのであれば)が低いようで、

良実ちゃんがいることに気づかないことがしばしばある。

同じ部屋にいるのに良実ちゃんがいることに気づかないほどだ。


「仕方ない…迎えに行くとするか。影野、行ってこい」


「えぇ?!なんで僕が!」


「私は寝る。そこの後輩2人は今日の話題を考える。よって影野が行く。以上!」


「話題って、考えてたんじゃないの?」


「忘れた!」


「正直に考えてなかったって言いなよ…」


「何か言ったか?」


「はあ…わかったよ。僕が行くからその代わり明日のクラブ会議には出席して。約束だからね」


 薊はわかりやすく眉間にしわを寄せ、言った。


「それとこれとは話が別だ」


「そういうと思った。仕方ないな、行ってくる」


 教室を出ようとした時、京介が僕にこっそり耳うちをした。


「影野先輩も大変ですね。でも、お似合いですよ」


「一言余計だよ」


 僕は、職員室がある第1校舎に向かうため、オカルト研究部の部室がある第3校舎を後にした。



 職員室は第1校舎に入ってすぐ右に曲がったところにある。

僕が職員室の前に着いた時、志樹くんは職員室の扉についた窓を見つめ、おそるおそる中をのぞき込んでいた。


ここでわっ、と驚かすと志樹くんは驚いて飛び上がるだろうけど、

僕はそんなことはせずに(薊は問答無用でするだろうが)、志樹くんの肩をトントンと叩いた。


「あ、影野先輩!大変なんです!僕どうしたらいいか…」


 なるほど、確かにあたふたしているようだ。でも、なんで?


「何かあった?」


 職員室の中をのぞき込むと何やらちょっとした騒ぎになっている。


「実はですね、烏針の扇風機が何者かによって盗まれてしまったようなんです。

それで職員室は騒ぎになっていて、僕どうしたらいいか…」


「…とりあえず先に盗まれてて良かったかもね。

だってこれ、れっきとした犯罪だから。

志樹くんが無罪なだけまだましだよ」


「そう考えたらそうですが…」


「さ、部室に戻ろう。もう扇風機はどっちでもいいよ。僕が薊を説得するから」


 そう言って、僕は第1校舎を出ようとした。


「そういうわけにはいかないんです!」


「どういうこと?」


 第1校舎から出ようとするのを一旦やめ、再び志樹のもとに駆け寄る。


「この事件を烏針は憑間先輩の仕業だと言ってるんです」


「な…」


 これは困った。


証拠こそないものの、「憑間VSストーカー変態教師事件」の一件で薊は烏針に恨まれていることだろう。

それに、薊ならしかねない(実際、盗もうとしていたわけである)。

これで、薊が呼び出しをくらえばまた事件に発展しそうだ。


「とりあえず、一度戻って薊に状況報告をしよう」


 こうして、オカルト研究部存続の危機である「烏針先生の扇風機盗難事件」の幕が開いた。

まずは、最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


実はこの「影の行方」、何話かストックしてある状態でのスタートとなっているので、前回の第1話、今回の第2話と用意していたものに微量の修正を加えての投稿となっています。


自身で読みながら、説明が多いなぁ…と反省するも、

なんとか形にして投稿することに生きがいのようなものを感じ、その中で最も感じるのが、


「この小説、ちゃんと終わらせることができるのかな?」


というものです。


いや!ちゃんと終わらせます!終わらせますが…。


やはり、最後まで書き上げたことのない身としては、「挑戦」の一言です。


話が長くなってしまいましたが、次回予告のようなものです。


次回は第3話「今日の話題『扇風機盗難事件の解決』」です。

オカルト研究部に舞い込んだ奇妙な事件、

それは、オカルト研究部存続をかけた「大事件」へと発展していきます。

為す術がなくなってしまったオカルト研究部に差す、一筋の光とは?!


それでは、また来週!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ