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第5部

 一昨日のこと


 それは凶暴な幽霊が退治されたばかりの日の事


 ミンチン先生が、「明後日の初授業はどうしようかー」と思案しているところへ、


 駆除されたはずの幽霊が、ノソリ、そろ~っと現れた。


「ぎゃーーー!」


「こんにちは、先生ですね?」


「あなたは冒険者に退治されたはずじゃ?」


「退治されたのは私に取り憑いていた悪霊です。


 私はこの貴族の御屋敷に仕えていた執事の霊で御座います。


 あの悪霊に取り付かれて苦しめられておりました。


 お助けいただき、ありがとうございました。


 お礼を言いたく参上いたしました」


「ああ、そういうことならわかりました。今忙しいので、もういいですよ。さよなら」


 ミンチン先生がそう言うと、執事の霊は


「お礼がしたいので、地下室においでください」


「うん?!」


 ミンチン先生は、地下室に行ってみた。


「ここを掘ってください。この下にはお宝が隠されています。ではこれで失礼いたします」

 と執事の霊は消えた。


 ミンチン先生は、ーー管理人夫婦に頼むと、お宝を独り占めできないかもーーと判断して、


 一人でシャベルを持ってえっちらおっちら穴を掘った。


 43歳の女性にはかなりつらい仕事だったが、タフネスさだけは自信があった。


 執事の霊の言葉を信じて2メートル掘ったところで、真鍮の引き輪っかのついた石の扉が現れた。


「ここまで来たら、一人で頑張るわ」と欲の皮のつっぱったミンチン先生は、


 掘った穴の上に三脚を立てて滑車を付けて、滑車の鎖を真鍮の輪っかに固定して、テコの原理で鎖を引いた。


 ギリギリギリギリ……と時間をかけて引くと、重い石の扉が開いてきた、


 とうとう「ドスン!」と石の扉が持ち上がり反対側に倒れて穴が開いた


 そこには石の階段があった


 蝋燭に火を灯した燭台を持ち、ミンチン先生は恐る恐る階段を一段ずつ降りて行った。


 その階段のすぐ下に大きな木の箱がありカギはかかっていなかった。


 ミンチン先生はその箱を開けた。


 中には女性用のワンピースが入っていた。


 いきなり後ろに執事の幽霊が現れた。


「それはかって海賊王が探し求めたワンピースです」と執事が言う。


「はあ?」「とりあえず、着て見てください」という執事。


 そのワンピースは七分袖の緩やかな絹の金糸でできた豪華な服で前開きのボタンのタイプだった。


 ミンチン先生は、そのワンピースの象牙のボタンをはずし、上に羽織ってみた。


「そのワンピースは自分の望むどのようなデザインの服にでもなりますよ。


 あと、その服は着た者を物凄い魔力UPさせる魔法のワンピースです。


 ボタンを全部留めて鏡を見てください」


 ミンチン先生はボタンを留めて化粧用の手鏡を出して見てみた。


 そこには見知らぬうら若い絶世の美女が映っていた。


「こっこれ誰ですか?」


「それはあなたの姿です。そのワンピースを着た人は18歳位の絶世の美女の姿になるんですよ」


「ひえ~~~っ!」


 ミンチン先生は腰を抜かさんばかりに驚いた。


「しかも、自動的に幾つもの魔法を習得できてるはずですよ」と執事の幽霊ははにこやかに言う



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