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8話

「ゆ、幸光……。お主……」


 言葉を失う雪花。生まれて他人に裸を見せるなど一度もなかった。それどころか肌の露出は控えている方だった。

 幸光は特に気にもしていないようだった。幸光にとっては女性が肌をさらそうと綺麗としか思えなかった。


「とてもお綺麗ですね雪花殿」


「っ〜〜〜〜!!!???!」


 雪花はボンッと音がなりそうなほど顔を真っ赤にし、すぐさま近くの布団を掴み身に纏った。布団は瞬く間に凍りついた。


「お、おぉ、お主! なぜここにいる! 妾の部屋は昼まで誰も入れてはいけないときつく言って……お主部屋の前の守衛はどうした!? 守衛がいたであろう!」


 雪花は部屋の前に必ず女性の守衛を2人つけている。番付きではないものの、並の者が太刀打ちできないほどの強さのある守衛だ。

 

「その方たちから通って良しと言われたのですが……」


「なっ……そんなはず……あっ!」


 襖の隙間からから女性の守衛2人が、ニコニコした顔で雪花を見ていた。その顔はまるで「あとはお好きなようになさってください」か「私たちはここまでしかできませんよ!」などと言っているかのようだ。


「余計なことを……。はぁ、もうよい。それで幸光、何か言いたい事があったのではないか?」


「そうでした! 今朝、馬翔殿から手合わせの申し出がありそれを受けたいと思うのですがよろしいでしょうか?」


「なに馬翔からだと? うむ……そうだな……。奴は豪剣の使い手。たとえ手合わせだろうとその一撃をまともに受けてしまえば……いや、うむ。よし、その手合わせを受けてくるといい。妾もすぐに向かおう」


「ありがとうございます! ではさっそく向かう事に致します!」


 そういうと幸光は一礼してから雪花の部屋を出た。


「あーあ、雪花様どうしてあんなもったいないことするんですかー?」


「そうそうー。せっかく私たち頑張ったのに〜」


 そっくりな顔の少女が2人ひょこっと顔を出した。


「まったく、余計なことをするな。紅花、紅葉」


 右耳に芍薬の耳飾りをつけているのが紅花、左につけているのが妹の紅葉だ。2人は双子で見分けるのが非常に難しい。戦闘時はその特徴を活かして相手を撹乱することができる。基本的に闇祓いは2人1組で行動するため、彼女たちのようにお互いの長所、弱点、戦い方を理解している者たちはとても有利だ。


「そもそも私は幸光とそう言った関係になろうなどとは思っていない」


「そうなんですかー? それじゃ、私たちがもらっちゃおっか。ねー、紅葉」


「そうだねー! あの子、犬っぽくて可愛いしー!」


 事実、幸光は突出して顔がいいというわけではないが標準よりは顔も整っている。そしてどことなく犬っぽい。


「な、ならん! ………幸光は妾の祓い子だぞ。妾の許可なく奪うなどならん!」


「あー、横暴だー!」


「雪花様ずるーい!」


「ええい、うるさい! 妾はもう行く! 部屋の片付けだけ頼むぞ」


「「はーい」」


 部屋を出る雪花の耳が若干赤くなっていたのを双子は見逃さず、クスクス笑っていたことを雪花は知る由もないだろう。

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