5話
あれから幸光と雪花は京楽へ向かった。道中、雪花は感じたことのない胸の高鳴りに違和感を感じていた。
「幸光よ。お主は何のために京楽へ向かうのだ?」
「父上から修行を課せられているのです。闇祓いになり人を救え、と」
「ふふ、そうであったか。お主の父上は義にあるのだな」
雪花は少し考え込むようにすると思いついたように顔を上げた。
「幸光、妾の『祓い子』にならぬか? さすればお主の好きな鍛錬も付き合えよう」
「祓い子とはなんなのでしょうか? 自分は鍛錬に明け暮れていたためあまり物事に詳しくないのです」
「ふむ、そうであったか。祓い子とはなーー」
祓い子。それは闇祓いの番付きのもとで修行する者のことを言う。番付きは1番から5番までいるが祓い子をとるということはほとんどない。というのも鍛錬をつけてあげるほど暇ではないからだ。管轄区域が広い上に自分の鍛錬もしなければいけないのだから時間をとる余裕がないのだ。中には雪花のような特殊な例もいるが、基本的に番付きは祓い子をとらない。
しかし、番付きの祓い子になることができれば確実に闇祓いになることができる上に、自分自身の成長を身をもって知ることができるだろう。
「そうなのですか! 雪花殿の邪魔にならなければ何卒よろしくお願いいたします!」
幸光の綺麗かつ素早いお辞儀に雪花は驚いた。いろいろ話しながら歩いていると京楽へ着いた。
「京楽が見えてきたぞ。妾たち闇祓いが命をかけて守る京楽だ。まずは安寧の光に行こう」
夜という闇の中でもひときわ賑やかに、明るくある京楽のその光はどこか無理をしている。そんな風に幸光は感じた。