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1話

今後ともよろしくお願いします

 何百年も前の時代。人は闇を世界の果てに封じた。果ての存在は誰にも明かされることはなく、今に至り闇は封じられていた。


 しかし、その封印は龍泉 神楽により解かれた。


 なぜ解かれたのか。何のために解いたのか。理由は定かではない。だが、龍泉の目論見通り事が運んだのは事実だろう。

 闇は世界に解き放たれ、それは多くの生命を持つものに憑いた。闇に憑かれたものは理性が欠落し、生命という光を持つものを襲う。闇に憑かれたもの、それは闇憑きと呼ばれ恐れられている。人ならざる身体能力を手にし、特殊な力を操る闇憑きに人はなす術がなかった。


 だが、闇の中に光が見出された。


 人は闇を祓う『闇祓い』を組織した。普通の武器では闇憑きを殺すことはできず、闇憑きを殺すことができるのは同じ闇だけ。それに気づいた刀鍛冶は闇憑きの血を刀に塗り込み闇憑きを殺すための刀を打った。

 それは『闇討ち刀』と呼ばれ、闇祓いに支給されるようになった。


 闇祓いには名前とは別に番号が付けられ、それが序列を表していた。序列は強い闇憑きを倒した数と人間性によって決められる。よって、1番の闇祓いは強く人間として真っ当なものであった。

 それら闇祓いを管理する組織を人々はこう呼んだ。


 光を求める『安寧の光』と。


◇◇◇◇


「踏み込みが甘いッ!」


 父・天羽(あまは) 霧鳴(きりなき)の怒声とともに鋭く重い一撃が息子・幸光(ゆきみつ)の左肩を襲った。

 虐待をしているわけではない。幸光は闇祓いになるために修行をしているのだ。霧鳴は元闇祓いであり、自らが教えれる範囲でその技を教えていた。

 霧鳴は闇祓いの中でも特に優秀だったが、訳あって除隊せざるを得なかった。

 闇祓いを辞めたとはいえその剣術は本物。至高に至るとさえ言われている。


「はいッ! もう一度お願いします!!」


 修行とはいえ、霧鳴の一撃を受け意識を保つというのは厳しい。しかし、息子の幸光はそれを受けてなお立っていた。それは彼の並々ならぬ強い意志によって成せるのだろう。


「お前には足りないものがある。それが何か分かるか!」


 霧鳴は木刀を振るう力を緩めることなく幸光に問いかけた。


「くッ! 力と技量でしょうか!」


 幸光も負けじと木刀を流し、隙を見て攻撃を入れようとしている。しかし、卓越した技量によりそれらの攻撃は全ていなされた。

 そして一発、重い一撃が幸光の脳天を捉えた。


「お前に足りないものは意志の弱さだ」


 霧鳴の全盛期、彼には弟子がいなかった。弟子になろうと教えを乞う者は多くいた。しかし霧鳴の厳しい修行、鍛錬に耐えることができる者はいなかった。

 だが、幸光は違う。


「そう、ですか……。自分は意志が弱いですか。日々、精進……いたし……ま…す」


 幸光は満身創痍といった顔で空を見上げ倒れるのであった。


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