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入学試験Ⅰだぜ!妹よ!

何故かルビが使えないのでルビを使っている方を見たい方はハーメルンの方にも投稿していますのでそちらをご覧下さい。そちらはルビを使用しています。

馬車に揺られること数時間、試験会場である魔法師養成学院に辿り着いた。


「おーい誠奈、着いたぞ。起きろ。」


隣で寝息を立てている誠奈に声をかける。


「...ん...んん?」


「ほら、着いたぞ。」


親指で窓から見える学院の門をクイッと指さす。


「あ、うん。おはよう。」


「おはよ、お爺さん、帰りもこの馬車なんですか?」


轡を引いていた爺さんに声をかける、少々気になることがあったからな。


「えぇ、帰りも私が同じ馬車でジーク様と共にお迎えに参ります。」


なるほど、帰りも同じだな。と言うことは...


今までの道中、ジークさんが言っていた3人組は何も仕掛けてこなかった。

一応警戒してずっと起きていたが3人組が誰かすらも分からなかった。

俺には探知や索敵に使える周波魔法は使えないからどこにいるかなどが分からないのだ。そもそも本当に尾けられているかが分からん。まぁジークさんが嘘をつくとも思えない。する必要が無いから本当だろうな。


周波魔法は誠奈に頼めば恐らく一瞬で見つけられるだろうがそれじゃ誠奈に追手がいることを知られてしまう。ジークさんが俺だけに言ったのは誠奈に心配かけないためだろう。その考えには俺も賛成だ。誠奈にはいらん心配をかけたくない。

まぁもっとも、誠奈がこんなことで集中を乱したりしないだろうから試験には受かると思うがな。


おっと話が脱線した。戻そう。ジークさんが言っていた3人組は行きの道中では何も仕掛けてこない。と言うことは帰りに仕掛けてくるだろう。帰りも同じ馬車だからな。だがひとつ気がかりなことがある。

なぜ、奴らは行きの道中に仕掛けてこなかったのか、だ。

今回の行き先は魔法師養成学院だ。それも入学試験があるのだから人もいつもより多い。そんな所では奴らも仕掛けては来ないだろう。手練の教師も居るだろうからな。

となると残りは行きと帰り。ジークさんに事付されたのは馬車に乗る直前だ。そこでジークさんが気づいたんだろう。ならばその時の俺たちの会話は奴らにも聞かれているはず。帰りはジークさんが迎えに来ることを知っているのだ。

現、魔法師団長のジーク・クリスプの名を知らないわけがないだろう。

そのジークさんが一緒にいる帰りに仕掛けてくるとは考えずらい。試験会場である学院も同じ。だとすれば仕掛けるのは行きの道中じゃないのか?なぜ仕掛けてこなかった?



......おかしい...なにか嫌な予感がする...


「失礼します。」


自分の考えに浸っているとドアが開けられた。誠奈と共に馬車を降りる。


「ありがとうございます。帰りもお願いします。」


「はい。畏まりました。それとお坊ちゃま、


(ん?お坊ちゃま...?)


私などに敬語などやめてくださいませ。恐れ多いにも程があります。」


お、恐れ多いって...なんでやねん。俺はただの18のガキだぞ?魔法だってからっきしだし。


「な、何言っているんですか。お爺さんこそ俺なんかに敬語やめてくださいよ。それもお坊ちゃまなんて...」


ワタワタと少々慌てながら答える。と、お爺さんは帽子を取り、その帽子を右手で持って胸の置き、執事のように頭を下げた。


「何を仰いますか、貴方様はアンナお嬢様のお気に召された御方です。そのような高貴な方にこんな私が対等に会話するなど恐れ多い。どうかお分かりくださいませ。」


「う、うぅ...」


ここまで言われると流石に...てかアンナお嬢様って...アンナさんあんた何もんだよ、いくらヴァルキリー騎士団副団長を務めてるっつってもこの大層な扱いはなんなんだよ...


「.........は、......はい...」


「それと私、本日からマコトお坊ちゃまとセイナお嬢様のおふたりの執事となることになりました。」


お爺さんは顔を上げまたもや爆弾発言。


ん?俺の聞き間違いか?


いや違うハッキリ聞こえた!


「え、な、なんでですか!?」

「.........は?」


俺は驚いて聞き返し、誠奈は一言言ってから固まっている。


「アンナお嬢様からのご指示です。」


「........」


今度は2人揃って石像と化す中お爺さんは小さく微笑み...


「大変申し遅れました。私、ヴァトルフ家に使える執事、セバス・ロードルトと申します。よろしくお願い致します。」


「アンナお嬢様からのご指示で、まだ言うな。後々バラせと言うご指示でしたので申し遅れましたことお許しください。」


お爺さん...いやセバスさんはもう一度頭を下げて言った。


「そんなことどうでもいいですよ、...s「お坊ちゃま。お話の途中に申し訳ありませんが敬語をおやめ下さい。」...そんなことよりそのお坊ちゃま呼びををやめ...ろ」


渋々タメ口で話す。慣れねー


「はい。畏まりました。では様呼びで。マコト様もお爺さんなどと呼ぶのはやめてくださいますようお願いします。」


「あ、あぁ......なら爺さんで」


なれないタメ口でそう言うと横からようやく石化から復活した誠奈が突っ込んできた。


「そんなのないよ!もっと可愛い呼び方にしよーよ!」


と言いながら誠奈はウキウキでなんと呼ぶか考えている。つーか誠奈。おめー対応力たけーな。


「んー、あ、じゃあ、おじいちゃん!」


2人とも呼び方が決まると爺さんは優しく微笑んだ。


「どのような呼び方でも何なりと。」


ゴーン...ゴーン...ゴーン...


突然後方の学院の方から鐘が鳴り俺たち2人は同時に振り返る。


「さぁマコト様、セイナ様。試験開始までもう暫くです。そろそろ移動をお願いします。」


「あ、あぁ...じゃあ行ってくる。」

「ばいばーい!おじいちゃん!」


門に向かって歩き出す。徐々に爺さんの優しい微笑みが遠ざかっていった。





暫く誠奈と共に歩いていく。進むにつれて受験生と思われる人がどんどん増えてきた。いろんな制服を着ているヤツらで溢れかえっている。


ここの学院の構造もだいたい分かってきた。


まず学院は緑豊かで、バカでかく広い。広大な敷地の中、中心には真っ白い西洋の城のような本校舎。その周りに一定間隔で本校舎を囲むように五角形にビルのような高さの建物が6本並んでいる。ビルのようなものの高さは目算100m。本校舎は倍の200と言ったところか。


無駄にデカすぎね?


他にもビルの周りには体育館、プール、グラウンド、その他他にもあった。


全部が白をベースに彩られている。




本校舎の前に簡易掲示板が出されていた。

そこに受験番号が記載されてその横にA〜Fでアルファベットが書かれている。


俺のは43852 Bだ。

誠奈は43851 Aだ。


数字は最後の1の位だけが違うだけだかアルファベットが違う。数字が近いのはジークさんが一緒にねじ込んだからだろう。アルファベットが違うのは友達同士の仲良しこよしをさせないためか...あくまで個人の実力を見るってことか?


『受験生の皆さんは自分の試験会場を確かめたあと、指定の五星塔へ向かってください。』


係員らしき者が拡声魔法を使って呼びかけている。


だが「五星塔」とはなんだ?


俺が疑問に思っていると...


「どこだった?」


「私Ⅰ、あんたは?」


「私IV。」


などと言う会話が聞こえ受験生と思われる女子生徒が本校舎の周りには設置されているビルのような塔に向かっていく。

なるほど、あれが五星塔か。


「ねぇお兄ちゃん、五星塔って何だろうね?」


誠奈が俺の顔を見上げるようにして言ってきた。


「多分あれだな、ほら、さっきそこの女子生徒が五星塔のこと話しながらそっち行ってた。」


俺はそれに顎で指しながら答える。でもⅠやIVってなんだ?なんかの記号か?


「そーなんだ...あれ?でもおかしくない?なんで五星塔なの?ふつう6塔あるんだから六星塔じゃない?」


あ、確かに...


「ん...そうだな、なにか理由があるんだろ。それより俺らの移動場所はどの塔だ?」


掲示板には受験番号とアルファベットしか書かれていない。


「お兄ちゃん!あれあれ!」


誠奈が何やら見つけたようで何かを指さしながら言う。


「ん?どうした?何があった?」


誠奈が指さす方を見てみると...

各塔の下にアルファベットが書かれた看板が立っていた。


「どうやらあれのようだな、でかしたぞ誠奈。」


誠奈が見つけてくれて嬉しかったのか分からないが、無意識に、ほんと無意識に誠奈の頭を俺の右手が撫でていた。


「えっ///!?」


誠奈の言葉にハッとなった俺は慌てて手を離す。


「す、すまん!誠奈。そんなつもりはなかったんだ。」


慌てて誤ったが誠奈は顔を見られないようにか俯いている。


「う、ううん...大丈夫。気にしてない...」


こうはいっているが...なんか小刻みに震えているぞ?やばい怒らせたかも。


「ご...ごめんな?」


恐る恐る謝るが...


「もういいって!」


誠奈は俺を押しのけて自分の試験会場であるAの看板がある五星塔Ⅰへ向かって早足で行ってしまった。


やばい...完全に怒らせた...




俺はその後自分の試験会場でBの看板が立っている五星塔Ⅱへ赴いた。

そこには既に大量の受験生達で溢れかえっていた。ざっと7000人は居るぞ。これが6塔ある五星塔各地で行われているのだとすれば総受験人数は4万人を超える。

日本のセンター試験かっつーの。いやセンター試験は桁が違うか。


などと母国のしょーもない思い出に浸っているとここにいる7000人全員に聞こえるほど巨大な声が響いてきた。


「これより、入学試験一次審査を開始する。一次審査の試験内容は1人1回なんでもいいのでなにか魔法を披露してもらう。その魔法でターゲットである魔導人形を攻撃してもらう。どのような魔法を使うかは各自に任せる。但し、他の受験生などへの妨害魔法などは禁止する。あくまでターゲットは魔導人形だ。」


説明をしている係員は女性で眼鏡をかけ、髪は金髪ロング、身長は目算170と高め、スタイルは中の上と言ったところ、切れ長の目、瞳の色はオパールのような色で強気な印象を受ける女性だった。


「説明は以上。質問はあるか?...」


女性が説明を終えると質問がないか尋ねる。すると1人の男子生徒が手を挙げた。


「そこの男子!なんだ、言え。」


「教官!合格基準や過剰攻撃の制限などはありますか!?」


ん、俺も気になっていたことだ。俺は魔法が苦手だからな、合格ラインは聞いておきたい。


「合格基準などは特にない。普通の魔法を放ち、的に当たれだ大抵合格だ。だが、あまりにも威力の弱い魔法だど失格の可能性もある。

過剰攻撃についてだが...学院側からすると試験会場を吹き飛ばされちゃ困るんだが......まぁやれるもんならやってみな。」


ニヤリと笑いながら少々煽ってきた。

今のちょいとカチンと来たぞ。おし、俺の全力でやってやる。


「他に質問のある者は居ないか?...居ないならさっさと位置につけ!大量に居るんだ!さっさとやるぞ!」




その後俺たち受験生は塔の横に教員たちが横一列に召喚した500体の魔導人形に対して一体ずつ1列にバラバラに並んだ。

そして一体につき一体召喚された試験の監督役の魔導人形達がも居る。


「では1列目。初め!」


拡声魔法ででかくなった声で言われた指示の後、最前列の受験生達が一斉に魔法を唱え始めた。


すると俺の列の最前列の男子生徒が...


『 我が身に宿る炎の魔力よ!今こそ我が右手に集りて敵を穿て!』


男子生徒がそう唱えると赤色の魔法陣が彼の胴体を中心にし、胴体の真ん中の高さで水平に浮かぶように展開した。


ん?なんか叫んでるぞ?厨二病か?


『 ...ファイアーボール!!』


そう唱えると今度は右手の手首に赤の魔法陣が手首を中心に垂直に展開し、火球が放たれた。


その火球はシュバッと飛んでいき的の右肩に直撃し

的の右上半身を炎上させた。





............は?


無詠唱ですらなく詠唱したくせにこの威力だと?こんなもの小さいガキにもできるとジークさんが言ってたぞ?


「お、おおー」


だが、周りは感心している。魔法を放った男子生徒もフッと思いっきりドヤ顔。


なんで?なぜドヤれる!?その程度の魔法で!?下向いてないのがすごいのに!?


どうやらこの男子生徒だけではなくほとんど全員か詠唱して魔法を放っている。

詠唱なんか唱えて恥ずかしくねぇのかな?俺だったら厨二草くて悶え死ぬ。


時々無詠唱で放つ奴もいるがどれも威力が弱い。第一位階魔法が殆ど、時々第二位階魔法のやつがチラホラいる程度だ。それもどれもギリギリ一位や二位と呼べるか呼べないかのレベルだ。俺でも分かるぞ?低レベルすぎる。これもしかしたら今年の新入生で上位入学狙えんじゃね?ワンチャンあるよね?


などと思いながらもう聞き飽きた厨二草い詠唱を聞いていると西に見える人だかり、恐らくCの試験会場の五星塔Ⅲの方から異音が聞こえてきた。




ウォォォオオオオオオォォォオオオ!!




すると俺の目にあるものが目に入った。白くてドデカイ狼だ。ところどころ赤い炎で燃えている。その狼が天に向かって遠吠えしているのだ。


あれはなんだ?ここから五星塔Ⅲは目算300mほど離れている。この距離でこのデカさなら現地は相当な大きさだろう。


「お、おい見ろよ...あれザガラさんの召喚獣だぜ」


「うっわぁマジだ。本物生で初めて見たぁ...ヘル・ウルフ。」


ほう、あれはザガラと言う輩が召喚した召喚獣でヘル・ウルフという奴らしい。


いいなぁー俺も召喚獣欲しいなぁ...


じっとそのヘル・ウルフを眺めていると...


「ほら次!そこのあんた!ぼさっとしない!」


お、俺の番だ。

さぁーて本物の魔法というのを見せてやるぜ。

なんせこちとら現、魔法師団長のジークさんから教わったんだぜ...


数を前に出て的を見据える。


俺から的の魔導人形までは目算30m、障害物はなし。


魔法を撃つには絶好のシチュだ。


俺が出そうとしている魔法はヘル・グラスド。第四位階魔法だ。成功率は八割、極限まで集中すれば失敗することはないだろう。的も動かないしな。


「スゥーッ...ハァー...」


1度深呼吸をし精神を安定させる。


スっと右手を的に向ける。


魔力を高めるとまず黒い魔法陣が胴体に展開した。


そして右手に集中させると今度は腕に魔法陣が展開し、腕と手首にひとつずつ黒い魔法陣が展開する。


「お、おいあいつ...無詠唱で...?」


「嘘だろ?あんなやつ見たことねぇぞ?」


周りが何やら言っている。だがそんなこと知らん。集中だ。


『 ...ヘル・グラスド』


ゴオオオォォオッ!!と、黒い火球が放たれ、火球が通った道は焼け焦げていく。そして...



シュドォォォオオン!!


轟音が轟、俺の的だけでなく周りの4体も含めて計5体を消し飛ばした。俺の的があったはずの爆心地を中心にクレーターができ地面が抉れて今もなおプスプスと音が鳴っている。


おぉ無事に撃てた。


「す、すげぇ...見たところ特別有名人でもないのに...」


「しかも無詠唱で...」


「なぁ今の何位階魔法なんだ!?」


「知らねぇよ!」


などと周りは騒いで嫌がる。


フッ...俺にかかればこんなもの...


と、少々自惚れていると...




ドッゴォォォオオオオオオォォオオオンッッッ!!




今度は東から爆音が轟、遅れて爆風が襲ってくる。


「うわぁぁ!」


「きゃああああ!」


「な、なんだぁ!?」


俺は腕をクロスさせてなんとか吹き飛ばされずに踏ん張る。何人かは耐えきれずに地面を転がっている。


こりゃ...誠奈だな...あいつなんちゅう威力の魔法使ってんだよ...


これを放ったのは恐らく誠奈だ。誠奈の試験会場の五星塔Ⅰの方から聞こえてきたしな。

てゆーか、キノコ雲出来てんぞ...?原爆かよ...


多分第七位階魔法のヴォルケイノ級の何かだな、いや...その上位版のヘル・ヴォルケイノかもしれん。


いずれにせよ流石誠奈だな、この威力。まぁ俺がさっき怒らせたからそのストレス発散も兼ねているのかもしれねーがな。


「あっちの方から聞こえてきたよな...?」


「何あれ!?...あんな雲初めて見たよ...なんか怖い。」


「この世の終わりの予兆か...?」


「まさか、魔王の生まれ変わり...?」


などと周りはまたなんかザワザワ言うのであった。








全員が一次審査を終了し、合否の判断の間に短い休憩を挟む。


その後一次審査の合否が発表される。


その間俺は緑豊かな草原に腰掛け綺麗な青空を眺めていた。


ザッザッと地を踏み鳴らす音が聞こえたのでそちらを向くと1人の女子生徒が立っていた。

俺は体を後に傾け、両手で踏ん張っている状態で空を眺めていたのでそのまま体を反って女子生徒を見やる。


「ねぇ、君さっきすっごい魔法使ってた人だよね?」


女子生徒が微笑みながら問いかけてくる。

その女子生徒は黒髪ボブカット、黒の瞳、身長は目算150と比較的普通、スタイルも普通の女子だ。


「あぁ、そうだが?なんか用か?」


未だに体を反ったままの俺を見下ろすように立っていた女子生徒は俺の隣に移動し「横、いいかな?」と、言ってくるので俺は頷き、彼女は腰掛ける。


「えっとね...用っていう程はないんだけどね、ちょっとお話したいなーって...それに、面倒な人いるから...」


ほう、面倒な人か...少々気になるがあったばかりなのに深堀はヤボと言うものだろう。


「あぁ、いいぞ。俺の名はマコト。マコト・カガヤだ。よろしくな。マコトって呼んでくれて構わない。」


「私の名前はリサ。リサ・ラングリッドだよ。リサって呼んでね。よろしく。」


リサはそう言ったあと俺と同じく青空を眺める。


「...空、綺麗だね...」


「そうだな。」


沈黙が流れる。そもそも俺あんま誠奈以外の女子とはあんま喋ったことねーし何言ったらいーかわかんねーよ...


...あ、試験。話題発見!


「...リサは試験どうだったんだ?手応えあったか?」


するとリサはうーんと唸り...


「微妙かなぁ?受かってればいいなぁって感じだよ。」


「なんだよそれ。」


「マコトはいいよね、あんなすっごい魔法使えるんだもんね...私なんか...」


そう言って落ち込み始めたリサに対し俺は...


「俺だってそんなにすごくねーぞ?妹の方がすげーさ、さっき五星塔Ⅰの方から爆音がなっただろ?ありゃ多分妹の仕業だ。」


「え!?あんなすごい魔法使える妹さんがいるの!?」


リサは驚き、聞き返してくる。


「あぁ、だから俺なんて大したことねーんだよ。」


「そうかなぁ?私は兄妹揃ってすごいと思うけどなー」


『 合否の判断が出ましたので五星塔Ⅱへ集まってください。』


アナウンス代わりの拡声魔法の声が響き俺は立ち上がる。


「さ、合否の判断が出たらしいぜ、行こう。」


「うん。そうだね。」


リサも立ち上がったので2人揃って五星塔Ⅱヘ向かうとゾロゾロと他の受験生が集まってきた。


全員が集まったことを確認した教官は拡声魔法で声を張る。


「では只今より入学試験一次審査の合否を発表する。受験番号を発表するので呼ばれた者はその場に残れ。呼ばれなかった者は残念ながら不合格だ。不合格者は即帰宅となる。」


ゴクリと生唾を飲む。隣のリサも心配のようだ。


「では合格者を発表する。


00855

42587

25685...」


と、次々に発表されていき...


「43852」


よし!俺の番号だ!まずは一次審査突破!


「おっしゃ!合格だ!」


「良かったね!」


リサは笑顔で言ってくるがその表情には冷や汗が浮かんでいる。もうほぼ半分以上呼ばれただろう。


そして冷や汗が浮かんでいると言うことはまだリサは呼ばれていないのだ。


「リサ、受験番号は何番だ?」


「...00285」


「そうか...呼ばれるといいな...」


「うん...」


リサは元気がない。まぁ無理もないだろう。


合否の発表は6割、7割と次々に呼ばれていき...八割を切った頃


「00285」


呼ばれた!


「やった!やったよ!マコト!私受かったよ!」


「あぁ!良かったな!」


パチン!と2人でハイタッチをする。


何故か自分のことではないのに俺も嬉しい。何故だろう?


「これで一次審査突破だよー。良かったー」


「だな。これで次に進める。」


その後も合否発表は進み...


「28431...以上を持って合否発表を終了する。

呼ばれなかった者はまた来年挑戦してくれ。」


教官のその一言と共に大多数。6000人以上が退散していく。


「こ、こんなに落ちたのか?」


「うん。ここの学院は厳しいの。一次審査で全滅って言うのも珍しくないらしいよ?」


「そうなのか...」


周りが低レベルだったせいで受かるのが当然と思っていた俺は唖然とする。他の奴らにとっては難しいんだ。


「では引き続き二次審査を行う前に1時間の昼休憩を挟む。1時間後にここに集合。解散!」


ゾロゾロと一次審査を突破した奴らがバラバラに別れていく。各自昼食をとるのだろう。


さて、じゃあ俺も移動するかな、誠奈にもちゃんと謝りたいし。


「じゃあリサ、俺は妹のところに行ってくるから二次審査でな。」


と、言い残し踵を返すと。


「ま、待ってマコト!」


リサに袖を掴まれて引き止められた。


「どうした?」


疑問に思い問いかけると...


「あ、その...良かったら私も一緒に...」


少々モジモジしながら言う。あぁ、なんだ。そういうことか。


俺はリサの方を向き、


「飯だろ?もちろんいいぞ。妹もきっといいって言うだろうし、いい機会だから妹にもリサのこと紹介するよ。」


と、言うとリサはぱあっと笑顔になり、


「ありがとu「ちょっと待て!」...またあいつ...」


リサがお礼を言おうとした時、俺たちの会話に割って入る男がいた。


その男は俺たちの元へズンズンと歩み寄り、


「リサは俺と昼食をとる。貴様は引っ込んでいろ。」


と、言ってきた。


おいおい...初対面のやつに対して貴様呼ばわりはないだろう。


「嫌よ!私はマコト達と食べるの!あなたこそ引っ込んでてよ!」


リサは半ば叫びながら拒否をする。


だが、その男は...


「リサ、お前は俺の婚約者だ。それなのに他の男と昼食をとるなどとそんなことが許されると思うのか?」


ンン?婚約者?


「そんなの知らないわよ!そんなものは親が勝手に決めたことでしょ!?これは私の人生だ!私のことは私が決める!」


「何をわがままを言っているんだリサ、学生時代から深く知り合っておけば後に結婚する時もしやすいだろうと思ったからこうしているのだ。」


ははーん...だいたい分かってきたぞ。

さっき合否の発表前の休憩中に言っていた面倒な人と言うのはこいつのことだろう。


親の決めた婚約が嫌なんだろうな。


「知らない!知らない!知らないっ!」


「リサ!わがままを言うんじゃない!」


と、徐々にヒートアップしていき、男がリサを無理やり連れていこうとしたところで俺が割って入る。


「はい。そこまでー。リサも少しは落ち着け、あとあんた。いくら婚約者っつっても嫌がってる女を無理やり連れていくのはそりゃ拉致と一緒だろーが。」


すると男は何が癇に障ったか知らないが額に青筋を立て...


「貴様ァ!この俺に対してあんただと!舐めるのも大概にしろ!」


「この俺?知らねーよ、自惚れてんのか?」


ハンっと鼻で笑って少々煽ってやるとキレやすいタイプなのかプライドが高いのか額の青筋が増えて怒鳴り散らし、俺に殴りかかってきた。


「貴様ァ!」


大ぶりの右ストレート。

うっわ...おっそー。

それもこの至近距離で?隙の多い大ぶりのストレートだと?馬鹿なの?対応してくださいって言ってるようなもんだろそれ。


俺はそいつの拳を軽くいなして躱し、男がいなされたことでつんのめったので足をかけてやった。


ズダーン!

と顔面からコケた男は相当ご立腹のようで顔を真っ赤にして立ち上がる。


するとまだいた他の受験生達が野次馬のように溢れ出す。


「お、おいあいつサドを怒らせたぞ!」


「やべーってあいつ死ぬって!」


などと周りのヤツらがほざいてやがる。

サドって誰やねん...あぁ、そこで寝そべってるゴリラみたいな巨漢か。


「この、この俺をここまでコケにしてきたのは貴様が初めてだ。」


「だからさっきからこの俺って言われてもこっちからしたら誰?なんよ。何?自分のことは誰でも知っている有名人とでも思って自惚れてんの?何それ?恥ずかしくない?」


ププーとわざとらしく嘲笑って煽ると...


おおーーおおー。怖い怖い。

お顔真っ赤っか。お猿さんみたい。


やばいやばい冗談抜きで笑いそう。


「貴様ァ。この俺を怒らせたこと後悔させてやる。俺はサド・ラルグリス・フォン・テレーザだぞ...?」


サドと名乗った男は金髪短髪でスポーツ刈りの頭。あとはどこのかは知らないが制服の上からでも分かるほどの筋肉質だ。身長は190超えているだろう。



ほう、ちと他のやつより名が長いな。どこかの貴族か?



「?そーか。俺はマコト・カガヤだ。」


「!?!?...き、きぃざぁまぁー...」


名前を名乗っても俺が態度を変えないところが癪に触ったらしく、相当怒っていらっしゃる。


「いいか貴様!二次審査は各予選グループに別れたトーナメント戦だ!予選を勝ち抜いたら本戦出場ができる。こんな喧嘩で本気を出すほど俺は器の狭い男ではない。本戦まで上がってこい。そこで俺がぶちのめす。二度とその舐めた口利けないようにしてやる。そして貴様が負けたらもう二度と!今後一切!リサと関わるな!」


ほほう...二次審査はトーナメントか...そんなことを知っているということはほんとにどこかの貴族なのかもな。贔屓しやがって。


後、十分器ちいせーぞ。


「いいだろう。乗った。だが、アンタが負けたらもうリサに関わるなよ?」


こちらも同じ条件を提示する。これぐらいいいだろう。


「戯け...俺が貴様ごときに負けるなど微塵もありえんゎ......首を洗って待っていろ。」


と、言い残しサドと名乗った男は去っていった。


「んー、大丈夫かな?」


と、俺が思わず呟くと俺の後ろにいたリサが駆け寄ってきて...


「大丈夫なんかじゃないよ!サドは...あいつはすごく強いんだよ?あいつが魔王の生まれ変わりなんじゃないかって言われているほどなんだから...」


魔王の生まれ変わり?あいつが?いいや違うな。魔王はもっともっと強い。あんなやつ魔王との差を図る物差しにすらならないだろう。


「いいやそうじゃない。あいつが俺と当たるまで勝ち上がってこれるかが心配なんだ。」


「...え?」


困惑した表情で見上げてくるリサに対して俺は...


「安心しろリサ、俺は必ず勝つ。そしてリサを自由にしてやんよ...」


そう言うとリサはガバッ!と俺に抱きついてきて...


「お願いだから...無理だけはしないでね?」


無理?そんなことするわけないだろう。完勝してやる。


「あぁ。任せろ。」


さぁどういう風に潰してあげますかね...


少しは楽しませてくれよ?サド...

いっつも書くのが遅いよね私。


でもね、言い訳ですけどね、調子に乗るとスラスラかけるんだよ?


ただね、調子に乗るまでが、書き始めるまでが時間かかるの



だから更新亀さんなの

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