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第4話 病院生活だぜ!妹よ!

4話目です!


今回は妹ちゃんの出番なし&戦闘なしです!


「ん...んん?...」


 


瞼越しに強い光を感じた俺は目を開ける。


どうやら俺は意識を失い、ベッドで寝ていたらしい。


見慣れない天井。ここはこの世界の医療施設。病院等だろうか?


まだ覚醒していない脳が俺の記憶に残る最後の記憶を思い出そうとする。


 


ああ、そうだ。確か俺はあのデカい鬼相手に一撃で戦闘不能にされたんだったな。


そんで...あれ?なんだっけ?


 


ズキンッ


 


「うっ!?」


 


思い出そうとすると頭が痛む。


あまりに鮮明に思い出せない中俺の視界に窓から入ってきた一陣の風に靡く綺麗な水色の髪が入った。


 


「どうやら目が覚めたようね」


 


その髪の人物が声をかけてきたので視線をその髪の人物に向ける。


 


「?......!?」


 


その髪の人物はあの『 舞姫』の二つ名を持つヴァルキリー騎士団副団長、アンナ・ヴァトルフ御本人であるのだ。


アンナさんは俺の眠るベッドの横で椅子に腰掛け本を読んでいたようだ。


俺の看病でもしてくれていたのだろうか?


 


うわ、ビビった。なんでアンナさんがここに?俺との関係性皆無じゃね?


 


「何もそこまで驚くことはないだろう?これでも君達の命の危機を救った恩人だぞ?」


 


「!?」


 


アンナさんの言葉で俺は思い出す。あの時、あの瞬間に誠奈が死にかけたことを。


 


「誠奈は!?誠奈は無事なんですか!?」


 


「わっ!?」


 


急にベッドから上体を起こし、アンナさんの肩を両手で掴み、問いかける。


アンナさんは驚きで目を見開きながらも応える。


 


「誠奈と言うのは君といた女の子だよな?彼女なら無事だ。だが疲労が溜まっていたのかあの時のショックなのかは分からないが今は別室で眠っている。」


 


「そう...ですか......はぁ...」


 


アンナさんの言葉に安堵のため息。どうやら無事のようだ。


 


「な、なあ...そろそろ手を離してもらってもいいか?」


 


その言葉に俺は状況を確かめる。


俺は今美人なアンナさんの両肩を鷲掴みして見つめあっている状況。いきなり女性の肩を掴むなど失礼だ。


 


「あ、すみません。」


 


謝りながら手を離し、冷静さを取り戻す。


 


「いや、いいんだ。君にとって彼女のことが大切なのだろう?ならその反応は仕方がないというものだ。」


 


アンナさんはこう言ってくれているがやっぱり失礼だよな。やっちまったなー。


 


「あ、あの...ここはいったい?」


 


周りをキョロキョロしてみるが分からない。どこだろう。やっぱり病院かな?


 


「ここはヴァルキリー騎士団が管理する病院だ。本部にはもっとでかい病院があるぞ?まぁここも結構でかいがな。」


 


やっぱり病院だったんだなー。でかい病院なら医療機器も整っているのだろう。はよ退院したいなー。俺この病院独特の薬品とかの匂いが嫌いなんだよね。


 


「それはそうと、彼女のことを心配するのはいいが自分の心配はいいのか?はっきり言って彼女より君の方が重症だぞ?」


 


「あ...」


 


アンナさんの言葉に自分の身体を見てみると全身包帯でボロボロだった。


 


「全く...まずは自分の心配をしたまえ、医者が言うには君の怪我は全身打撲、数ヶ所の骨折。3ヶ月は絶対安静...なのだが君は医者も驚く程に回復が速い。あと1ヶ月も経てば退院出来ると言っていたよ。ちなみに彼女は目が覚めればいつでも退院だそうだ。」


 


「そうなんですか。俺はてっきりあの時死んだのかと。」


 


俺は後頭部を掻ききながら応える。


うわ、いってぇ。ちょっと掻いただけなのに傷口に触れたようだ。


 


「あぁ、実際あの場で私が到着するのが少しでも遅かったら彼女は勿論、君も死んでいただろう。何せあの時の魔物は災害級の大物だからな。」


 


「災害級?」


 


知らない言葉に俺は小首を傾げる。


 


「なんだ?知らないのにあんな大物に挑んでいたのか?」


 


「す、すみません。全く知りませんでした。」


 


何も知らずに挑んでいた俺にため息を吐きながら説明してくれる。


 


「コホン、いいだろう。説明してやる。


災害級と言うのは魔物の中で最も危険な魔物だ。その名の通り災害並の被害を受ける。君が相対したやつはオーガや鬼と言われる魔物だ。本来なら災害級1匹の討伐は軍が大部隊を編成し、万全の準備を整えてから挑む相手だぞ?危うく死ぬところだったな。」


 


ひえー。俺そんな大物相手に突っ込んだのか?馬鹿だね。


 


「......まぁその災害級の魔物が束になってかかっても悪魔化した魔物には瞬殺されるのだかな...特に悪魔化した人間には...」


 


「え?なんか言いました?」


 


アンナさんが小声でなにか呟いたようだかうまく聞き取れなかったな、なんて言ったんだろう?


 


「いや、なんでもない。独り言だ。気にするな。」


 


「それなら、その災害級を単独で討伐した君はどうなのかね?」


 


と言うツッコミを入れながら部屋に1人の男性が入ってきた。イケメンの。


 


「ジーク...私に喧嘩を売っているのか?」


 


「いやいや舞姫に喧嘩を売るほど僕は愚か者ではないよ。はい、これお見舞いの品。」


 


右手をヒラヒラさせて否定しながら俺のベッドに腰掛け、紙袋を横の机に起き、アンナさんに言う。


 


この方は?と、アンナさんに目配せすると、


 


「あぁ。紹介しよう。こいつはジーク・クリスプ。我が国の魔法師団長を務めている。そう言えばまだ私も自己紹介をしていなかったな。私はアンナ・ヴァトルフ。ヴァルキリー騎士団副団長を務めている。」


 


へぇーこの人すげーイケメンの上に魔法師団長なんだ。なんか...言っちゃ悪いけどチャラそう。師団長って言う雰囲気ない。


 


「こちらこそ自己紹介が遅れてしまいすみません。俺はか...マコト・カガヤです。」


 


いっけね、危うく姓を先に名乗るところだったよ。この世界じゃもといた世界で言う外人みたいに名を先に名乗るんだよな。早く慣れねーと。


 


「よろしくな、で、なんで魔法師団長であるジークがここにいるんだ?師団長なんだから暇ではないだろう?」


 


「うん。暇ではないんだけど舞姫が災害級を討伐して冒険者を助けたって話しを聞いたからね、君が助けた子はどんな子かなーって気になったんだよ。」


 


ここに来て重要なことを忘れていた。命の危機を助けて貰ったのにお礼の一言も言っていないや。


 


「あの!その節はどうもありがとうございました。」


 


頭を下げて礼を言う。助けてもらっておいてお礼も言わないなんて人間としてダメだよね。


 


「いや、気にすることは無い。私はたまたまあの森で鍛錬をしていた時に信号弾が目に入ったから助けに向かったまで、当たり前のことだよ。そう言えば、よく信号弾を撃てたな。普通災害級を前にすると怯えて声も出ないのに。」


 


「それに関しては僕も同感だね、きみの歳くらいの時の僕だったら僕は何も出来ずに魔物の胃袋の中へ直行していたよ。」


 


「あの時は俺も必死になってとにかく誠奈だけは助けないとって思って自分じゃどうにもならないから誠奈に撃てと叫んだんです。まぁその後災害級にタイマン挑む様なヘマをしたんですけどね、ハハハ」


 


またもや後頭部を掻きながら苦笑いで答えることしか出来ない。ほんとバカやったなー。


 


「それでもすごいよ、確かに災害級相手にタイマン挑むようなやつはここにいるアンナくらいだけど「あん?」......その度胸はすごいよ。でも、死に急がないうにね?」


 


「は、はい。」


 


途中アンナさんが般若の様な形相でツッコんできたけどそれをスルーしちゃうんだねジークさん。


 


「そうだ、マコト君。アンナの騎士団に入って鍛えてもらったら?その度胸があれば騎士団の訓練にもついていけるよ。な?アンナ?」


 


「ああ、確かに訓練にはついていけると思うが...マコト君。君は今いくつだい?」


 


ジークさんの提案でアンナさんが問いかけてくる。


 


「歳ですか?17です。」


 


「じゃあ、学歴は?」


 


学歴?そんなもの異世界にもあるんだな。俺は飛ばされてからどっかの学校なんか通っていないから学歴はなしだな。


 


「どこにも通っていません。」


 


と、答えるとアンナさんは「あーやっぱり」と、右手を顔に当てて項垂れる。あれ?俺なんかした?


 


「やっぱり、まだ若いな。一応私たちの騎士団は18から入団試験を受けることが出来る。ほら、もうここでアウトだ。それにウチは厳しくてな、恐らく今の君じゃ合格できないだろう。それにそもそも年齢制限はよくても学歴がダメだ。少なくとも騎士養成学院か魔法師養成学院を卒業しなくてはならない。コレは私の副団長と言う、権力でもどうにもならなくてな、一応私の権力を使って入団させることは出来るのだが、もしその事が公に知られたらほかの団員に示しがつかないのだよ。すまんな。」


 


「そうなんですか。だったら仕方ないですね。」


 


「んー、だったら養成学校に入ってみる?今はもう入試の締切過ぎちゃってるけど魔法師養成学院なら魔法師団長である僕のコネでどうにかできるよ?と言っても入試を受けれるようにするしか出来ないんだけどね。」


 


おぉ!魔法師養成学院か、俺が行くなら誠奈も着いてくるだろうし誠奈はトータルマジシャンだ。魔法を磨くのにもうってつけだろう。


 


「あの、ジークさん。そこの入試受けたいです。妹の誠奈も受けると思うので二人分お願いします。」


 


「おや、妹さんがいたんだね、まぁ問題ないよ。じゃあ僕はその事とかで色々手続きなどがあるからここで失礼するよ。じゃあね、マコト君、アンナ。明日もお見舞いに来るよ。」


 


「はい。よろしくお願いします。」


 


「さっさと失せろ。」


 


「可愛くないねー。」


 


と、最期に入ってきた時と同じく右手をヒラヒラさせながら出ていった。


 


「そうだ。マコト君。君の得意な武器はなんだい?私の行きつけの武器屋で買っておいてあげるよ?いくら魔法師養成学院でもメインが魔法の訓練なだけで近接戦の訓練はあるからね武器も必要だよ。」


 


え?買ってくれるの?いやいやいや、命の恩人に恩を返すどころかまた借りを作るだなんてできねーよ。


 


「いやいや、いいですよ。安い武器をいますから。」


 


俺が断るとアンナさんは目を鋭くさせて...


 


「ダメだ。君を助けた時に君の武器を見たがあれは安物だろう?あんな武器で災害級に挑むバカがどこにいる?装備はちゃんとしたまえ、死ぬぞ?」


 


!?......俺はまた過ちを犯すところだった。この前安物の武器をへし折られたのに。あの時はアンナさんが助けてくれたが次も運良く助けてもらえるとは限らないじゃねーか。


 


「申し訳ないならいつか払える時に払ってくれればいい。」


 


ほんとに申し訳ないんだが、仕方が無い。ここは甘えておこう。


 


「あの、よろしくお願いします。」


 


「あぁ。任せてくれ、武器は何がいいんだ?」


 


「素早さに自信があるので軽さ重視の槍をお願いします。あ上鎌十文字槍でお願いします。」


 


申し訳なく。渋々言うと...


 


「ああ、わかった。軽さ重視の上鎌十文字槍だな。いいものを買ってくる。任せておいてくれ。」


 


アンナは思わず見とれてしまいそうなほどの笑顔で答えてくれた。


アンナさんって切れ長の目で凛々しい感じの人だけどやっぱり美人だな。


 


「それじゃあ私はこれで失礼するよ。明日もお見舞いに来るからその時に槍もわたすよ。」


 


アンナが席を立ちながら言う。


 


「あ、はい。よろしくお願いします。」


 


「ああ、じゃあな。マコト君。」


 


「はい。お気をつけて。」


 


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 ̄ ̄ ̄ ̄


 ̄ ̄ ̄


 ̄ ̄



 


 


 


 


 


 


 


 


 


翌日。俺はベッドで昨日ジークさんがくれた林檎と、アンナさんがくれた梨を齧っていると...


 


「マコト君。アンナだ、入ってもいいか?」


 


アンナさんだ。お礼を言わないとな。


 


「はい。どうぞ。」


 


ガラガラとスライドドアを開けてアンナさんが入ってくる。


 


「こんにちは。マコト君。はい。頼まれていた槍だよ。」


 


と、アンナさんから手渡されたものは布で覆ってあるが形状からわかる上鎌十文字槍だ。


 


「ありがとうございます。開けてもいいですか?」


 


「あぁ構わないよ。これはもう君のものだ。」


 


シュルシュルと布を取ると、その槍は歯の部分は龍が掘ってあり柄の部分は真っ赤に舗装されていて。柄の先端は金の龍の装飾が施されてある。元の世界で何本も槍を見てきた。コレはかなりいいやつだぞ。切れ味ハンパないだろうな。


 


「あ、あの、これすんごく高そうなんですが。いくらしたんですか?」


 


恐る恐る聞くと...


 


「ん?白金貨で300枚だ。」


 


「さ、300枚ぃー!?」


 


それって、えぇーと確か白金貨が1枚5万円だよな?それが300枚だから......1500万!?一千万オーバー!?


そんなの代物をこの人サラッと!?


 


「た、高すぎますよ!こんなの払いきれません!」


 


「アハハハハ! いや、気にするな。昨日払える時に払ってくれればいいと言ったがコレは私からの贈り物だ。貰ってくれ。」


 


「いや、でも...」


 


「いいと言っているだろう。貰ってくれ。」


 


「は、はい。大事に使わせてもらいます。」


 


「うむ。」


 


アンナさんが腕組みして頷くと同時に...


 


「マコト君。ジークだ。入ってもいいかな?」


 


ジークさんだ。入試の件上手く行ったのかな?


 


「はい。どーぞー。」


 


ガラガラとスライドドアを開けてジークさんが入ってくる。


 


「こんにちはーマコト君。おや?その槍はもしかしてグリードの槍じゃないかい?」


 


「グ、グリード?」


 


知らない言葉に困惑していると。


 


「知らなかったのか?コレは隣国のウィルド国にあるグリード工房が制作した槍なんだ。」


 


アンナさんが説明してくれる。へー、グリードねぇー。


って言われてもよくわかんない。俺氏


 


「グリード整の武器はどれも質が良くてね。世界的に有名なんだよ。すんごい高いけど。」


 


有名なんだな。そんなものを貰えていいのだろうか?


 


「あの、アンナさん。コレ、本当にありがとうございました。」


 


改めてお礼を言う。いいもん貰えたなー。


 


「大事に使ってくれよ?」


 


「はい!」


 


それにしても、ほんとにいい槍なんだな。確かに俺から見ても名槍なのは分かる。ぜってー切れ味ハンパない。


 


「んじゃ、マコト君。魔法師養成学院の受験票だよ。妹さんの分も。」


 


その言葉と共に渡された受験票には受験番号や名前などの必要事項が記されていた。


 


「入試当日はあと2ヶ月後だから今から鍛えればどうにか間に合うよ。近接戦はアンナが教えるし。魔法は僕が教えるから。」


 


「ちょっと待て、何勝手に私を巻き込んでいるんだ。」


 


「いいじゃないかアンナ、君が教えてくれると助かるんだよ。僕は近接戦は専門じゃないからね。ほら、マコト君のためだし。」


 


アンナさんは一息ため息を吐き...


 


「はぁ...勝手にしろ!」


 


了承してくれた。やっぱりアンナさん優しいよね。


 


「よーし。それじゃ、近接戦は世界的に有名なヴァルキリー騎士団の副団長が直々に教えてくれるし、魔法はこの国の魔法師団長の僕が教えるんだからきっと合格出来るよ。なんなら新入生首席を取っちゃおう。」


 


「お、俺にできますかね?」


 


「きっとできるさ!よし!そうと決まれば退院次第早速訓練をしよう!」


 


「私が教えるからにはビシバシ行くからな、覚悟しろよ?」


 


「はい!よろしくお願いします!」


 


「あ、そーだ、マコト君、アンナの指導は鬼レベルだからね?」


 


「え?」


 


「男ににごんはないよな?今更辞めるなど許さんぞ?」


 


「は、はい...」


 


どうやら厳しい訓練が待っているようだ。


 


 


 


Oh nooo!!!


あら、

早速ストックが尽きました...


次回は今週の日曜日に出せたらいいなと思っています。

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