☆5 ピンクの宿屋のピンクルさん
しばらく歩くと、ピンク色の看板が目立つ建物を見つけた。
見た目は2階建ての建物。
全体的に。木でできている。
流石に、宿屋自体はピンク色ではない。
宿屋の庭には、井戸が設置されていた。
宿屋のドアを開けると、1階は食堂(お食事処)と受付2階に上がる階段が見えた。
「いらっしゃいませ。お食事ですか?お泊まりですか??」
受付にいた女性が声をかけてくる。
髪の長さはショートカット。
髪の色はピンク色。
ボーイッシュな感じの女性だ。
年齢は18歳くらいだと思う。
身長は160cmほど。
スラリとした体型をしている。
「泊まりでお願いします。1泊いくらですか?」
「平日お泊りは1泊、2000円で、休日お泊りは3000円。朝食300円、夜食300円、身体を拭く用のお湯100円、洗濯100円で行なっています」
日本に比べるとかなり安く感じる。
身体を拭く用のお湯を売ることを聞くにお風呂なんてものはないんだろうね。
飲食店では、お水でもお金をとりそうだ。
そして、洗濯してくれるならありがたい。
朝食夜食もお願いして、身体をふく用のお湯、洗濯もお願いして、3000円いかないくらいか。
良心的な値段だね。
俺の今の手持ちは、6500円だから、足りる。
「1泊で、お願いします。お風呂ないですよね?」
この異世界は、1週間が7日(風曜日・火曜日・水曜日・回復曜日・雷曜日・土曜日・闇曜日)で成り立っている。
曜日が風の日は風魔法の威力が上がる。
そして、闇曜日の日は、すべての魔法の威力が上がる。
人だけでなく、モンスターなどの魔物も同じく、魔法の威力が上がる為、魔法使いである冒険者は休みにしていることが多い。
「了解です。1泊ですね。前払いですけど大丈夫ですか?すみません、お風呂はありません」
「はい、大丈夫です。分かりました」
女性は受付の台に置いている紙の束とインクのついた羽ペンを俺の前に置く。
名前を書けということだろう。
紙は白くなく、薄茶色の羊皮紙のようだ。
「ここにサインをお願いします。」
アクアと名前を書く。
「アクアさんですね。私の名前は、ピンクルです。よろしくお願いしますね。ご飯の時間は、17時から19時までですので、お忘れなきようにお願いします。時間外はお出しできないか追加料金いただきます」
ひと通り説明を受けて、部屋の鍵を渡された。
鍵は。木でできているようだ。
木の鍵には、10と数字が彫られていた。
部屋は2階の壁際ですと教えてもらった。
「はい。ありがとうございます。忘れずに食べに来ます」
あっ、明日着る用の洋服買ってなかったね。
3700円しかないけど足りるかな?
〜洋服屋〜
「いらっしゃい」
60代くらいのお祖母ちゃんがいた。
前かがみになって歩いている腰が痛いのだろうか?
店の品物を見る、どれも自分のお金で買えるほど安くない。
『ドスンッ』
お祖母ちゃんが、足元に落ちていた石に躓いて転ける。
痛そうだ。
「大丈夫ですか?」
お祖母ちゃんに声をかけた。
「大丈夫じゃ。ありがとの」
お祖母ちゃんはそう言うが痛そうな顔をしている。
「ビッグヒール、アノヒール」
『ビッグヒール』は、もともとこの異世界にあった回復魔法設定レベル3の魔法。
『アノヒール』は、新しく作成した回復魔法の技で異常を治す魔法。設定レベル6。
身体の異常を、治す回復魔法である。
【ビッグヒール】設定レベル3
□説明
・体力をミディアムヒールより回復し、傷もミディアムヒールより治す。
『アノヒール』 設定レベル6
□説明
・身体の異常を、治す回復魔法。
「なっ、なんじゃなんじゃ、回復魔法かの?」
白い光の輝きがお祖母ちゃんを包み込み輝き出す。
「大丈夫ですか?立てますか?」
お祖母ちゃんの手を握り立たせる。
「立てる、腰も痛くない、視界もぼやけておらぬ。よく見える。膝も痛くない。お主、すご腕の回復魔法使いかの?」
「凄腕とかじゃないですよ?(笑)治って良かったです。回復魔法新しい技が増えたみたいなんですよ」
日本人は謙遜の生き物だと思う(笑)
「確かに、長年生きてきたが、こんな魔法の話は聞いたことがないの」
お祖母ちゃんは、余程嬉しいのか、子供のように飛び跳ねる。
お年寄りが飛び跳ねる光景、シュールだ。
「お礼がしたい。この洋服店の物なら3セット無料で良い」
お祖母ちゃんは、走り疲れると俺のもとまで来てそう告げた。
「いいんですか?ありがとうございます」
嬉しい誤算だ。
新品のパンツと靴下シャツズボン、春用のコート、身体を拭く用の布を頂いた。
総額、100万円。うん、高いよね。
すっかり忘れていたのだが、異世界物だと、普通古着屋で一般市民は服を買う。
新品購入はお金を持っている者か特別な時にしか、購入しない(笑)
うっかりアクアである(笑)