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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
6/23

熱くなるタイプ

文字が長くなったり短くなったり...

統一せんかい!って自分でも思います...

でも、1度浮かんだら、ガガっと書かないと気が済まないというか...なんというか...

あ、今これを見てる人、ありがとうございます!

良かったら評価よろしくお願いします!

「いやー、いい買い物しちゃったねー!」

カーラはニコニコしている。

貰った1000ゴールドを使って、僕の武器とカーラの武器、あとは新しい包丁を買った。

残り150ゴールドか...まだ、まだ大丈夫...

「こんなにゴールドが貰えるなんて、薬草を納品してたのが馬鹿みたいだよ」

カーラははぁー、とため息をついてこちらを見た。

「ラクって本当に強いんだね...なんか私、役に立ってないんじゃないかな...」

「そんな事ないって、カーラがいなかったら、僕は路頭に迷ってたよ」

「そ、そうかな...?」

「うんうん、カーラ様様だよ」

「えへへ...」

「さて、ご飯にする?」

「うん!ごはーん!」

まるで子供みたいだ...なんて思ったりして







「ごちそうさまー!」

「お粗末様ー、さっさとお皿持ってきてー」

「はいはーい」

流石に二日連続で肉は「太っちゃう」らしいので、焼き魚にした。

なんでも食べる人でよかった。

「...ラクってさ」

「ん?」

ささっと皿を洗っている僕をまじまじと見つめながら言ってきた。

「どうしたの?」

「えーと...なんというか、不思議だよね」

「今更?」

「えへへ...今更かもしれないけど、ラクって、そばに居ると安心できるというか...」

「おっ、告白?」

「ちがーう!...って、ラクってそんな感じだっけぇ?」

「さぁ、カーラとはもう慣れたからね、冗談の一つや二つ言うさ」

「うむむ...ちょっと前は私に敬語使ってたのに...」

「敬語使ってほしいの?」

「違う違う、そうじゃなくてさ...」

「そうじゃなくて?」

「そうじゃなくて...そうじゃなくて...そうじゃなくてアタック!」

カーラは唐突に僕の横腹を突いた。

「痛った!何も浮かばなかったからと言って、叩くんじゃありません!」

「えへへ...あ、お風呂入ってきまーす」

「はいはい、行ってらっしゃーい」

「...覗かないでね?」

「あなたの体を見てもなんも得はないっつの...あだぁ!」

今度は背中にハイキックが入った。

「しつれーね!全くぅ...」

カーラはドスドスと足音をたてて風呂場へと向かった…

「...へへっ」

なんでかは知らないが、何故か笑いがこみ上げた。

笑いと同時に、頭痛がした。





「いいねぇ...それでこそ...だよ!」

「へへっ...そっちこそ!」

「オオォ!」

「「どうした!?もっとかかってこい!!」」






今のは...?

僕の記憶なのか...?

よくわかんない...

よくわかんないけど...

何か大切な人との思い出だった気がする...

大切な...

「おーい、どうしたの?」

「ん?いや、何でもない...」

少しだけ時間が経っていたみたいだ。

「...本当にぼんやりとしか見えてないんだねー」

「え?」

「私今、タオル1枚なんだけど」

「早く服着なさい!」

「きゃー、襲われるわぁー」

「はぁ、全く...」

恐らくニヤニヤしているであろうカーラを尻目に、僕は寝る準備をした...




「ねぇ」

「何?」

「明日はどんなやつがいい?怖そうなやつ?それとも強そうなやつ?」

「いや、カーラでも倒せそうなやつで」

「それどういう意味よ!」

「僕、カーラが戦ってるとこ見た事無いんだけど」

「うっ...」

「まぁいいや、明日決めよう...」

「そ、そうだね...おやすみー...」







「ねぇ、今日はどんな依頼がきてる?」

「いや、依頼っつーか...」

管理人は何となく浮かない顔をしている。

「どうしたの?」

「いや、カチュが帰って来ないんだ」

「あの私達の依頼書をとった泥棒猫が?」

「えらい言い様だな...まぁ、カチュならトロル如き、さっと殺ってるだろ。にしても、道草を食うなんて珍しいな...」

「あの、僕達がトロルを本当に倒したか、見に行ってもいいですか?」

「は?なんでお前らが?」

「いや、ほら、トロルってやつがどんな奴かを確かめたいんです」

「お前らがトロルクラスの依頼書を受けるなんざ5年は早いと思うが...まあいい

死体を確認したいんなら行ってこい」

「えぇー?なんで行くの?」

カーラはどうやら不満げらしい。

「だって、カチュって人は本当に強そうだよ?きっと泥棒猫らしく、何処かで他人の依頼書を取ってるのよ」

「本当に恨んでるね...何となく気になるからさ」

「気になるって?トロルが?」

「いや、トロルもなんだけど、彼女が道草を食うタイプだとは思わないんだよね」

「というと?」

「...トロルにやられた、とか?」

「「そんなまさか!」」

管理人とカーラは声を揃えて言った

「あいつはそんなヘマする奴じゃねえさ」

「そうよ、それにやられたとしても、私達にはかんけーないわ!」

「じゃあ行くのがいや?」

「い、嫌じゃないけど...」

「じゃあ行こうか」

「うう...仕方ないわね...」

カーラは乗り気ではないが、付いてきてもらうことにした。





リタル洞窟。

水晶が広い洞窟内を覆っている。

魔力を帯びているのか、水晶は朧げに光を出している。

主にコウモリ系の魔物が住んでいるが、稀に人の目を避けて生きている狙われた魔物もいるらしい。





ここにトロルはいるらしい。

「なんだか幻想的ね...お土産に一欠片ぐらい持って帰ろうかしら」

カーラはあちこち見ているのが分かる。

「はいそこ、水晶を剥がさない」

「えへへ...ごめんなさーい...にしても」

カーラは辺りを見回した。

「カチュって人は、相当暴れるのが好みらしいわね...」

至る所に吸血コウモリの死骸がある。

コウモリは焼け焦げていたり、凍らされていたり、全身がバラバラになっていたり...

どうやら色々な魔法が使えるらしい。

「...?」

カーラは何かの窪みに近づいた。

「これ...足跡?」

もしかすると、これはトロルの足跡かもしれない。

「カーラ、とりあえず追ってみよう」

「分かったわ」

カーラと僕は足跡を追いかけた...






「ここが洞窟の一番奥...?」

私とラクは足跡を追ってみたが、広い広間に出ると、至る所に足跡があって、これ以上の追跡はできなかった。

「もしここが洞窟の一番奥だとしたら、この辺りで死体があるはず」

私とラクは、死体を探してみた。

...ない。何処を探しても死体がない。

「...ッ!カーラ!危ない!」

私はラクに思い切り突き飛ばされた。

「いたっ...って、ラク...?」

目の前には軽の家よりも大きい巨人が立っていた。

「ぐげげ...こりゃまたべっぴんさんじゃねぇか...ん?あぁすまねぇ、あんたの連れ、ぶっ飛ばしちまったよ」

ラクが壁に叩きつけられていた。

あの様子、恐らく右腕と右足が折れている。

だが、それよりも私が驚いた事があった。

まず、トロルが生きていたという事。

そして、本来だったら苦痛で歪んでいるはずのラクの顔が...

笑っていた。

と言うよりは、なんというか...言葉で説明するとしたら、充実感のある顔というか...そんな顔だった。

「ラクっ!」

「おっと、どこ見てるんだァ?こっち向けよお嬢ちゃん」

トロルは棍棒をこちらに振り下ろしてきた。

私は突き飛ばされた姿勢のまま横に転がって、何とか棍棒をよけた。

棍棒が当たった地面が砕けている。

もしあんなのが当たったら...

私は震えた。

「おっと、怖がらなくていいんだぜェ?すぐには殺さねぇからよォ」

トロルは卑しい目でこちらを見ている。

「へへへ...あの女よりも楽しめそうだァ...」

トロルは舌なめずりをしている。

やはりラクの言う通り、カチュはやられたのだろう。

とりあえず、ここは逃げるか...

いや、ラクを置いて逃げる訳には行かない。

だが、自分はどうすればいいのだろうか...

今まではなんだかんだでラクが助けてくれたが、今度は違う。

ラクは動けない。今度は私がやる番だ。

「うぉぉぉぉぉぉ!」

私は体の震えを抑えつつ、トロルを切りつけた。

「へっ、なんだァ?そのおもちゃはァ?」

銅の長剣ぐらいでは、いくら剣を振ったってトロルを切り裂くことはできない。出来てせいぜい突き刺す事ぐらいだ。

だが、見た感じ効果はないみたい...

「ふんっ」

私はトロルに手で払われた。

体が嘘みたいに軽く飛んでいった。

壁に叩きつけられて、私は意識が朦朧とした。

あぁ...私、死ぬんだ...そう思ったその時、信じられない出来事が起きた。

ラクが立っていた。

足が折れているはずなのに?

もしかして、幻を見ているの?

私は信じられない出来事に、思わず意識がはっきりとした。

何故トロルが突然現れたのかも分かった。

あの時は近すぎて分からなかったが、距離をとった今、やっと謎が解けた。

トロルの皮膚は、岩の模様によく似ている。

水晶のアクセサリーをしていて、まるで洞窟の一部のようだった。

恐らく、カチュも分からなかったんだろう。

魔物の癖に、アクセサリーなんかつけちゃって...

あれ、自作なのかな?意外と器用なんだ...

どうでもいいことばっかり浮かんでくる。

そうこうしているうちに、ラクが腕をぶんぶんと振っている。

「うん、もう大丈夫みたい」

折れているはずなのに?

私は訳が分からなかった。

ただ見ていることしかできなかった...

「ふふふ...いいねぇ、この感じ」

ラクはニヤニヤしながらトロルに話しかけた。

「僕さ、記憶を失って、初めて魔物の攻撃を受けたんだ。」

「はァ?お前、一体何の話をしてるんだァ?」

「この感じなんだよ」

「何がだァ?」

「これが戦ってるって感じ。僕、だんだん熱くなってきたよ...」

そういうとラクは、信じられない速さでトロルの足元に近づき、私が突き刺した剣を抜き取った。

「なァ!?いつの間にィ!?」

「ハァァァァ...」

ラクは息を吐いて、思い切り飛び上がった。

家よりも大きなトロルよりも高く飛び上がって、彼はトロルの目に長剣を投げつけた。

グサッという音と共に、洞窟が崩れんばかりに大きな悲鳴が轟いた。

「ブガァァァァァァァ!!ゴロジデヤルゥゥゥゥゥ!!」

トロルは思い切り棍棒を振り回した。

「甘いね」

凄いの一言しか出なかった。

ラクは棍棒よりも速く剣を振り、棍棒を切り落とした。

「ガァァァァァァァァ!!!」

棍棒が切り落とされた事が分かっていないトロルは、もはや武器とは言えない短い木の棒を振り回していた。

「トロル、お前には感謝したい。」

ラクはトロルの後ろに回り込みながら話しかけた。

「お前のおかげで、僕は更に強くなるだろうね」

「ウガァァァァァァ!!!」

トロルは目に刺さった長剣の痛みで話を聞いていなかった。

「だけど、もうそろそろ終わりだ」

「ガァァァ!?」

トロルが振り向いた途端、ラクはとんでもない速さで剣を横に振った。

真空刃がトロルの首を跳ねた。

「へぇ、このサイズの剣は真空刃が出せるのか」

ラクは少し驚いたような声で言っていた。

大きな物音と共に、トロルは倒れた。

「たとえ銅だろうがなんだろうが、真空刃だったら大体は切れるよね...」

勝った...?

「ラク...!」

「カーラ!大丈夫!?」

「いや、それよりも...ラク、あなた...」

「腕とか足の事だったら聞かないでね、僕自身もびっくりしてるんだ」

どうやらラクも分かってないらしい。

...そういえば、カチュは何処にいるんだろう?

「カチュは...?」

「そうだ、カチュ!」

洞窟からは静寂が帰ってきた。

「まさか...」

ラクはトロルの腹を切り裂いた。

腹からは何も出てこなかった。

「あんな短時間で消化が終わるとは思えない...きっとどこかに...」

ラクはそう呟くと、トロルのいた壁付近に行った。

「もしかして...」

ラクは壁を切りつけた。

すると壁が崩れて、小部屋が現れた。

そこにはトロルの寝床と思われる所にカチュが倒れていた。

「カチュ!」

私とラクはカチュの元に向かった。

「...大丈夫?」

ラクが声を掛けると、カチュは目を覚ました。

すると、みるみる目から涙が溢れ始めた。

「あああ、大丈夫だって!トロルはもうやっつけたから!」

「ひぐっ...怖かったよぉ...死ぬかと思ったよぉ...!」

あのカチュが、こんなに泣きじゃくるなんて...

ま、そりゃそうか。あんなのに食われたりでもしたらと思うとそりゃ怖いよ...

カチュの意外な面を見た私は、少し同様していた。

「大丈夫大丈夫、ほら、僕達が助けにきたから、ね?」

「ぐすっ...うん...」

ラクはカチュを抱きしめ、頭を撫でている。

...なんだか、ちょっとモヤッとした気がする。

「ほら、立てる?」

「うん...」

カチュは少し落ち着いたのだろう、私の方を見て

「貴女は大丈夫?」

とこちらを心配してきた。

「うん...ちょっと肩がズキズキするけど」

「肩?...カーラ!肩が折れているじゃないか!」

「へ?あっづ...」

自分で確認するまで気付かなかった。

肩は紫色に変色していた。

気づくまでズキズキ程度だったのに、視認した途端にさっきの数倍の痛みを感じた。

「ちょっと見せて...」

カチュがこちらに近付いてきた。

「...リヒール」

カチュが呪文を唱えると、みるみる肩が治っていく。

「おおお...もう何ともない!」

「そう、よかった」

カチュは微笑んでそういった。

「よし、帰ろうか」

ラクは私を背負った。

「ちょ、ラク...!」

「まあまあ、多分相当疲れてると思うから」

「疲れてるって...そんなこと...」

いや、実際かなり疲れてる。

ラクの背中は妙に心地よい...

「ほら、ウトウトしてる」

「ふふふっ、まだまだ実戦が足りてないって事ね」

「そんな...こと...ない...もん...」

私は確か、そんなことを言って眠りに落ちた...







「まさかカチュがしくじってたとは...」

「ええ、まさか擬態していたとは思わなかったわ...油断していたみたい」

「で、そのトロルは?」

「僕が倒しましたよ」

「...嘘は良くないぞ?」

「いえ、この目で死体を確認したわ、首が跳ねられ、腹が裂かれていたわ」

「...トロルに何が恨みでもあったのか?」

「いえ、カチュが食べられたのかと思って、確認しようかと...」

「あら、心配してくれたの?」

「まぁね...見つけた時はびっくりしましたよ。カチュの目が覚めた瞬間に...」

「それ以上言うと炎で焼いてから氷で凍らせて、雷で氷を砕いた後に風でバラバラにするわよ」

「...その様子だと、あんたはカチュの何かを見た訳か」

「まぁ、あんな所に1人だけですからね...」

物凄い殺気がするから、泣きじゃくってたところは言わないでおこう...

「ま、とにかく、これは報酬だ」

僕は4000ゴールドを貰った。

「カチュ、はいこれ」

僕はカチュに2000ゴールド渡した。

「...これは?」

「だって、これは元々カチュの依頼だろう?僕がこんなに貰ったって、使い道がないよ」

「...ふふっ、何言ってるのかしら?」

「え?」

「だって、あのトロルは貴方が仕留めたでしょう?私はあのトロルにやられて気絶しただけ。救助依頼がきてた訳でもないのに、助けにきた貴方が全額貰うのは当然だと思うわ」

「でも...」

「じゃあ私が貴方へ迷惑をかけた迷惑料として受け取って頂戴、それでいいかしら?」

「わかったよ、でもその代わり...」








「貴女、いつまで寝ているつもり?」

「んあ...?」

結構ぐっすり眠っていたらしい。

外はもう暗かった。

「ふふふ...今日はいっぱいゴールド貰ったからね...ご馳走にしまーす!」

どーんと、お肉がでてきた。

「おおー!...ってなんでカチュもいるのよ?」

「いや、僕がご飯に呼んだの」

「えぇー、そんな事したらお肉が少なくなっちゃう...」

「貴女、この量でその心配はしなくていいんじゃないかしら...?」

ざっと5人前はあるそのご飯の量に、カチュは驚いていた。

「カチュ、この娘はそこら辺の娘とは胃袋の出来が違うのだよ」

「そうそう、私の胃袋はトロルよりも広い...って何言わせんのよ!」

「ふふふっ...」

カチュは楽しそうに笑った。

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