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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
4/23

男の謎、そして傭兵へ...

うう...まずい...まずいぞ...

他の人と文の構成が全然違う...!

もう4つ目だから今更修正しても...

なので、一区切りついたら文の構成を変えてみます...

って言っても、見てる人がいるかどうか...

あ、今これを見てくれてる人、ありがとう!

頑張りますよ、たとえ誰も見なくても

「...ここが私の家」

「...えーと、まぁ、綺麗ですね...」

まさか恋人でもないのに男の人を家にあげるとは...

そして私は気づいている。

男が本心で言っていないと。

だって、男の人が来るとか思うわけ無いじゃん...

掃除もろくにせず、辺りにゴミが散らばっている。

こんな事になるなら、こまめに掃除しておけばよかった...

「...とりあえず、掃除します?」

「...うん」

うう...他人と一緒に部屋を掃除するなんて...なんだか恥ずかしい気分になるなぁ...。

さっさと終わらせよう...




「いやぁー、随分綺麗になりましたね!」

「そ、そうだね...」

男はかなり几帳面というか、綺麗好きというのだろうか...

きっちり燃えるゴミと燃えないゴミを分けていた。

これでひと段落ついたところで...

「あの、いくつか質問があるんだけど」

「質問ですか?」

家に案内するまでに、自分の中でいくつか質問する事を纏めていた。

「まず...なんで目を閉じているの?」

「これですか...いやぁ、目を開けようとしても、開かないというか...」

「開かない?」

「はい、まるで封印でもされてるみたいです」

「ほんとにぃ?」

私は男の瞼を上に上げようとしてひっぱってみた。

「痛い痛い!」

本当だ...まるで封印されてるかのように離れない。

「えー...なんでそんな状態なのに私についていけたの?」

「えっと...なんか、見えるんです」

なんかと言われても...っていっても、本人が説明出来ないのなら「なんか」というしかないのだろう。

「なんか、ねぇ...」

「はい、なんか、です」

...次の質問をしてみよう。

「次に、なんで空から落ちてきたの?なんで無事だったの?普通死ぬでしょ?」

「えーっと...それがですね...全然記憶にないし、なぜ無事なのか自分でもわかんないです...」

いわゆる記憶喪失というやつなのだろうか。

いや、あの高さから落ちてきて、記憶喪失で済むこの男は一体何者なんだろうか...

「1番古い記憶は、あなたに裸をみられたところです」

「...なんか、ごめんね?」

なんとなく謝ってしまった...

「次、あなたは名前がないのよね?」

「はい、名前ですら思い出せません...」

...困った。

名前がないと傭兵として仕事が出来ない。

「名前はどうする?」

「名前...ですか」

「えぇ、これからパートナーになるわけだし、名前がないと何かと不便でしょ?」

「そうですねー...うーん...」

「落ちてきたから、名前はオチオとか?」

「いやです」

即答された。

「即答するな!」

「いや、すみません...でも、なんというか...いやなんです」

なんとなくで即答された...

まぁ、自分にネーミングセンスはないとは思っていたけど...

「じゃあ、何がいいのよ」

「そうですね...落ちてきたので、ラク、というのはどうでしょう?」

「私と似たようなもんじゃない...ま、あなたがいいんならそれでいいんじゃない?」

「わかりました、これからラクと名乗らせて貰います!」

「えぇ、これから宜しくね、ラク」

こうして、パートナーになったカーラとラクは明日から始める予定の傭兵仕事に備えて、晩飯抜きで眠ることにした。

「...うう、お腹すいた」

「ごめんなさい、僕の為に...」

「いいのよ、自分がした事だし。さっさと寝て、明日に備えましょ...」







「なんでだめなのよ!」

「だって、使えるって武器がねぇっていうじゃねぇか」

うっかりしてた...

傭兵として名前を登録する際に主に使う武器を記入する事を忘れていた...

「カーラさん、ごめんなさい...」

「あんたもあんたでこんな奴のパートナーになるっておかしな事考えるよなぁ?」

「うぐっ...」

「魔物退治だってした事ねぇらしいじゃねぇか」

「うぐぐ...それは...依頼書が...」

「いいか、傭兵仕事もな、遊びじゃねぇんだよ。ザコ相手に命を落とすやつもいる。あんたは薬草でも取ってきな」

「ううう...」

「僕、剣が使えます」

えっ...?

「ほぅ、剣が使えるって?」

「はい、そりゃもう、魔物がいたらバッサバッサと...」

「そんなにいうんなら、パープル平原にいるスライムでも倒してきな。証拠として、このビンにスライムの液体を詰めてな」

ビンを手渡されたラクは、

「では、行きましょうか、カーラさん」

と、手を引かれてしまった。

「ちょ、ちょっと!」



「まったく...ビンが無駄になっちまったぜ、なぁ皆?」

酒場にいる人達は皆笑っていた。

「...」

ただ1人を除いて。






スライム。

鮮やかな青色の半透明の体をもつ軟体生物。

人に危害を加えることはない、いわゆる「草食スライム」と、人に危害を加える、「肉食スライム」がいる。

肉食は、人を食らった証拠として、体が赤くなっている。





「別に肉食スライムを倒して来いって言ってる訳じゃないから、ここは草食スライムをパパっと倒して...」

「何言ってるんですか!ここはどーんと肉食スライムを倒して、彼らに見せつけてやりましょうよ!」

「何言ってるのよ!いくらスライムでも、死んじゃうかもしれないのよ!?」

「大丈夫です、いざとなったら僕があなたの代わりに死にますから!」

「全然大丈夫じゃなーい!」

私はラクに引っ張られて、スライムのいる平原にやってきてしまった。





パープル平原。

スライムの赤と青の色を混ぜた色が名前の由来になっている。

スライムが沢山いる平原としてラムライズ地方では有名である。

主に水源が豊富であり、豊かな自然が広がっている。





「どうするのよ!武器もないのに...」

「あるじゃないですか、あなたのナイフが」

確かに、薬草を取るためのナイフならあるけど、小さいのでリーチに不安がある。

スライムは相手を取り込み、相手の呼吸を止めて、窒息させてから消化する。

つまり、スライムに対してリーチの短い武器は不利なのだ。

下手したらそのまま消化されたりして...

「貸してもらえますか?」

「だめよ!」

私がナイフを彼に貸したとして、そのせいで死んでしまっては罪悪感が残るのは確実だ。

「いや、渡して貰います」

気がついたら彼の手にはナイフが握ってあった。

「いつの間に!?」

そうこうしているうちに、どんどんスライムに近寄っていく。

「あぁ...どうしよう...」

私はただうろたえながら彼を遠巻きに見ているしかなかった...





いくらスライムであっても油断できない。

それはわかってはいるが、何故だろうか、恐怖の中で、少し余裕があったように感じた。

シュバァッ!

スライムは自分に気がつくや否や、飛びかかってきた。

だが、飛びかかるのは分かっていた。

自分は思い切りナイフを刺した。

スライムは攻撃がくるなんて思わなかっただろう。

「ギョ!?」

スライムは驚き、必死で逃げようとする。

それを勝機と捉えた自分は、追い打ちをかけた。

引き抜くと同時に、思い切り踏み抜いた。

靴底から命が消える感覚がした。

「せっかく服と一緒に貰ったのに...」

自分はスライムを殺したことにまったく動揺していなかった。

本来ならば1匹でも充分なのに、自分はいつの間にか次のスライムを探していた。

見つけては刺し、見つけては刺し...

だんだんと、スライムの何処を刺せば急所になるのかコツが掴めてきた。

もう恐怖なんてなかった。




気が付くと、辺りはスライムの死骸で溢れていた。

スライムの赤い体液に塗れたラクをみて、私は恐怖した。

強ばって動けなくなる程に。

「!」

突然ラクは、ナイフをこちらに投げつけてきた。

「えっ」

次の瞬間、私の後ろにいたスライムが、ナイフで体を貫かれ即死していた。

動けなくてよかった。

心の底からそう思った。

「危なかった...大丈夫ですか?」

「え、えぇ...とりあえず、スライムの体液をビンに詰めて...っと」

私は充分過ぎるほどスライムの体液をビンに詰めて、傭兵仕事の管理人のいる酒場に向かった。

スライム相手とはいえ、ものすごく強かった...

遠くからナイフを投げて、ちいさな標的に当てる器用さ、そして、急所に当てる技術...

もしかすると、私はとんでもない男とパートナーになっていたりして...?





「嘘じゃないって!」

「嘘に決まってるね」

管理人とカーラが言い争っている。

そもそも、依頼書が回ってこないのはカーラが周りから、「こいつは弱い」というレッテルが貼られているからだ。

そのレッテルを覆すのは難しい。

せめて誰か見ていれば...

「本当よ」

後ろから声がした。

自分はカーラの姿はくっきりとは見えない。ぼやけてみえる。

だけど、この女は違った。

はっきりと見えた。

といっても、顔は分からないけど。

「その頼りなさそうな男がスライムを殺しまくっていたわ。ま、そのおかげでスライムを追っかけ回すなんて下級中の下級の傭兵がするような仕事をせずに済んだけどね」

酒場に一瞬、静寂が訪れた。

「...本当か?」

「ええ、見事なまでに惨殺されていたわ」

「ね!?でしょ!?ほら!私達は嘘なんてついてない!」

カーラはすこし興奮気味に話している。

「あぁ、わかった、わかったからギャーギャーいうな、鬱陶しい」

管理人はやれやれ、といった顔でこちらを見た。

「お前ら、見たところ武器が無いみたいだが...どうやって殺した?」

「え?どうやって...って、このナイフでスライムをグサグサーって...」

...

酒場が一気に笑いで包まれた。

「あっひひひひ!そのナイフで!?笑わせるなよ!おいカチュ!お前いくらゴールドを渡されたんだ!?」

どうやら女の名前はカチュというらしい。背中に杖らしきものを担いでいるのがわかる...

魔法使いなのかなぁ?

「ゴールドなんて渡されてないわ。第一、この私に賄賂なんて通用すると思う?」

「じゃあなんだ?情けで嘘をついてやったのか?それともからかってるのか?」

どうやらよっぽどカーラは信頼されてないらしい。

「じゃあ試してみる?」

カチュは自分とカーラをみている。

「貴女、この人にナイフを渡してくれる?」

「え?いいけど...」

「そう、じゃあこのビンを頭に乗せてこの酒場の向こうまで行きなさい」

「え?一体何を...」

と、言った瞬間に気づいたらしい。

「ちょっとやだ!そんなことしたら汚れるじゃない!」

「あらそう、折角のチャンスを与えたっていうのに...」

「まって、わかった、やる、やらせていただきますよー!」

自分がナイフを投げて、カーラの頭の上に置いたビンを割る、という事らしい。

...なぜ頭の上なんだろう、別に手のひらでもいいと思うんだけど...

「おい、どうする気だ...?」

「今からこの男がナイフを投げる。そして、頭に乗せたビンを割ったら、それ相応の技術があるとみなし、傭兵として認める...っていうのはどう?」

「うう...嫌だけど...仕方ない、頑張れ、ラク!」

カーラは覚悟したみたいだ。

「やって見せてよ、あの時みたいに」

見えなくてもわかる。多分意地悪そうに微笑んでいる。

...あの時?

まあいい、ナイフを投げて、あのビンを割るだけだ。

そう、あの時みたいに...

「よし、いくぞ...!」

呼吸を整える。酒場がしんとなる。

自分は思い切りナイフを投げた。





パリーン!

ドロリ


「うへぇぁ...」

カーラがスライムの体液まみれになった。

という事は、割った、という事だ!

おおおぉ...

酒場がどよめく。

「ということで今から彼は傭兵、しかも、そこらにいる傭兵とは少し違う...ね」

「あ、あぁ...わかった。信用するよ」

「よ、よかった...」

へなへなと座り込むカーラ。

「大丈夫?」と声を掛ける。

「だいじょばないよぉ...」

彼女は情けない声で言った

再び酒場が騒がしくなった。

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