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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
22/23

終止符 後編

随分遅れちゃいました...!

でももうすぐで終わりです!

あと1話、エピローグ的な物が残ってます!

すぐに書かせていただきます...!

あと、アクセスありがとうございます!

大きな扉を開けると、その部屋の奥の玉座に魔王が座っていた。

今までのヤツとは格が違う。

凄まじい魔力を感じたが、それでもまだ力を隠し持っていると直感的に思った。

「ついに来たな...人間と...力よ」

魔王は確かにそう言った。

「力?どういうこと?」

僕は魔王に尋ねた。

「お前は記憶を失い、数々の出来事を体験し、そして苦難を乗り越えた。我が右腕として十分だろう。」

右腕?一体どういうことだ...?

それに、なぜ記憶を失っていることを知っているのだろうか...

そんな事を考えている間もなく、カーラが話に割り込んだ。

「質問の答えになってないわよ!さっさと答え...」

最後まで言う前に、魔王の手から召喚された氷の刃がカーラの足元に突き刺さった。

思わずカーラは引っ込んでしまった。

「今日は気分がいい...今は殺さないでおいてやる」

魔王はそんな事を言って、僕に近付いてきた。

すかさず距離を取ろうとするも、魔王から発せられる重圧によって動けない。

カーラやマスカルも動けないのがわかった。

「何故お前が圧倒的強さを誇るのか...教えてやる」

と言って、僕の頭に左手を掲げた。

「っぐぐ...ラク...!」

カーラは重圧を振り切り、僕と魔王に近付こうとする。

すると、魔王は右手で結界を作り、近寄ることが出来なくなった。

結界の外からこちらを叩いているのがわかった。

すると、強烈な頭痛に襲われた。









...あの時の記憶だ。

決して忘れることのない、あの...

「大丈夫、もし私が死んでも...」

涙でぐしゃぐしゃになっている僕の顔を手で拭い、

()()して、いつかまた相棒の所に行くから...」

魂が砕かれれば、決して輪廻することはない。

転生なんて出来るはずない。

だが、相棒なら出来る。

なぜか、そんな気がした。

「...あぁ、わかった」

そういうと、相棒はニコッと笑って、

「じゃあ、暫くお別れだね」

「やめろ!ヤメロォォォォォォォ!!!」

相棒は自ら魂を砕き、奴もろとも魂を消し去った。





...随分と古い記憶だ。

もうどのぐらい前か分からない。

全て、思い出した。







「どうだ?思い出しただろう?」

魔王は結界を解除する。

私は膝から崩れ落ちているラクのそばに向かった。

「ラク!しっかり!」

私はラクを揺さぶる。

「...」

「...ラク?」

その時、私は確かに見た。

ラクが目を開けた所を。

紫色の瞳を、確かに見た。

「...大丈夫だよ、カーラ」

ラクはサッと立ち上がった。

「フフフ、では話に入ろう」

魔王はいつの間にか玉座に座っていて、頬杖を着きながらこう言った。

「我が貴様を()()()理由はただ一つ。我と手を組み、共にこの世を支配してもらう為だ!」

呼んだ?手を組む?

一瞬、何を言っているのか分からなかった。

「貴様は、興味さえあればどんな事でもするらしいな...()()よ」

ますます訳が分からなくなった。

「おい魔王!一体何を言っているんだ!支配だとか邪神だとか!まるでラクが...」

マスカルが(まく)し立てている最中に、魔王は氷の刃を召喚し、打ち込んだ。

氷の刃は...マスカルの胸に...?

「煩い蝿共が...」

ばたりと倒れるマスカルに私は駆け寄った。

「大丈夫だよ、よく見てみ」

「え...?」

確かに刃は刺さっていた。

けれど、ゴウに付けられていた胸の傷を塞いでいた矢印が刃を食い止めていた。

「衝撃で気絶してるみたいだけどね。...それで、お前の名は?」

ラクは魔王に質問していた。

「...我が名はローム、この世を支配せんとするものだ」

「で、なんで?」

「...?」

魔王は眉にシワを寄せた。

私自身、質問の意味が分からなかった。

「何がだ?」

「なんで、この世を支配しようと思ったの?」

「この世を手にするのに、理由がいるか?我が欲しいと思ったから支配しようとするまで...」

「じゃあさ、仮に支配したとしたらさ、次は何するの?」

ラクは魔王の言葉を遮って、さらに質問を重ねた。

「...何が言いたい?」

「あのさ、自分から()()されておいてこんな事言うのもアレだけどさ、うん、お断り」

...本当にあれはラクなのだろうか?

なんというか、魔王と初めてあった時よりも、随分と態度が変わったというか...

まるで、子供をあやす大人のような...

「あぁそうだ、カーラ。僕は実はね...」

と言って振り向き、私の顔を見た途端、一瞬だけ体が固まった。

が、すぐに喋り始めた。

「...僕は、魔王に召喚された邪神なんだよね。まさかこんな()()()()()理由で呼び出されるとは思わなかったから、びっくりしたよ」

くだらない、の言葉を聞いた瞬間、魔王は怒ったらしく。

「貴様、我に召喚された身の上で一体何様のつもりだ?」

と、怒気の篭った声で言った。

「神様。それよりさ、何がダメなのかと言うと...」

ラクは魔王の呼び出した理由に対して反論し始めた。

「何がどうあれ理由はあるべきだよね。それに、支配したあとの具体的な目標がないんじゃ、全くやる気なんて起きないんだよね。それに...」

「つまり、我と手は組まない、という事だな?」

今度は魔王が言葉を遮った。

「...まあ、そういうこと」

ラクは少し声のトーンが下がった。

「ならば貴様を殺し、その魔力を奪い取ってやる!」

魔王は玉座から立ち上がり、上に手をかざした。

すると、巨大な火の玉が現れた。

火の玉と言うより、太陽と言った方がいいと思えるぐらい、凄まじい熱を感じた。

ラクはボーッと立っていた。

「ラク!早く逃げて!」

「大丈夫大丈夫、()()()()()から」

確かめる...?

一体何をしようとしているのだろう...?

「塵と化せ!」

魔王は手を振り下ろし、太陽を落とした。

予想以上に大きく、こちらにまで被害が出るのは明らかだった。

もうだめだ―――

私は目をつぶった。



...?

無事だ。

よく見てみると、私とマスカル、ラクの周りには、小さい矢印が無数に組み重なり半球状になっていて、あの太陽から身を守ったみたいだ。

「ふぅーん、こんなもんか」

ラクは相変わらず、その場に立っていた。

「何!?」

「この程度で支配しようとしてた挙句、僕の魔力を取り込もうとしてるの?カチンときたな...」

ラクは短剣を取り出した。

「わかった、君には特別に見せてあげるよ。僕の本当の姿をね」

ラクはそういうと、短剣で宙を切った。

すると、理解し難い出来事が起きた。

切った部分から何かが見えた。

「形容し難い何か」は、ラクの体を包み込んだ。

魔王はそれを機と見て、雷を呼び起こし、ラク目掛けて雷を落とした。

凄まじい音と光で、思わず目を背けた。

暫くして、ラクの方を見た。

そこには、ラクの姿があった。

「あー!服が!」

...なんとも場にそぐわない声がしたと思ったら、そこには、上半身が裸で、ズボンもボロボロになったラクが立っていた。

体には、矢印の模様が幾何学的な形になって浮かび上がっていた。

「せっかくカーラから貰った服なのに...!お前は...!」

自分のことよりも服の事を心配している姿を見て、なぜだかほっと安心した気がした。

「なんなんだ貴様は...!」

魔王はかなり戸惑った様子だった。

魔法を打ち込んでもびくともしなければそう言いたくもなるだろう。

「まずはその面倒な呪文から!」

ラクは魔王目掛けて一直線に進む。

魔王は様々な魔法を打ち込んだ。

体を消し炭にされそうなほど熱い火炎。

触れるだけで魂まで凍りつくような氷結。

打たれれば光になりそうな雷撃。

身体中を引き裂く烈風。

人間がどれかひとつでも食らえば即死は免れないであろう攻撃を、その身ひとつで受けて、全て矢印で弾いた。

魔王にたどり着いたラクは、矢印を魔王の頭に突き刺した。

「うがぁぁぁ!」

「これで鬱陶しい魔法は封印した」

矢印は魔王の頭に入り込んでいった。

だが、魔王はそこらの魔物よりも別格だ。

傷を魔法ではなく、恐るべき自然治癒力で治した。

「小賢しいヤツめ...フン!」

魔王は手をかざした。

...が、何も出なかった。

「...な、なにッ!?」

「言っただろ、封印したって」

...魔法が封印された今なら...!

「ラク、今度は私も...!」

すると、ラクはこちらを見て、

「いや、危ないからそっちで見てて」

と、言った。

「でも...!」

「いいからいいから、ね?」

ラクは休んでていい、と手でジェスチャーをした。

後ろでは、魔王が何処からか禍々しい形の長剣を取り出し、飛びかかっていた。

「ラク!後ろ!」

「もう遅い!」

魔王は剣を振り下ろす。

だが、

「あぶねっ」

と、軽く、まるで何事でもないように短剣で防いだ。

「太刀筋が丸わかりなんだよ」

そういうと、ラクは1歩踏み込み、縦に切り裂いた。

「グァァァァァァ!!!」

「魔王と言えど所詮は魔物って事よ」

ラクは短剣を縦半分に切られた魔王に短剣を突きつけ、

「まだあるんでしょ?変身とかさ」

といった。

魔王がピクッと動いた。

「...さっさと終わらせようか」

そういうと、ラクは距離を取った。

「...ククク...」

「どうした?」

「我にわざわざ好機をくれてやるというのか?」

魔王は半分に別れた体をピッタリと合わせ、不敵に笑った

「喋ってる暇があればさっさとかかってきなよ」

ラクは相変わらず余裕、といった表情で話す。

「後悔するだろう...ここでトドメを刺さなかったことを!」

すると、魔王はドロドロに溶けだした。

魔王だった物は周りにあった魔力の残滓(ざんし)を取り込み、膨れ上がった。

「ラ、ラク...まずいんじゃ...」

私はただならぬ不安を感じてしまって、ラクにボソッと言った。

「大丈夫、()()()死なせないから」

今度は?

どういう意味か尋ねようとした時、激しく、大きな揺れを感じた。

膨れ上がったものは城の天井を壊し、壊された城の残骸は魔王の魔力によって宙に漂っている。

かなりまずい気がする。

けれども、ラクは依然として余裕そうだった。

「ガァァァァァァァッ!!!」

「ふーむ、ついに喋れなくなったか」

「観察してる場合じゃないでしょ!?何とかしないと...!」

「...あんなになるまで魔力が強かったとは思えない、何か裏があるはず」

「裏?」

「うん。だけど今は、あの化け物を何とかしないとね!」

そういうと、ラクは矢印の翼で飛び上がった。

その衝撃からか、私やマスカルのいる足場が崩れて、宙に浮かんだ。

「わわっ!」

私は崩れる足場から落ちないようにマスカルと私でバランスをとることに必死だった。

「ウガァァァァ!!」

「うおっ」

魔王はラクを握り潰そうと必死に掴もうとしているが、ラクはそれを軽くいなす。

「ふんッ」

ラクは短剣を高速でふり、真空刃で魔王の腕を切り落とした。

が、すぐに新しい腕が生えていた。

それどころか、切り落とす度にどんどんと増えている。

「これはちょっとッ!まずいねッ!」

2つの腕から避けることは出来ても、複数の腕から避けることは難しい。

私は固唾(かたず)を呑んで見守っていた。

いや、見守るしかなかった。

「う...ん...」

「マスカル!」

マスカルが目を覚ました。

「...あれは...?」

「えーっと...魔王」

マスカルは目を見開き、

「嘘だろ...?」

と、呟いた。

「マスカル!良かった!目を覚まして!」

と、ラクは避けているにも関わらずマスカルの心配をしていた。

それがいけなかったらしく、腕のひとつに捕まってしまった。

「ラク!」

すぐに無数の腕がラクを取り囲む。

翼をすぐに球状にして潰されないようにしているが、どんどんと球状の矢印が小さくなっていった。

「やばいやばいやばい!」

ラクはかなり苦しそうだ。

「ラク!今から助けに...!」

とマスカルが言ったところで周りの状況に気付いたらしい。

「クッ...一体どうすれば...」

と、焦燥していた。

「...なぁんてね」

ラクはそういうと、続けてこういった。

「そんなに壊したいなら、壊させてあげるよ...君の腕をね」

と言った瞬間、矢印が勢いよく弾けた。

凄まじい勢いで飛んだ矢印は魔王のいる前方に思い切り飛び散り、身体中をズタズタにした。

小さな矢印でも、速度を併せればひとたまりでもないだろう。

「グバァァァァァァ!!!!」

魔王はもがきながら倒れた。

「やった!?」

「いや、まだだ!こいつの魔力供給源を潰さないと!」

ラクは私達を安定した足場に乗せた。

「何となく怪しい所は見つけてあるから、そこに行こう」

ラクは玉座のあった場所を押しのけた。

すると、そこには階段があった。

「色々な場所に移動して魔王の行動を見てみたけれど、ここだけは壊さないような位置取りをしてたんだよね」

ラクは階段の奥に進んでいった。

「私達も行こう」

マスカルに言われて、私達もラクに着いて行った。





「んん...」

まずい。

調子にのって魔力を解放したら、暫く解放してなかったからか、段々疲れてきた。

「ラク?」

カーラが心配してきた。

「ん?あぁ、平気だよ」

僕はカーラに心配をかけないように返事を返していった。

「なぁラク、さっき魔王が言ってた邪神がどうこうって...」

マスカルがラクに尋ねた。

「あれは本当だよ、僕は邪神。別の次元から召喚された神だよ」

「...随分と淡々と喋るんだな」

「まぁ、君達も薄々気付いてたんじゃない?僕がやばいやつだなって」

「まさか神様だとは思わなかったよ、ふふ」

マスカルは笑みを浮かべた。

さっきよりもかなり楽みたいだ。

「さて、やっと着いたな...」

ついに僕達は魔王の魔力の源にたどり着いた。

そこには、明らかに異常な結晶が佇んでいた。

何が異常かと言うと、魔力と、()()ようなもので構成されていたからだ。

「...なんだこれ、こんなの見たことないな...」

僕は注意深く観察した。

すると、金属の部分に、蛇の模様が彫ってあるのがわかった。

「...ん?これ...」

カーラが何かを見つけたみたいだ。

「この模様...どこかで...」

自分が見つけた蛇の模様の横には、剣と剣を交えた模様もあった。

「とりあえず、早く壊さないとね」

僕は、カーラとマスカルに下がるように指示した。

「よいしょッ!」

僕は短剣を突き立てた。

結晶はたちまちヒビが入り、崩れ落ちた。

すると、金属の部分からは電気が走り、煙をあげた。

「なんだ!?」

すると、上で倒れていた魔王が暴れだしたのか、地面が大きく揺れ始めた。

「やばいよ二人共!早く逃げよう!」

「う、うん!」

僕達は急いで階段を駆け上がった。

あとすこし...!

「ぐぅっ!」

カーラがうずくまった。

「カーラ!」

「足が...」

あの時に負った傷が痛むらしい。

「...よし、わかった!」

僕はカーラとマスカルを両腕で抱えて走り始めた。

「うおおおおおおっっ!!」

急いで階段を駆け上がりって、そのまま翼を生やし、空に逃げた。

「はあっ、はあっ...」

「ラ、ラク...すごいね...」

「しんどい...!」

「...!見ろ!魔王が...!」

僕達は魔王の方向を見た。

「ガァァァァァァ!グギッ、ガガガガァァァ!!!」

魔王は声にならない声でもがき、

「ギッ」

と一言発して、糸が切れたかのように動かなくなった。

「やった...!ついに魔王を...!」

「よし、早く地上に降りよう...!」

僕は、浮遊する魔力を失った魔王城の残骸を尻目に、地上へとふらつく体で降りていった...

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