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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
21/23

終止符 中編

1週間の内に間に合った..かな?

次も早めに投稿します。

っていうか、次がラストかな?

あと、アクセスありがとうございます!

やるぞー!

私達はは大きな扉の前で休憩していた。

「すっごく長かったね...」

「右手法が通用するような迷路で助かった...」

マスカルの言ってる右手法っていうのは、壁に右手をつけて壁沿いに歩いていくっていう方法の事。

いつかはたどり着くらしいけど、立体的だったり、迷路の中に目的地があったらずっと迷路の中をさまようとか...

「さて、そろそろ休憩も終わりにして先に進むか」

「よーし、頑張ろう!」

私は張り切って扉を開けた。

そこは若干広めな部屋で、その奥には、大人一人分ぐらいの刃渡りのある剣を、(とら)と人間が混ざったような姿をした男が低めの椅子に座って研いでいた。

「遅かったじゃねぇか」

「虎が喋った!?」

私はシウと初めて会った時と同じリアクションをしてしまった。

「虎ぁ!?」

カッと目を見開き、虎男は床に剣を刺した。

刺したところから炎が湧き出てくる。

「俺はただの虎じゃねぇ。四天王の一人、怒炎(どえん)のゴウだ」

そう言うとゴウは立ち上がり、腕を組んだ。

「お前らはシウを倒したそうじゃないか」

その声には、恨みだとか憎しみとか、そういう感情は無く、むしろ称賛の気持ちがこもっていたかのように聞こえた。

「...怒ってないの?」

私は思わず質問してしまった。

「怒る?何故だ?」

「だって、私達はあなたの仲間を倒したんだよ?普通は怒るんじゃない?」

そう言うと、ゴウはなんだ、といった顔をして、

「怒るもなにも、シウはお前らよりも弱かっただけだ。俺が義憤(ぎふん)を覚えるような事じゃない」

「私達とはものの考え方が違うんだね」

「そりゃそうだろ。それよりも...」

ゴウは地面に突き刺した剣を抜き取り、ゆっくりと構えた。

「お前らは俺とお喋りするために来た訳じゃないだろ?」

いざ構えを見ると、その剣の大きさに気圧されてしまう。

けれど、負ける訳にはいかない。

私もマスカルも剣を構える。

「さあ来い!俺を楽しませてくれ!」

というと、ゴウは片手で大剣を振った。

風の切る音がする。

それこそ、「ゴォォォ」という音がした。

「わっ!」

私はしゃがみ、マスカルは跳んだ。

「うおおおぉぉぉっ!」

雄叫びをあげて切りかかる。

しかし、ゴウは

「甘い!」

と、空いてる片手でマスカルを殴った。

あんなに大きな剣を振ってるだけあって、力はかなりあるだろうとは思ってたけど...

マスカルはそのまま数メートル吹っ飛ばされた。

「マスカルっ!」

「私は大丈夫だ...!」

マスカルは辛うじて声を出していた。

生死を確認した私は攻撃に転じた。

私はゴウにラッシュをかける。

「へぇ...人間の癖になかなかにいい剣技を持ってるじゃねえか...」

というと、ゴウは後に跳んで距離を取った。

「じゃあ俺もそろそろ殺るとするか」

ゴウは目を瞑って何かを唱えている。

「カーラ、今がチャンスだ!」

「一斉に攻撃しよう!」

私とマスカルは走って距離を詰める。

「うおおぉぉぉ!」

「やぁぁぁぁ!」

マスカルと私が剣を振り下ろす瞬間だった。

「やかましわぁぁぁぁ!!!」

という怒号が響いたかと思ったら、私達はいつの間にか吹っ飛ばされていた。

「ぐぅぅぅ、熱い!!」

どうやら、怒炎の名はあながち嘘じゃないみたいだ。

「さっきからギャーギャー雄叫びあげてよぉ!うるせえんだよ!」

さっきとはまるで態度が違った。

「もういい!さっさとぶっ殺してやる!」

そういうとゴウはさっきよりも速く剣を振った。

私達はさっと距離を取ったが、これがいけなかった。

「逃げるな!」

ゴウは左手をかざす。

すると、炎がゴウを含めて私達の周りを囲った。

「『炎のリング』...もう逃げられねぇぞ」

ゴウは殺気だつ目でこちらを睨んだ。

身がすくむような思いだったが、怯んでいる暇はない。

私はゴウに走って近づき切りかかった。

頭に血が上って細かい事に気付かないみたいで、2、3度切りつけたところでやっと反応があった。

反応といっても、痛みを抑えるとか、そんなものじゃなくて、こちらに気付いたっていう感じだ。

「鬱陶しいんだよ!!」

ゴウの裏拳をモロに食らってしまった。

私は衝撃で壁に叩きつけられてしまった。

炎のリングから抜け出せたのはいいけど、これじゃあ近寄ることができない。

炎は普通の炎よりもかなり熱く、体にまとわりつくような熱さだった。

「カーラ!」

マスカルの呼ぶ声が聞こえる。

だけど、これはマスカルが私に気を取られてしまったという事だ。

ゴウはその隙を見逃さなかった。

炎で空間が揺らいではっきりとはしなかったが、マスカルの胸辺りに剣先が刺さっているのが分かった。

ゴウは刺さったままのマスカルを剣ごと振り払い、床に叩きつけた。

「まずは一人、次はお前だ」

ゴウは一人始末して落ち着いたのか、さっきよりも声が小さくなった。

それでもうるさいのは確かだ。

「マスカル...っ!」

「う...カーラ...」

よかった。まだ生きてる。

でも、このままじゃ死んでしまうのは目に見えている。

どうしよう...!

だけど、ゴウが私の右の(もも)に剣を突き刺し、あれこれ考えている私を痛みと共に現実にひきもどした。

「あぐぁぁぁ!」

「さてと、それじゃあオサラバだ」

ゴウは抜き取ったと同時に、剣を振り下ろした。

ゴメン、ラク...後は任せたよ...

血を失って、意識が朦朧(もうろう)としている中、どこかで聞いたことのある声を聞いた。

「いや、まだだね」

と言って、振り下ろした剣をはじき返した。

私は、

「ラク...?」

と、かすれ声で言ったか言わなかったか分からないまま、気を失った。









「ふー、危なかった」

「お前は?」

僕は男に訪ねられた。

随分と殺気だっている。

周りを見渡すと、マスカルとカーラが倒れていたのが分かった。

どちらも息が絶え絶え...つまり、魔力が消えかかっている。

「僕は...まぁそんな事はどうでもいい」

といって、男に(きびす)を返した。

「ふぅ、傷が深くなくてよかった」

僕は、マスカルの傷に手頃な長さの矢印を当て、皮膚と融合させた。

いわば、カサブタのようなものをつくった。

「ふざけてんじゃねぇ!!」

男は大剣を振り下ろした。

が、それを僕は矢印の翼で防御する。

「何...!?」

「あのねぇ、僕が今マスカルに応急手当してるのに、君と関わっている暇ないんだよ」

「俺を舐めてるのか...?四天王最強の、この怒炎のゴウを舐めてるのか!?」

ゴウと名乗る男は信じられない速さで大剣を振る。

「危なっ!」

僕は矢印を地面から出して防御した。

「クソが!!こざかしいことしやがって!!」

攻撃の手は更に激しさを増す。

このままじゃ矢印が耐えられない。

...そうだ!

「このまま攻撃するのか?」

僕はゴウに聞いた。

「あぁ!?当たり前だろうが!!!」

耳をつんざくような声で話す。

「わかった、()()()()()

僕はゴウに矢印を壊させた。

矢印は壊れた。

だが、ただでは壊させない。

壊れた矢印は更に小さな矢印になってゴウに突き刺さる。

剣にも矢印は当たる。

1個2個ぐらいなら何ともないだろうけど、これが数十、数百だったら...?

「ガァァァァァァ!!!」

ゴウは無数の矢印の攻撃に悲鳴をあげ、思わず退いた。

大剣も破壊された。

ズタズタにされたゴウをどんどん追い詰めていく。

でも、短剣じゃゴウは倒せない。

なら、倒せる武器を()()()()()()

僕は矢印を作るのに集中した。

その間にゴウは自分を立て直したらしく、こちらに向かってきた。

ゴウは身体中に凄まじい魔力を纏っている。

熱気が僕を突き刺すようだ。

どうやら、死ぬなら巻き添えに僕もろとも焼き尽くすらしい。

「くたばれぇぇぇぇぇぇ!!!」

だが、大人しく攻撃を食らうはずもなく、

「お前がくたばれやぁぁぁぁ!!」

と、矢印でつくった大剣を振った。

もちろん突っ込む気でいたゴウに「避ける」なんて思考はなく、矢印の大剣によって横に真っ二つにされた。

表現できないような断末魔をあげ、煙になって消えた。

柄にもないこと言っちゃったかな?なんて思っている暇はなく、急いでカーラの腿の手当てをしに向かった。









あれから少しして、カーラとマスカルが目を覚ました。

「あれ...ラク?」

「いやー、途中から気付いたんだけどさ、自分には翼があるんだから飛べばいいんじゃないかな?って思って飛んできたよ」

「ふふ、文字通り、()()()()()って訳か」

「そうそう!マスカルウマイね!」

少しでも休んで、2人には回復して貰わないと...

この先、恐らく魔王が待っているはずだから...

「さて、そろそろ行こうか!」

カーラが立ち上がった。と、同時に腿の痛みですぐに座り込んでしまった。

「痛つつ...」

「カーラ、無理しないでくれ。私は胸だから平気だが、カーラは足をやられたんだ」

と言いつつも、やはり傷が痛むらしく、時々苦しそうに息をしている。

「2人とも、キツいんだったら...」

「帰る、なんて事は言わないでくれよ?」

「そうそう、私もマスカルもそれなりに覚悟してるんだから!」

覚悟...

2人はどんな事が起きようと、覚悟してここまで来てるんだ。

今更帰るなんて事はできない。

「...分かった、行こうか」

僕は2人に励ますように言った。












「どうするどうする...」

シウもゴウもやられた。

後は俺だけだ...

なんなんだあの男は...!

規格外過ぎる!化け物だ!

魔王はあれに何かをしようとしてるが、とてもじゃないがあれは強すぎる!

あんなのじゃあ、不意打ちしてもすぐに気づかれる!

どうする...どうするんだ自分...!

魔王を裏切るか、それとも魔王に忠誠を尽くして最後まで魔王の為に命を捧げるか...

...命を?とんでもない!

俺は生きる!

生き延びてみせる!

こうなれば...

そう思った瞬間、声が聞こえた。

「そこにいるんだろ?」

男の声だ。

俺はゆっくりとゴウのいた部屋のドアを開けた。

「...いやいや、流石お強いですね!お見逸れ致しました!」

「...え?」

「いや、俺は()四天王の一人、悲氷(ひひょう)のピタって言います」

「元?」

「はい!もう魔王に仕えるのはやめて、あなた様に仕えようかなぁと!」

男達は皆驚いていた。

リーダーらしき男は少し迷ったのか、少し間が空いてから、

「分かった、それじゃあ魔王のところに案内してくれよ」

「は?」

「魔王に仕えるのはやめて、僕達に仕えるんだよね?じゃあ最初の命令って事で」

...やっぱり、目的は魔王だったか。

「ええ、ええ!勿論、すぐに案内しますよ!」







「大変だったんだなぁ、君も」

俺はこいつらを誤解していた。

てっきり殺意に(まみ)れた奴らかと思ったら、案外そうでもなかった。

それどころか、男の方はゴウと戦っていた時とはまるで別人のように優しく俺の身の上話を聞いてくれた。

「そっすよそっすよ!大変だったんすよ...」

「君も裏切ることをしてまで生きたいなんてね」

たまに痛い所を突くが。

「裏切るだなんてそんな...俺は長く生きたいだけなんすよ」

「そっかぁ...」

男は相槌(あいづち)をうちながらも、自分たちの仲間の様子を見ていた。

俺があの仲間の立場だったら惚れるな、なんてことを思いながら、魔王の間に近づいていった。





「この扉の先が魔王のいる『魔王の間』っす」

「わかった、ありがとう。それじゃあさ、さいごさ、聞いていい?」

最後?...なんか引っかかりつつも、

「なんすか?」

と、聞いた。

「君さ、僕達の仲間の一人、殺したよね?」

男はこれまでとは違う、低めで静かな声で言った。

どうやら俺があの魔法使いを殺したということはバレているらしい。

「いっ...」

「まあまあ、そんなに怖がる必要はないよ。所でさ、楽勝だった?」

言葉が出なかった。

どうしよう、どう答えればいいんだ...?

いや...ここで嘘をついちゃいけない。

嘘を付いたらこれから信用されなくなる。

「えっと...はい、正直いって、楽勝でした」









僕は迷うことなく短剣でピタの首を切り落とした。

「ラク...!」

カーラは思わず僕の方をみた。

「...ごめんね、ちょっと冷静に判断できなかったよ」

僕は短剣についた血を払い、腰につけた短剣のカバーに戻した。

「...いや、これは仕方ないさ」

「これでカチュも浮かばれると思うよ...」

カーラ達は僕を慰めるような声で言った。

「...それじゃあ行こうか」

僕達は意を決して魔王のいる間に向かった。

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