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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
18/23

仮面の秘密

またまた遅れました...

なんだかだんだんルーズになってる気が...

とにかく、もうそろそろ終わりが近づいているので、気合いいれなきゃ...

あ、毎度アクセスありがとうございます!


「ここがアノリか...」

「結構おっきな街だねー...」

カチュがいなくなってから、いつもの明るさが無くなってしまったようだ。

このままではいけない。

「...よっしゃ、カチュの分まで頑張るか!ね!カーラ!マスカル!」

「...うん!そうだね!」

「あ、あぁ...そうだね...」

カーラは元気を―――恐らく空元気を出してくれたみたいだが、マスカルの方はどこが憂いげな顔をしている。

「マスカル...」

カーラはマスカルを心配してくれた。

「いや、カチュの事は大丈夫だ、だが...」

「だが?」

マスカルは何かを言おうとして、首を横に振った。

「いや、何でもない」

「そっか...じゃあ、いつもみたいに宿屋を探してくれないかな?」

「その事なんだが...今回はリーダーが宿屋の手配をしてくれないか?」

「僕が?」

いつもは言わなくてもささっとしてくれるのに、今日はなんだか変だ。

そういえば、アノリに近づく度に元気が無くなっているというか...なにかあったのだろうか...?

「...!まずい!」

マスカルはささっと僕の後に隠れた。

「どうしたの?」

「...おい、そこの旅人」

街を巡回していた兵士に尋ねられた。

「はい?」

「この者を見かけなかったか?」

僕は紙を手渡された。

「カーラ、これ...」

「あ、そっか。ラクは目が見えないんだったね。どれどれ...?」

カーラは紙をじーっと見つめている。

「何が書いてあるの?」

「人を探しているみたい...おお、見つけたら2万ゴールドだってさー」

「探してほしいのはここの領主の一人娘だ。見つけたらすぐに...ん?」

兵士は僕の後を覗きみた。

すると、それに連動してマスカルも死角へ移動する。

「とまれ」

と、すこしドスのきいた声で兵士が言うと、観念したかのように出てきた。

「やっぱり...!おい!今すぐこいつらを取り抑えろ!」

「え?え?どーなってるの!?」

「...すまない...」

と、一言ボソリと呟いた気がするが、そう思った時には大勢の兵士達に押さえつけられていた。






「痛い!ちょっと、もうすこし優しくしなさいよ!」

カーラが悪態をついている

「黙れ!誘拐犯め!」

「ちょっと!?誘拐犯ってなによ!」

僕達は訳の分からないままどこかへと連れていかれた。

「領主様、失礼します」

兵士が扉を開けると、僕達二人は部屋に放られた。

「痛っ!もう!女のコには優しくしなさい!」

「君達が、私の娘を誘拐したのかね?」

そこには太った男の人が何かを飲みながら話しかけてきた。

「誘拐犯ってなによ!説明しなさい!」

「おやおや、女性がそんな大声ではしたない...それに、とぼけても無駄だよ」

「どういう事よ?」

「君たちはこの報酬金目当てで娘を誘拐したんだろう?」

「そんなことないわよ!それに、娘って何!?」

「おやおやおや、さらにすっとぼけるのかね?」

と、優しい口調で言ってはいるが、凄まじく怒りに溢れているのは誰が見ても分かることだった。

「君達が連れていたあの仮面の少女...あれが我が愛娘なのだよ」

「...マスカルは女の子だったのか...!」

ぜんぜん気付かなかった。

声も容姿も中性的だし、なかなか大人びた性格だったから、てっきり男かと...

「とにかく、君たちは娘を誘拐した。しかも、最悪のタイミングでね...」

「タイミング?」

「娘は結婚するんだよ、機械の国の王子とね」

機械の国...?

「ゲッ、まさか、あの太っちょ王子と!?」

カーラは心底嫌そうな声で言った。

「この際容姿なんて関係ない。王子に気に入られれば、私も高い位に...むふふ...」

「この最低オヤジ!今すぐにぶん殴ってやりたいわ!」

カーラはもがいた、が、手を縛っている縄が外れることはなかった。

「まったく品のない娘だ...おい、今すぐにこのクズ共を牢屋にぶち込め」

領主がそういうと、すぐに兵士が僕達を引っ張っていった。

「...そうそう、娘の結婚式は明日執り行う。ついでにお前らも処刑してやるから、せいぜい震えるがいい」

グヒャヒャと下品な笑い声が廊下に響く中、僕達は兵士に引っ張られた...






「...どうしようか、ラク」

「うーん...どうしよう」

僕達は別々の牢屋にいれられた。

ついでに道具も没収された。

「まさかマスカルが領主の娘だとはねー...」

「そういえばさ、さっき機械の国の王子と結婚するっていってたけどさ」

「あーあー!あのね!機械の国の王子はほんとに最悪なんだよ!」

と、カーラは急に饒舌になった。

「前に電視機でみたんだけど、とにかくブッサイクで、汚くて、最悪なんだよ!」

電視機...前に剣術披露大会でも使われた、景色を遠くの人に見せる魔法道具を小型化したあれか...

...じゃなくて、とりあえず今はここから出ることを考えなくては...

檻は魔法使いが魔法で破壊出来ないように魔力で補強してある。

穴は...なさそうだ。

どうするか...


いけない、眠気が...







「こんなにも大勢いると面倒だな...」

これは...

この前の夢の続きだ。

「なあ相棒、その矢印でこう一気に、ズババーっとできるもの作れない?でっかい剣とかさ」

「作るものがデカい分、時間かかるよ?」

「いいからいいから、作ってる間は私が時間を稼ぐから」

「わかったわかった、即席だけど鋭いの作るから」

と、そういうと僕は矢印をだして、グネグネと曲げ始めた。

そして別の矢印をつくり、矢印同士でくっつけた。

そして、みるみるうちに巨大な剣が出来上がった!

「おまたせ!」

「意外と早めに済んだね、んじゃああいつらを潰すのは相棒に任せるよ」

「よっしゃ、わかった!」

今度は矢印で翼を作り上げた。

翼を作り上げるのはほぼ一瞬だった。

きっと作り慣れているのだろう。

「オオオオォォォォォォォっしゃオラァァァァァァァァ!!!!」

僕は全力で剣を振るった。

敵は瞬く間に真っ二つになり、光になった。

「...死んだあとも光を出すなんて、迷惑な奴らだよねぇ」

「はぁー...しんどいわー」

「なーにいってんのよ相棒、まだ親玉が残ってるじゃん。何もしないくせに偉そうにしてるクソ野郎がさ」

相棒はニヤリと笑った。

「...ふふっ、そうだね」

僕は巨大な剣を分解し、元の矢印に戻した。

「フン...悪しき闇め...」

相棒の言う親玉が威厳を放ちながら話しかけてきた。

「どっちが悪なんだろうねぇ!」

相棒は剣を抜いた。

「さて、最後の仕上げ、いっちょ頑張りますか!」

僕も剣を抜いた。

「「オオオオォォォォォォォ!!!」」

僕と相棒は一緒に親玉のところに向かった。








「とてもお似合いですよ」

「...そう」

...遂にこの時が来てしまった。

私は覚悟していた。

いつか、奴と結婚してしまう時が来るだろうと。

鏡の前にいる私は、綺麗な花嫁衣装を着ていた。

だが、顔は暗いままだった。

「フヒヒ...可愛いねぇ、タミルちゃぁん」

...あんな奴と結婚するハメになったのは、全部父親のせいだ。

あいつは娘の事なんかまったく考えていない。

自分の事ばかりだ。

今回の結婚も、自分の位が上がるからさせたに決まっている。

この醜い豚と共に過ごすくらいなら...

「おっと、そんなもの持ってちゃ危ないじゃないかぁ...」

私の婚約者...トンダが果物ナイフを持った私の腕を掴んだ。

「っ...」

「フヒヒ...可愛いねぇ、その顔も素敵だよぉ...」

トンダがナイフを取り上げると、私の指を舐め始めた。

「早いとこ結婚式を終わらせて、初夜を迎えるのが楽しみだねぇ...!」

「気持ち悪いっ...!」

本当に最悪だった。

だが、諦めるしかないのだろう...

ラク...








「...んん...」

「あっ、ラク!もう、寝ちゃうなんて!」

「あはは、ごめん...」

といったところで、扉が開く音がした。

「...おい」

兵士が僕の前で止まった。

手には袋をもっている。

「なんでしょうか?」

僕はなるべく丁寧に答えた。

「お前らが誘拐したっていうのは本当なのか?」

「いえ、誘拐なんてしてませんよ」

「...そうか」

と、静かにいうと、兵士は鍵を開けた。

「私は曲がったことが嫌いなんだ」

「兵士さん...」

「逃がす代わりに、必ずタミル様を助けてくれ」

兵士の手はブルブルと震えていた。

こんなことすれば処刑されるのは当然の事だろう。

それを承知で僕達を檻から出したのだ。

「...わかりました、必ず助け出してみせますよ」

「...!」

兵士は僕の手をギュッと握った。

「ああ...必ずだ!」

僕は強く握り返し、カーラと共にその場をあとにした。



「ねぇ、これからどうするの?まずはここからでないと...」

カーラが周りに注意しながら小声で話しかけてきた。

「その点に関しては考えがあるから大丈夫」

「考え?一体何するの?」

「それはね...」







「フヒヒっ...いよいよだねぇ...」

「...」

いずれはこうなると分かっていたんだ。

分かってはいたが...

...もうどうしようもない。

時間はとめどなく流れていく。

誰にも止められないし、止めることもできない。

こうなる運命だったと言い聞かせるしかない。

「では、二人とも前へ」

神父の言葉がこんなにも恐ろしいとは思いもしなかった。

「汝トンダは、この女タミルを妻とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、

共に歩み、他の者に依らず、

死が二人を分かつまで、愛を誓い、

妻を想い、妻のみに添うことを、

神聖なる婚姻の契約のもとに、

誓いますか?」

「ヒヒヒ...誓いますぅ」

「汝タミルは、この男トンダを夫とし、

良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、

病める時も健やかなる時も、共に歩み、

他の者に依らず、死が二人を分かつまで、

愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、

神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?

「...」

「誓いますか?」

トンダが私の腕を強く握った。

「早く誓え!」

「...誓いま」

「せん」

その時、聞き覚えのある声が聞こえた。

「フヒヒ!やった...え?」

「誓いません、でしょ?」

なんと、ラクが背中に黒い翼を生やして空から降りてきた!

「なっ...!」

「...うん!誓いません!」

「...ならば、誓わないということで」

と、神父は颯爽とどこかへと行ってしまった。

「ラク、そろそろ下ろしてぇ!」

「あ、ごめんね」

ラクはカーラを下ろした。

「ななな、何者だぁお前はぁ!」

トンダは声を震わせて言った。





「何者だ、か...」

僕は少し考えて、こう言った。

「悲劇の花嫁を救いにきた悪魔...かな?」

「う、うるさい!答えなくてもいい!兵士!」

トンダは兵士の後に隠れて命令した。

「あいつを殺せ!」

兵士が向かってくる、が

「おりゃー!」

カーラが兵士のみぞおちに蹴りを浴びせた。

「いつぞや乱暴にした仕返しよ!」

ふふんとカーラは鼻を鳴らした。

「さて、さっさとおさらばしますか!」

「でも、どうやって...きゃっ!」

僕はマスカルを抱き上げ、ついでにカーラも抱き上げた。

これ以外に2人を持ち運ぶ方法が思いつかなかったけど、これはこれでいいと思った。

「しっかり掴まっててね」

「ひええ...私高い所苦手なんだよぉ」

カーラがじたばたする。

「ちょっ、暴れないで!」

「カーラ!落ちるからやめてくれ!」

マスカルも怖い所が苦手なのか、しっかりと僕の腕を掴んでいた。

掴んでいた手は震えていた。

「私は...怖かった。もう二度とラク達と旅することができないんじゃないかって。あいつと一生過ごすんじゃないかって」

そういうとマスカルは僕の胸の中で泣き始めた。

「...さて、アノリから離れたところですし、一旦降りますか」

僕は北に向かい、草原に降りた。

「あー、私も怖かったよ、落ちるんじゃないかってね」

カーラは胸を撫で下ろした。

「大丈夫、もし落ちたら矢印伸ばしてあげるから」

と言うと、

「それ助ける気ある?」

とツッコミをいれられた。

「さて花嫁さん、とりあえず着替えを...!?」

というと、マスカルは僕に口付けをした。

「あんな奴に初めてを取られるよりも、ラクに奪われる方がいい...」

といって、強く抱きつかれた。

「あーあー、モテモテですなぁラク殿!」

とカーラに肩をポンポンと叩かれた。

「一瞬頭が真っ白になっちゃったよ」

と、僕は照れ笑いをした。






「...さて、そろそろ次の目的地を決めようか」

僕は皆を呼んだ。

「次は...あれ?ノーム神殿が結構近いね...」

「そっか。ノーム神殿が旅の目的地だったね...」

「その後はまた南に行かないと行けないのが辛いね...」

「...またアノリに?」

マスカルが複雑な声で言った。

「まさか、別のルートをとるよ」

「そうか...よかった」

と、ホッとした。

「とりあえず、今日は一旦寝て、また明日頑張ろう!」

カーラはそういうと野宿の準備をした。

「もう手馴れたものだなぁ」

と思いつつも、僕も手伝う事にした。



「おやすみー」

カーラはそういうと、すぐに寝息をたてた。

マスカルも、

「じゃあ、おやすみ...」

といって、横になった。

今日はかなり疲れた...

まさか空を飛ぶなんて、あの時はそれぐらいしか助ける方法が思いつかなかったが...

眠い...また明日頑張ろう...

僕は瞬く間に眠りについた...

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