心からの信用と信頼
ものすごく空いちゃいました...!
ごめんなさい!気力が出なかったんです...
絶対に失踪はしませんから!
絶対に、ですよ!
あと、アクセスありがとうございます!
定期的に更新したいなぁ...でも気力が...うううーん...!
「ここがシスか...」
「ラク、体の具合は大丈夫?」
カーラが心配してくれた。
僕は魔物だから、神聖な物は苦手だけど...
「そんなにキツくないかな」
想像よりも平気だった。
退魔の実なんて、触れた途端に酷い目眩がしたから、町の中に入ればそれよりも酷い目に逢うかと思ったけど、何故だろう?
「とにかく町の中に入ろうか」
僕達は町の中に入っていった。
いつものようにマスカルに宿の手配をしてもらった。
「いつ具合が悪くなるか分からないから、リーダーとカーラは部屋にいてくれ、町の人の話は私とカチュがやる」
「私は不本意だけど...仕方ないわ」
カチュは不満のある声色で言って、マスカルと一緒に外に出た。
「さて。外に出たはいいものの...」
私は町の人の話を聞くとは言ったものの、これといった話の話題が無い。
「カチュ、何を聞けばいいとおもう?」
「えぇ?考え無しに出てきたの?」
「あぁ、あのまま部屋に4人でいるのもアレだし、時間の無駄だと思ってな」
「はぁ...そうね、ここは信仰深い町で、神聖な物とかに詳しそうじゃない?」
「そうか、もしかしたら、何か魔王に対して有効打を与えられる物の情報を得られるかもしれないな...だが...」
「だが?」
「魔王の事は私達や王しか知らないだろう?なんて言おうか...」
「うーん...『闇の使者に抵抗出来る武器って何か知っているか?』とか?」
「闇の使者?聞いたことがないな...」
「それっぽい事言ってればなんとかなるわよ」
すごく適当な気もするが、それ以外に魔王を形容出来るものが浮かばない。
「はぁ...それでいいか...」
私は有効な情報は得られないだろうなと思いつつも町の人に聞いてみた。
「闇の使者なんて聞いたことないなぁ、だけど、そういうものは大司教様が知っているかもなぁ」
「そういうものをお探しでしたら、教会の中にある大図書館の中を探して回るといいかと」
話を聞く限り、教会に行く方が何かと情報が入手出来るかもしれない。
この町は大きな教会を囲うように町ができている。
だから信仰深い町になったのだろう。
至る所に神のシンボルである十字架のマークを象ったものがある。
服のデザインにも十字架が入っている。
「とりあえず、教会に行ってみるか...」
教会に行こうとしたその時、教会の鐘がなった。
鐘はゴーンゴーンといった重い響きを町中に響き渡らせた。
「おぁぉぉぉぉぉ...何だこの痛みはぁぁぁ...」
僕はベッドの上でのたうち回った。
まるで存在を全否定されるかのような感覚にも陥った。
「ラク!?大丈夫!?」
「全然大丈夫じゃない...鐘の音が頭に響く...!」
僕は耳を抑えたが、まだ脳内に響いてくる。
しばらくして、ようやく鐘の音が聞こえなくなった。
それと同時に痛みも引いた。
「はぁ...はぁ...やばいな...長居は出来なさそうだ...」
「ラク...」
カーラはますます心配になった。
「もう大丈夫、あの2人が帰ってくるまで待とうか...」
大丈夫、とはいったもののかなり辛い状態だ...
早くこの町から出たいが、皆の疲労も溜まってるだろうし、野宿続きだから皆ベッドで眠るのを楽しみにしているだろう。
もうみんなで寝るのも慣れた。
最初はぎゅうぎゅうで体を動かす事もできなかったが、今は少しなら体を動かす事ができる。
...とにかく、あの2人が何かいい情報を持ってきてくれることを願うしかない...
「ここが教会か...」
私達は教会の中に入って、改めて広いと感じた。
「とりあえず、大司教様の所へ行くからカチュは大図書館へ行ってくれ」
「分かったわ」
私とカチュは二手に分かれて行動した。
2階の方に上がっていると、広い場所にでた。
神が描かれている大きなステンドグラスがとても印象的で綺麗だ。
さっきの鐘の音が集合の合図だったのか、沢山の人が祈りを捧げていた。
「さあ!偉大なる父へ祈りを!捧げを!」
1番前にいる人が大司教様で間違いないだろう。
すると、脇の方から白い服で身を包んだ人達が祈りを捧げている人達に入れ物を差し出した。
...あれは...ゴールド?
しばらく様子を見ていると、どうやら祈りの時間が終わったらしく、みんながぞろぞろと部屋からでた。
「これで今月も御加護を受けられるな」
「えぇ、これで今月も安泰ですわ」
...なるほど、そういうことか...
大司教は、神を利用してゴールドを集めているらしい。
そういえばリーダーは町に入った時、あまり苦しんだ様子はなかったが、あれは町民が心から神に祈っていないから、神聖な心を皆が持っていないからだった...
恐らく大司教に聞いても、いい情報は何もないだろう。
私はカチュを探しに行った...
「はぁ、なにも情報はなしね...」
私もカチュも、これといった情報は手に入れられなかったようだ...
「しょうがない、一旦戻るか...」
「えぇ、そうしましょう...」
どうやらただ疲れただけだったようだ...
「...という訳で、大司教はゴールドを皆から貰っていた、という他に情報はなかった。申し訳ない...」
「いや、別にいいよ。何かしてもらう必要はなかったんだし、僕があまりキツくない理由も何となく分かったしね...」
僕は労いの言葉をかけた。
「とりあえず今日はもう寝て、明日に備えようか...」
僕は皆に寝るように伝えた。
僕も早く寝よう...キツくは無いけど、体力を使ったのは確かだし...
みるみる瞼が重くなる...
どうやらまた夢を見ているらしい。
久しぶりだ...
「クソっ、なんて眩しい光だ...」
僕と相棒は目を背けた。
「貴様らのような邪悪な者に生きる資格はない、消えよ」
光を遮る手のひらの隙間から、僕は敵を睨んだ。
「ふん、邪悪なのはどちらかな!?天使共を人形のように使い、その癖して自分から手を汚すことはないのに、自分のことを棚にでもあげてるつもりか!?」
相棒は声を張り上げた。
「僕達はお前の支配する世界なんていらないね!」
僕も光に負けないように声をあげ、武器を構えた。
「愚か者が...いけ、わが軍勢よ」
というと、光の中から沢山の天使達が湧き出てきた!
「全く...この後に及んでまだ天使どもを使うのか!腰抜けが!」
相棒は敵に罵声を浴びせた。
「相棒、こうなったら全部ぶっ潰す勢いでぶつかってやろう!」
「あぁ!行くよ!相棒!」
「「オオオオオォォォォォォ!!!!」」
僕と相棒は2人で突っ込んでいった...
「おはよう、ラク!」
「んあ?あぁ、おはよう...」
やっぱり1番最後に起きるのは自分らしい。
「とりあえず、次の町を決めるか...1番近いのは...アノリか」
「...!」
マスカルは少しビクッとした。
「どうしたの?」
「...いや、何でもない」
「とりあえず、この町から出ようか。ラクの身に何が起きるか分からないし」
カーラは僕の身を案じてくれた。
「そうだね、それなら出発しようか」
僕は身支度をし始めた...
僕達は町から出て、いざ北へと進もうとしたその時だった。
1人を除いて誰も気づかなかった。
「...ッ危ないっ!」
カチュが僕を突き飛ばした。
「いてて...何するんだ―――」
一瞬、頭が真っ白になった。
カチュの胸には氷のトゲがしっかりと突き刺さっていた。
「...うああああああ!!!」
僕はトゲが飛んできた方向に矢印を無数に飛ばした。
だが、当たった様子はなく、既にいなくなっていたらしい。
「クソっ...おいカチュ!しっかりしろ!」
僕はカチュの体を揺らした。
「そうだ!今ならまだ回復魔法をつかえば...」
「無駄よ...この傷じゃあもう助からないわ...」
どうやらもう手遅れのようだ。
不幸中の幸いと言ったところか、氷のトゲが傷を凍らせて、血液が流れるのを食い止めているらしい。
「フフフ...なんで貴方を庇ったのか...分かる...?」
「なんで...?僕に刺さったって、また再構成して治せば済むのに...!どうして...!」
「貴方を...信頼していたのよ...心からね...」
「信頼...?」
「もし貴方に刺さったとしても、再構成すれば直せるなんて頭では理解していたわ、理解していたけど、体が勝手に動いていたのよ...貴方になら、この命を捧げてもいいってね...」
「馬鹿なこと言うな!クソっ、氷が溶けてきた...」
「最後に...一つだけ...」
「最後に...なんだ?」
「貴方の...こと...を...」
と言いかけたところで、カチュは息絶えた。
「おい!何だよ!僕のことを!?頼むから最後まで言ってくれ...頼む...!」
彼女の胸からは赤い鮮血が流れ出していた。
「ねぇ、ラク、カチュはもう...」
「クソっ...どうして...」
僕はカチュの手を握り、声を押し殺して泣いた。
すると、彼女の体から何かが出てきた。
僕は直感的にそれを理解した。
「魂だ...」
「え?」
「天に昇る魂が見える...」
『フフ...こんな事いう柄じゃないけど、見守らせてもらうわ、ラク...』
そういった気がした...
「...あぁ、天から見ていてくれ...カチュ...」
僕は静かにそう応えた。
僕達は近くにあった小高い丘の木の下に亡骸を埋めた。
「カチュ...さよなら...」
カーラは鼻をすすって別れの言葉を言った。
「...行こうか、リーダー」
マスカルは僕に、前を向くように言った。
「そうだね、行こうか...!」
僕達はカチュに踵を返し、アノリの町へと進んだ...
「魔王様、仲間を1人を仕留めました」
魔王の側近が報告した。
「分かった。...さて、お前はこれから何を思いどう行動するのかな...?」
魔王は静かに笑い、魔水晶からラク達を見た。