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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
16/23

欲深き愚者

ひぇぇ、1週間空いてしまった...!

やる気が出なかったんです...

ごめんなさい!

次の構成はできているんです!

やる気さえ出れば...

あと、アクセスありがとうございます!

「とりあえずチピの町に着いたけど...」

チピの町は小さな町だ。

住んでる人も十数人だとマスカルから聞いたが...

「なんだこの人の数は...」

そこには、町の外にもテントを張るぐらい、たくさんの兵士達がいた。

「おい!そこのお前!こっちに来い!」

僕は突然怒鳴られた。

「あの...僕達に何か用でも?」

「あぁそうだ、だがお前に用はない!向こうへ行け!」

「じゃあ誰に用があるんですか?」

「お前の仲間の3人に用があるんだよ!」

「私達に?なんだろう...?」

カーラ達は不思議に思いながらも兵士についていった...

その間に、僕は色々と見て回ることにした。

見た感じ、このチピの町は臨時の駐屯地になっているようだ。

「いつまでここにいるつもりなんだ...?」

「1ヶ月前からずっと居座ってばかり...魔王退治はいつやるんだ...」

町民の声が聞こえた。

「あのー...その話、詳しく聞かせてもらえませんか?」

「あぁ、いいともよ。といっても、あのゴルバとかいうやつがきて、それからたくさんの兵士がここに来て、それからずっとこの調子って訳さ」

ゴルバ...

王様が高い前金を払って雇ったあの最強の剣士か...

「それに...」

「それに?」

「毎晩ご馳走をたらふく食べて、町の女と遊んでばかり...見損なったね」

どうやら、彼は相当欲が深いようだ。

...ん?女と遊んでばかり...?

嫌な予感がした。

急いで行かなければ...!





「すごく広いね...」

私はカチュやマスカルと一緒に兵士についていった。

「あぁ、私が前に来た時はこんな建物無かったはずだが...」

「ごちゃごちゃ言わずに付いてこい。...しかし...」

別の兵士が私達を舐めるようにじろじろとこちらを見た。

「へへへ...なかなかいい体してるじゃねぇか。500ゴールドで一晩...」

と言ったところでカチュの膝蹴りが腹に入った。

ざまあみろ。

「あら失礼、つい体が...」

と、カチュが冷徹な目をしながら吐き捨てた。

「おい!何をしている!早く付いてこい!」

「何よ...全く失礼な人達ね!」

私はブツブツ言いながらついていった。



着いた先にいたのは、一人の逞しい男と、裸に等しい薄い布を纏ったたくさんの美女がいた。

「これは...何とも...」

皆絶句した。

「ガハハ!よく来たな!」

「...そっちから連れてきたくせに」

私はボソッと言った。

「なーに、ここに来て貰ったのには理由がある」

「理由...?」

マスカルが前に出た。

「もしもその理由とやらが淫猥なものだったら、あなたのモノを切り落としますよ」

冷ややかだった。

「フン、お前らよりもいい女はそこらじゅうにいる。そんなことよりも重要な理由がある」

男はにやけた顔で話した。

「俺は王からたくさんのゴールドを貰った。そして、魔王を倒せばさらにゴールドが貰える。わかるな?」

「ええ、それが?」

「だが、お前らがしゃしゃり出たおかげで、俺が貰う金が減っちまう」

「...と、言うと?」

「だからな、お前らには死んでもらう」

そういって、男は指をパチンと鳴らした。

すると、私達の床が空いた。

...ん?空いた?

「えええええぇぇぇぇ!!??」

「な...!?」

「くそっ...!」

私達3人は仲良く落ちてしまった...






僕はゴルバのいる大きな建物の中へ向かった。

城、とはいかないが、それに近いぐらい大きな建物だ。

「おっと、まちなよ...」

...いつの間にか僕は兵士に囲まれていた。

「急いでいるんだ、ここを通してくれ!」

「いいや、ゴルバ様の命令でね。死んでもらおうか」

というや否や、兵士達は四方向から攻撃してきた。

「いくらお前みたいな()()()でも、これを食らって平気でいられるかなぁ?」

「...」

僕は集中して、矢印を呼び出した。

矢印は何も攻撃だけできるのではない。

攻撃は最大の防御とはよく言ったものだ。

...この場合と意味は違うけれども。

「げっ!なんだぁ!?この魔法!?」

僕は出した矢印を半円形に重ねて防御した。

「通してもらうよ」

防御に使った矢印をそのまま攻撃に転用した。

敵の斬撃を受けた矢印は変形し、相手の下腹部に突き刺さった。

「あごぉっ!!」

兵士達はその場にうずくまった。

僕は急いで建物の中に入った。




中には殆ど兵士はいなかった。

...1人倒れている。

「...ねぇ、大丈夫?」

「う...あのクソアマ...ぶっ殺してやる...」

腹を抱えた兵士が恨み言を呟いていた。

「ここに女の子が来なかったかい?」

「あぁ、きたさ...へへっ、今頃ゴルバ様にぶっ殺されているだろうさ...」

「くそ、やっぱり...待ってろ...!」

僕は不安を胸に奥へと進んでいった...





「いやー、危なかったね...いてて」

私達は今、絶賛落とし穴にハマり中だ。

...落とし穴と言うには広いけれど。

「風魔法を床に使って私達を浮かせるとは、カチュもなかなか機転が効くじゃないか」

「余計なお世話よ。まったく、あの下衆野郎...次会ったらタダじゃ置かないわよ...」

カチュはかなり怒っているみたい。

まぁ、私も怒ってないわけじゃないけど。

「にしても真っ暗ね...インファ!」

カチュは炎魔法を唱え、明るくした。

すると床には恐らく、ゴルバにとって()()()()()()が変わり果てた姿で転がっていた。

最近ここにきた者もいるらしい。

半分腐り果てた死体も転がっていた。

「うっ...!」

私は思わず目を背けた。

「...これからどうする?」

カチュがマスカルにこれからのことを相談した。

「どうするも何も、ここで野垂れ死ぬか、それともリーダーに助けてもらうか...どっちかだろう?ここはかなり深い場所だ。魔法を唱えるのに5秒かかったからな」

「わざわざ数えてたの?ご親切にどうも!」

カチュはツンとした態度をとった。

「...さて、とりあえず待つか。彼がじっとしているわけが無い」

マスカルの言う通り、ラクも恐らくは私達が何らかの目にあっているというのは何となく分かっていると思う。

でも今の私達には何もすることはできないから...

「待つしかないよね...」

ラクが助けに来るまで待つことにした...





「どけどけぇ!通してくれぇ!」

兵士がいないのはメインホールだけだった。

奥には兵士がいるのは必然だった。

ゴルバもこちらに寄せまいと必死なのだろうか?

とにかく、僕は兵士に矢印をお見舞いしつつ、奥へ奥へと向かっていった。




そして、いよいよゴルバのいる間に辿り着いた。

扉を蹴破り、中にいた護衛を矢印で吹っ飛ばした。

「僕の仲間たちを返せ!」

「おいおい、いきなり俺の兵士達を気絶させといてその言い草はないだろ?」

ゴルバは静かに、だが下品に笑った。

ここまで下品に笑えるのも1つの才能だと思う。

「さて、こちらも突然で悪いが取引しないか?」

「取引?」

「あぁ、俺はお前を敵に回したくねぇんだ...」

そりゃそうだろう。

僕はゴルバにとって邪魔者でしかないから。

「なーに、至って簡単だ。もう少しだけこちらに来てもらうだけなんだ。そうすれば、仲間にも会わせてやるよ」

何か企みがあるに違いない。

だが、仲間がここにいることに間違いはないようだ。

罠だと分かっているが、僕はゴルバに近寄った。

「ようし、今会わせてやるよ...あの世でな!」

ゴルバはパチンと指を鳴らした。

すると、床が空いた。

「うわっ!」

僕は落ちてしまった...

だがその瞬間、矢印を出して壁に突き刺した。

僕は矢印を次々と壁に突き刺し、よじ登った。

「何!クソッ、化け物め!」

僕は登った所を剣で攻撃された。

短剣で何とか防御したが、僕はバランスを崩した。

「落ちろ!」

そこでゴルバに蹴りを食らわされた。

だが、その蹴りを使わせてもらった。

蹴りを食らいながらも、足を掴んだ。

「何をする!離せ!」

ゴルバはさらに蹴りを2度3度浴びせた。

だが、それで怯むほど僕は柔くない。

僕はぐいと足を引っ張った。

「やめろ!今すぐ離せ!」

「いいや、君は落ちるんだ。この穴の中にね」

「やめろ!やめろぉ!」

抵抗も虚しく、ゴルバは穴の中に引きずり込まれ、今落ちないように支えているのはラクの手だけだった。

「さっき離せって言ったよね?」

「やめろ!離すな!」

「僕の仲間はどこにいる?」

「...」

ゴルバは黙っている。

僕は指を1本離した。

「待て待て!離すな!分かった!言うから!」

「何処だ!」

「...もう、死んだ」

「何!?」

「さっきこの穴の中に落とした!この高さだ、助からない!」

「...そうか、分かった」

「そうだ!俺と組まないか?俺とお前で魔王を殺るんだ...」

「いいや、そんな日は永遠にこない」

僕は指を離した。

「うああああぁぁぁ...」

ゴルバは奈落に落ちた。

数秒後、落ちた音が聞こえた。

すると、声が聞こえた。

「うわっ!何!?」

「ゴルバ...?何故?」

カーラとマスカルの声だ!

「おい!そこにいるのか!?」

僕は声を張り上げて言った。

ちょっと間が空いて、返事が聞こえた。

「いるよー!皆無事だよー!」

「待ってろ!今そこに行くからなー!」

僕は矢印を梯子状に組み立てて、下へと降りていった...





「良かった!無事だったんだね!」

僕は思わずカーラに抱きついた。

「つ、強い...抱きつきが...強いって...」

カーラは何となく嬉しそうに言った。

「...とにかく、ここから出ようか。...ん?」

マスカルはゴルバの死体から手紙のようなものを拾った。

「これは...!」

「どうしたの?」

カーラとカチュは手紙を見た。

「...なになに?『ここに4人の魔王に仇なす者共が来る。殺せ。報酬はお前の望むものなら全てやろう。』...だってさ」

「...つまり、ゴルバは私達を殺すための道具として使われたという訳か」

マスカルは呟いた。

恐らく、魔王の部下がゴルバの欲深さに目を付けて、ゴルバを操り間接的に殺そうとしたのだろう。

「まったく、この男も欲を出しすぎたな。自業自得だ」

マスカルは死体にそう吐き捨て、梯子を登っていった。

僕もマスカルに続いて登っていった...




「ふぅ、やっと付いた...」

最後にカーラが登り終わった。

「さて、町の人に伝えるか、ゴルバは死んだってね」

「...まだだ...」

穴の中から声が聞こえた。

「え!?まさか...!?」

「まだだぁぁぁぁ!!!」

穴から血だらけのゴルバが飛び出して、カーラを引き寄せた。

「きゃっ!」

「へへへ...どうせ死ぬなら、道連れにしねぇとな...」

ゴルバは下品な笑い声をあげた。

「...往生際が...」

カチュが一歩前に出た。

「悪い!!」

カチュは素早くゴルバに近寄ったかと思うと、思い切りアッパーを繰り出した。

「ごばぁぁぁぁぁぁ....」

ゴルバは再び穴の中に落ちていったきり、帰ってこなかった。

「...ふん、スッキリしたわ」

カチュは手をパンパンと叩くと、踵を返して立ち去った。

「...カチュ、凄かったね」

「うん...」

僕達もカチュに続いて建物から出た...





「次は...シスの町が近いね」

「シス...確か大聖堂のある町で、かなり神聖な場所だと聞いたな」

「ラク、大丈夫?悪魔なんでしょ?具合が悪くなるんじゃない?」

「多分ね、でも大丈夫。僕個人の理由で進路を変更することはしないよ」

とはいったものの、前の退魔の実のように、具合が悪くなるだろう。

「...そうか、もしきつくなったら何時でも言ってくれ。肩なら何時でも貸してやる」

「むぅ...私も貸せるよ!」

「はいはい、取り敢えず町についてから考えましょ...」

そんなこんなで、僕達はチピを離れた...












「魔王様、ゴルバが...」

「分かっている、次の手をうて」

「しかし、次はあの聖地...我らは手出し出来ません」

「それは向こうもだろう、肉体的にあの場所には長くはいることは出来ないだろう。町から出てきた時にあの仲間を消せ」

「御意...」

「それと...」

「はい?」

「あの盲目の男は生かしておけ」

「御意...」

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