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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
13/23

植物の涙

だんだんまた長くなっていきます。

...前書きで書くこと無くなってきちゃった...

あと、アクセスありがとうございます。

気になるところ、誤字脱字を見つけたらコメントをよろしくお願いします。

一応一通り見てはいるんですが、たまに見落としがあるので...

「ここがアーサ...」

僕は呟いた。

朝早く出発したが、町についた頃には昼になっていた。

「とりあえず今日はここの宿で泊まろう」

夜になるまではこの町で色々と準備し、宿でまた新しい目標をたてるといった方針で進めていくことにした。

「ここってさ、木の実が特産品なんだよね?1回食べてみたいなぁ...」

カーラがこちらを見ている。

「...無駄な出費はだめです。それともここでも何かしら依頼をこなして、ゴールドを得てっていうのなら話は別だけどね」

「けちんぼー」と、カーラは膨れてしまった。

「...私は宿の手配をしてきます。それまで、この町を巡ってみては?」

マスカルはそういって、さっさと行ってしまった。

「まぁまぁ、マスカルもこう言っているんだしさ、色々見ていこうよ!」と、カーラに引っ張られつつ色々見ることにした。

町を見て回ると、広場にある掲示板に気になるものを見つけた。

「カーラ、ここに何か書いてあるよ」

「そっか、ラクは見えないのか。えーと、なになに...茨の森の主を倒した者に、白銀の実と5000ゴールド...だってさ」

白銀の実...気になるな...

それに、5000ゴールドといったら、かなり高額な報酬だ。

話を聞く価値はありそうだな...

「なぁ、この依頼受けてみない?」

僕がそういうと、カーラはとんでもない!といった声色で、

「無理だよ!私達は魔王を討伐する旅にでてるんだよ!?そんな余裕ないじゃん!」と反論した。

「確かに、余裕はないかもね。このまま依頼をこなさずにいけば、たちまち無一文。旅を続けられないね」

僕はお金は稼いでいく必要があると話すと、

「うぐぐ...わかったよぉ!話を聞くだけだからね!」と、カーラを丸め込むのに成功した。






「依頼を?」

宿をとり、部屋の中でマスカルに依頼を受けたいという話をした

「あぁ、白銀の実というのが気になってね」

「私はリーダーがそういうのなら構わないよ」と快く承諾した。

「よし、それじゃあ早速依頼主のところに行くか!」と言ってマスカルとカーラを連れていった。





「君達が依頼を受けたいという人かね?」

依頼主が町長だとは思わなかった...

「はい、そうです」と答えると、

「そうか...最近、あの森に茨が生え始め、木の実を採ることが出来なくなってしまってな...町の者に行かせたところ、とある魔物が居座っていたと...」

「魔物の形とかは分かりますか?」

質問を投げかける。

「あぁ、確かこんな姿だと...」

町長は紙を差し出した。

カーラとマスカルに見せると、2人は口を揃えて言った。

「子供...?」

「あぁそうだ、魔物は子供の、しかも女の子の姿をしている。だから、あまり手をかけたくないのだが...木の実が採れなくなると町の利益に影響がでるからな...」

「...わかりました、僕達がなんとかしてみます」と、僕は言った。

「そうか、なら頼んだよ。くれぐれも無理はしないでくれ...」






「とりあえず森についたけど...茨が凄いね」

カーラはそういって茨に触れた。

「痛っ、これ全部こんな感じなの...?」

森全体に茨が生い茂っている。

「切り開いて進んでみようか...」

僕とマスカルは茨を切り開き、道を作りながら進んでいった。

森の中は花や木の実を付けた木で溢れていた。

「綺麗...」

カーラはぼそっと呟いた。

植物だけでなく小動物なども沢山住んでいるらしい。たくさんの小さな気配を感じた。

魔物の気配はする。だが、ひとつだけしかしない。

どうやら、主以外の魔物はいないらしい。

進んでいくと何やら声が聞こえてきた。

子供の泣き声だ。

誰かがいるらしい。

「泣き声が聞こえる。用心して」

僕は2人に注意を呼びかけた。

やがて僕達は、泣き声の元に辿りついた。

目が見えなくてもわかる。

魔物だ。だが、不思議な形をしていた。

女の子の形をしているが、よくみると背中から2本の触手らしきものが生えている。

女の子は泣きながらこちらに話しかけた。

「どうして傷つけるの...どうして...?」

もしかすると、あの茨はこの子から生えているのだろうか...?

確かに、茨からは魔力を感じた。

だが、この子に森の全てを覆い尽くす程の魔力があるとは思えない。

「どうして子供たちを奪うの?私達はようやく安寧の地を見つけたのに、どうして邪魔するの...?」

「子供たち?」僕は魔物に問いかけた。

「人間はいつもそう。何も聞こえないことをいい事に、どんどん自然を蝕んでいく。私達は静かに暮らしたいだけなのに...」

どうやら、木の実というのはこの子の子供らしい。見た目とは裏腹に子持ちだったとは...

「...?ちょっと待ってよ」

カーラが話に入り込んできた。

「あなたが来たのは最近だよね?なのに、木の実を奪われるって?」

「...ちっ」

すると、魔物の姿が一変し、巨大な薔薇のような姿に人間の半身が付いているような姿になった。

「油断している隙に殺そうとしたものを...」

この子の殺意に気づかなかった。カーラ、よく気付いたな...

僕達は態勢を整えた。

「こいつは...アウラウネ!」




アウラウネ。

普段は花や木として生きているが、餌を見つけると人間に擬態し、油断している隙に殺してしまう。





アウラウネは背中の触手をムチのようにしならせ、僕達をはじいた。

「きゃっ」

「うおっ」

僕は屈みなんとか回避したが、カーラは飛ばされて木に叩き付けられた。

マスカルは触手での攻撃を警戒していたので、さっと跳び避けた。

だが、アウラウネは跳ぶというのは分かっていたらしい。もうひとつの触手にマスカルは捕まってしまった。

「これで易々と近づけまい!」

「ぐぁぁ...」

「動くな...茨がくい込んでしまうぞ?」

どうやら中々にまずい状態らしい。

カーラは気絶、マスカルは捕まっている。

だが、もうどうすればいいかは分かっていた。

魔物といえども元は植物。

土から離れては生きられない。

僕は剣を振り、真空刃を根元に飛ばした。

真空刃は地面を抉り、アウラウネの根を切り刻んだ。

「あぐぁぁぁ!!」

アウラウネは苦しみ、マスカルを離した。

僕は更に触手を切り落とし、攻撃手段を絶った。

「...これで終わりか」

マスカルは腕を抑えている。

茨が腕にくい込んだらしい、血が出ている。

僕は虫の息のアウラウネに近づいた。

「...トドメを...刺さないのか...?」

「僕が殺意に気づかなかった理由がわかった。君は人間が自然を蝕んでいると言っていたね。あれは本心で言っていたから、嘘のない言葉だったから気が付かなかったんだ」

「...」

「僕はトドメを刺さない。たとえそれが自然(きみ)に対する冒涜だとしてもね」

「...変な奴だ...だが、私はどちらにせよ死ぬ。だからその前にこれを町の人間に伝えてくれないか...」

アウラウネは僕の手を握った。

「人間は自然からは離れて生きる事はできない...たった少しでもいい、自然に対する敬意を払ってくれ...自然に感謝することを心に...」

そういうとアウラウネは枯れて、土に還った。

「...魔物にも、色々と考えている者もいるんだな...」

「そうだな、町の皆にも伝えるべきだ。自然に対する態度を改めるべきだ...とね」

マスカルは腕の傷を携帯している包帯で手当し、僕はアウラウネの言葉を胸に、カーラをおぶって町に帰った...





町へ帰り、カーラを宿に置いたあと、僕とマスカルは町長へ依頼を終えたこと、アウラウネの遺した言葉を伝えた。

「そんなことが...ですが、とにかく対処して頂きありがとうございました、これは報酬です」

僕達は5000ゴールドと白銀に輝く木の実を貰った。

「この木の実は?」

「ええ、何でも退魔の効果があるだとか...」

僕は木の実を受け取ろうとしたが、木の実に触れた途端、具合が悪くなった。

「...どうした?リーダー」

「...この木の実は...マスカルが受け取ってくれ...」

「...?」

不思議に思いながらもマスカルは木の実を受け取った。

「さ、もう日も暮れていますし、今晩は泊まっていってください」

「有難い事ですが、宿はもう取りましたし、内のもう一人の者が何かと粗相を起こすので、ご好意だけ受け取っておきます」

僕は丁寧に断ると、ふらつく足で宿に向かった。

「...」

「大丈夫か?さっきから具合が悪そうだが...」

「いや、大丈夫だ...」

木の実に触れたときから頭が痛い。

何故?よくわからない。

木の実には退魔の効果があるといっていたが...

もしかすると...自分は...

「...まぁ、リーダーが大丈夫と言うんなら大丈夫だろう。...それにしてもカーラ、起きないな...」

マスカルがカーラの体を揺らすと、やっと目が覚めたらしい、欠伸をしてから体を起こした。

「あれ?あの魔物は?」

「もう倒したよ。さて、次の目的地を決めようか」

「あ、そう?じゃあさ、木の実、貰ったんだよね?見せて見せて!」

そういうとカーラは木の実を取り出した。

木の実を見るのは平気らしい。

「どれどれ...早速味のほうを...」と食べようとするカーラを止めた。

「食べようとしない。もしかしたら重要な物かもしれないし、とっておこうよ」

「食べないと腐っちゃうよ?」

...どうやらどうしても食べたいらしい。

「はいはい、さっき町でパンを買ってきたからそれ食べて」

僕はカーラにパンを渡した。

「わぁー、ありがとう!」

カーラは喜びながらパンを食べ始めた...

「...さて、ここから北に1番近い町は...サーショだな」

次の目的地はサーショの町だ。

今日は色々と疲れた。早く寝よう...

「今日はもう寝よう、それじゃあそれぞれの部屋に...」

「あー、それなんだが...ゴールドを節約しようと思って、ひとつしか取っていないんだ」

「...ということは?」

「この部屋で皆仲良く川の字で寝るという訳だ」

「...マジか」

更に疲れそうだ...疲れが取れるだろうか...?

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