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落ちた男の奇妙な運命  作者: 六等星の鷲座
王国ラムライズ編
10/23

剣術披露大会 その2

時間がかかっちゃいました…

話も長くなっちゃって、読むのが大変でしょうが、まぁ、温かい目で見てください。

アクセスありがとうございます。

次話も見てくださいね。

「いやー、ラクは本当に強いなぁ」

僕とカーラは寝っ転がりながら今日を振り返った。

僕はカーラが力で押すタイプではないと思い、剣の持ち手を度々変え相手に剣のクセを悟られないように常に様々な方向から攻撃できるような特訓をした。

カーラが器用で良かった。

「まぁ、私も私で強くなってるけどねー」

ふふん、とカーラは自慢げだ。

「僕が教えた通りにしてるだけでしょ...」

「いーや、私も私なりにアレンジしたりしてますー」

と、カーラもカーラで頑張っていたらしい。

「明日の試合、お互い戦えるといいね」

「ふふふ...そうだね」

「何よ、その笑いは...」

カーラが聞いてきた。

「今のうちにカーラを疲労させて、明日の試合で本領を発揮させなくしようかなーと」

「へぇー、どうやって?」

カーラが笑いを含めた声で言った。

「こうやってね!」

僕はカーラの横腹をくすぐった。

「ちょ、ちょっと...やめんか!」

カーラが僕の脳天に肘を当てた。

「ぐへぇ...くすぐりは効かないのか...」

「ふんっ...何をするかと思ったら!全くもう!」

カーラはぷんぷん!といって(本当に言った)

ふて寝してしまった。

...さっさと寝よう。明日の試合で優勝が決まる。





「ラク選手、そろそろお時間です」

係員が部屋に入ってきた。

もうそろそろ試合か...

僕は係員についていった。

「...今日で優勝が決まりますね」

係員が話しかけてきた。

「えぇ、優勝させてもらいますよ」

と僕は返した。

「所で、貴方は何処の生まれですか?」

「何処の生まれ?」

係員は僕に質問してきた。

「はい、貴方の剣の構え、私は見たことが御座いません。一体、誰に剣技を教わったのですか?」

「すべて独学です」

独学というか、身についていたというか...

僕の剣技は、相手に動きを悟られないように、力強い斬るかと思えば、素早く動いて相手を翻弄する。まぁ、相手に動きを理解させないようにする感じだ。

「独学...ですか」

係員は少し驚いているようだ。

「柔にもなれば剛にもなる奇妙な剣技、もしかして、カーラ選手に剣技を教えたのでは?」

「ですね、僕が教えました」

すると係員は、なるほどといった感じで、

「そうだったんですか...道理でお強い訳です」

とカーラを褒めた。

なんだか自分まで褒められたようだった。




「さぁ!いよいよ後半戦の開始です!」

フェアがそういうと、観客は歓声をあげた。

「ここで選手の紹介です!」

フェアは僕の説明をし始めた。

「生まれは謎に包まれ、剣技はなんと独学!相手に動きを掴ませない奇妙な技の使い手、その名はー!ラク選手ー!」

係員はフェアに僕の事を教えたらしい。

まぁ、悪い気はしないけど。

「その対戦相手は!かつて仲間を失い、その日から常に1人で道を切り開く男!優勝候補でもある、ロン選手ー!」

「ロンー!」

「優勝しろよー!頑張れー!」

観客の声が響く中、男が静かにこちらを見定めている。

「...」

かなり強そうだ...静かな姿の中に、大きな力を感じる。

「では試合...」

ぐっと剣を握りしめる。

「初め!」

「おおぉ!」

「せやぁー!」

お互い剣をぶつけ合う。

相手はかなり手慣れだ。相当努力したに違いない。

だが、これ程の強敵だ。自分をかなり奮い立たせてくれるだろう。

「おおおおおおぉ!!」

「どりゃぁぁぁぁぁ!!」

お互いに剣のスピードが上がっていく。

かなりスタミナもあるみたいだ。

ずっとお互いに剣をぶつけ合うと、いずれ剣のクセが悟られてしまう。

僕は一瞬の隙をついて、咄嗟に距離を取った。

「逃がすか!」

相手は距離を縮める。

だが、まだ剣を振ってはいない。

「オォ!」

僕は男の剣を弾いた。

男まだ辛うじて剣を握っている。

「...やるな」

「ふふふ...そっちこそね」

だが、下がるわけにはいかない。

次は全力だ。

男も剣を再び握り直した。

向こうを全力で来るらしい。

「オォォォォ!」

「オラァァァァ!」

お互いに剣を激しくぶつけた。




剣が吹っ飛んだ。

自分はまだ手に剣を持っている。

「...負けだ」

ガチャンと剣が落ちる音がした。

「し...勝負あり!」

うおおおおお、と観客は白熱していた。

「勝った...!」

「勝ちましたね!次は決勝戦ですが、意気込みをどうぞ!」

「はい!絶対優勝します!してみせます!」

「いいぞー!ラクー!」

「優勝とったれー!」

観客が僕を応援してくれた。

「...おい」

男が話しかけてきた。

「頑張れよ、俺を負かせたんだからな」

そういって、男は退場した。

次は決勝戦。

カーラ、勝ってくれよ...






「ラク選手、そろそろ...」

「次の相手はカーラですか!?」

「はい、カーラ選手です」

よかった...勝ってくれたんだ...

心からそう思った。

「ふふっ、相当カーラ選手との試合が楽しみなようですね」

「ええ、お互いに高め合った仲間ですから」

僕はそういって、庭に行った。

「...頑張ってくださいよ」

係員は小さな声で応援した。



「さぁ!いよいよルーキークラスの優勝を決める試合です!」

観客はより一層盛り上がった。

「ここで選手の紹介です!優勝候補を破り、己の技で全てを切り開く男!ラク選手ー!」

僕の紹介がされると、会場は更に盛り上がった。

「続いては!薬草摘みの少女と呼ばれた女はもういない!かつての自分を変え、ラク選手と同じ剣技を使う女!カーラ選手ー!」

「ラク!手加減は無しだよ!」

カーラはびしっ、と指を指した。

「カーラー!」

「どっちも頑張れー!」

観客はどちらも応援してくれた。

「あぁ、こっちも手加減はしないからな」

僕は微笑んで、しかし油断せずに剣を握った。

「試合...」

相手も剣をギュッと握る。汗が出てきた。

「初め!」

「やぁっ!」

カーラはいきなり斬撃をした。

僕はさっと避けた。

すると、カーラは避けた先に剣を横に振った。

僕はガードすると、カーラは剣を持ち替えて、ガード出来ていない部分を切った。

「おらおらー!」

カーラは僕を本気で倒そうとしている。

そしてその思いが僕を熱くするのは容易だった。

僕は相手の剣を弾き、更に斬撃を繰り返した。

「うぐぐ...なら、これはどうだ!」

カーラは距離を取り、素早く踏み込んできた。

振り下ろしてくる。

そう思って剣を横にして振り下ろすのを待っていた。

「ふふっ!踏み込んでくるからって、()()()()()()()()()()()()()

カーラは剣を横に振った。

踏み込みで威力が増したのか、女とは思えない強さで攻撃した。

危うく剣を落としそうになった。

観客が一気に静まり返った。

圧巻されて誰も声が出なかったのだ。

「そこだ!」

カーラはそれを見逃さなかった。

更に追撃しようと、カーラは剣を振り下ろした。

そこだ。幾ら剣を持ち替えて悟られないようにしようとしても、いざトドメを刺そうとすれば、自分のクセが出てしまう。

最後はやはり振り下ろしてしまうらしい。

「オォラァ!!」

僕は思い切り強く剣を振り上げた。

ガギィンという音をたてて、カーラの剣を切断した。

「勝負あり!」

「すげぇぇぇぇ!」

「なんなんだこのハイクラスな戦いは...!」

観客の中で緊張の糸が切れたのか、一気にどよめいた。

「くぅぅぅ...くやしー!」

「強くなったね、カーラ」

僕はカーラをなだめるようにして頭を撫でた。

「頭を撫でられたって、この悔しさはおさえられないわ...」

だがカーラは満更でもないようだ。

体が少しクネついていたからだ。

「優勝おめでとうございます!」

フェアが割り込んできた。

「何か一言お願いします!」

「優勝したぞー!」

「なんだそりゃ!」

「もっと面白いこと言えよー!」

観客達は笑っていた。

僕もカーラも、お互いやり遂げた感覚がした。

「では、次はノーマルクラスの試合が始まります!」

僕とカーラは退場した。



「では、ここでしばらく待っていてください」

係員は僕をいつもの部屋に案内した。

「それと...優勝おめでとうございます」

係員は僕に拍手してくれた。

「ありがとうございます」

「いえいえ、お陰で皆の給料まるっと頂きですからね、感謝してもしきれないですよ」

係員はとても嬉しそうだった。

そうだ、ひとつ聞いておかないと。

「あの、いつまでここに待機するんですか?」

「はい、ベテランクラスが終わるまで待っていただきます」

「ベテランクラスの試合が終わるのはいつ頃ですか?」

「夕日が沈む頃...ですかね」

結構時間がかかりそうだ...

「あの...それまでずっとここに?」

「いえ、観客席の方に移動して頂いても構いません。試合が終了した人は特別席での観戦ができます」

カーラの事だろう、きっと特別席にいるに違いない。

「じゃあそこにいきます」

「わかりました」

そういって係員は僕を特別席に案内した。



「うまい...あ、ラク!」

「カーラ...」

そこにはカーラがいた。

結構な量の唐揚げも置いてあった。

「えへへー、近くにお店があったからさ、選手は無料って事だから貰ってきちゃった」

てへ、といった仕草をするカーラを、僕は呆然と見ていた...




ノーマルクラスの試合が終わり、ベテランクラスの試合もいよいよ最後だ。

カチュとマスカルだ。

やはりあの二人が残ったか...

「おお、例の仮面のカチュだー」

カーラも予想は出来ていたらしい。

「いよいよ最後の試合となります!まずは選手の紹介です!」

フェアが声高々に言った。

よく喉が潰れないな...

「華麗な魔術と華麗な剣術!多種多様な術を操る姿も華麗!カチュ選手ー!」

カチュは落ち着いた態度で場内に出てきた。

「その対戦相手は!戦う姿はまさに貴公子!身軽な動きで相手を翻弄する謎の仮面!マスカル選手ー!」

マスカルもまた、落ち着いた態度だ。

...遠くで分からないが、剣の形が違うような...

「なあカーラ、マスカルの剣、なんか違くない?」

「あぁ、あれはレイピアっていって、細い分速く振れるんだってさ」

カーラは唐揚げを口に頬張りながら言った。

...まだ食べてるのか。

「試合...」

お互いが身構えた。

「初め!」

するとマスカルは距離を取った。

どうやら、相手の出方を伺うらしい。

お互い一定の間隔を保ちつつ、互いを見定めている...

「頑張れー!カチュー!」

カーラが大きな声で応援した。

するとマスカルは、さっと前にでてレイピアを振った。

細身の剣で力がない分、速さでカバーしている。

カチュは押され気味だ。

「頑張れー!」

僕もカーラに負けじと応援した。

するとカーラはその倍の大声で、

「がーんーばーれー!!」

と言った。

周りがこちらを見ている...

僕はカーラに周りに見られていることを伝えると、恥ずかしがってすぐに声を小さくして、がんばれー、と言った。

だが、応援とは裏腹に、カチュは押されている。

もっと踏み込めば...

僕は手に汗を握っていた。

カチュが前に出た。攻めに入った。

お互いラッシュが続く。

だが、カチュの斬撃がだんだん遅くなってきた。

幾ら魔法で作った剣だとしても、スタミナがないらしい。

マスカルはそこを捉え、一気に攻めた。

カチュは攻めに耐えられず、剣を落としてしまった…

「勝負あり!優勝は...マスカル選手です!」

ワァァァァと歓声があがった。

僕とカーラが試合をした時よりも声が大きかった。

「ではマスカル選手、なにか一言...」

フェアが駆け寄ったが、マスカルは何も言わずに場外に出た。

「...えー、これから10分の休憩のあと、表彰式を行います。各クラスの優勝者は準備をお願いします」

「...だってさ。ラク、いってらっしゃい!」

カーラが見送ってくれた。





「...それでは、これから表彰式を行う」

いざ目の前に王様がいると、やはり目が見えなくても威厳を感じる。

「ルーキークラスの者、前へ」

僕は王様の前に出た。

「頭を下げろ!」

僕は遠くからそう叫ばれた。

僕は焦りながらも頭を下げた。

「いや、いい。受け取る物も頭を下げていては受け取れぬだろう」

僕は頭を上げて、優勝カップを貰った。

「おめでとう」

「ありがとうございます」

僕はそういうと、後ろに下がった。

他の2人も同じように(僕と同じ頭を下げないで、という訳じゃない)受け取って、剣術披露大会が終わった。




「いやー、びっくりしたよ」

「びっくりしたじゃなーい!」

カーラに怒られてしまった...

「王様に無礼な事をしちゃったんだよ!?もし寛大な心を持ってなかったら今頃...」

「今頃?」

「処刑だったね!」

「しょ、処刑ー!?」

僕はあまりにもバカバカしくて笑ってしまった。

「もう!本当なんだからねー!」

そんな事を話しながら僕達は祝杯をあげようと、酒場に向かった。



「うー...」

祝杯を挙げられる状態じゃない。

「クソっ!なんであんな仮面野郎に負けるんだ私はぁぁぁぁ!」

ダンッというと音とともに、思い切り木製ジョッキをカウンターテーブルに叩きつけていた。

「ん?あっあんた!こっちに来なさい!」

「痛た!ちょっと、引っ張んないでよ!」

僕はカチュに引っ張られて、一緒に()()()をする事になった。

「なんであんたが勝って私が負けるのよぉぉぉぉ...」

所謂(いわゆる)絡み酒ってやつかな?

僕は話を聞くことにした。

「アイツ、仮面なんて付けてるから全く目が見えないのよ。だからやられたのー!」

カチュはそういって、管理人に酒をおかわりするように頼んだ。

「おかわり!」

「おいカチュ、飲みすぎじゃねぇのか?」

「飲まずにやってられるかぁっ!ってのぉ!コンチクショー!」

「...あんた、とりあえずおめでとう。だが、厄介なやつに絡まれたな...」

管理人は僕にもお酒を出してくれた。

僕は暫くカチュに付き合うことにした。

「...あのー、私カーラの事を忘れてませんかー?」

カーラは1人ポツンと残された...

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