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たまおの不幸な卒業文集  作者: 花南
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 山田が授業を休んで篠宮さんについてメンタルクリニックに行った。

 放課後執務室で仕事をしていたらこの前電話番号を教えたそいつから電話がかかってきた。

――三芳? 今終わったよ。鬱病とは診断されなかったよ。

「じゃあなんだったの?」

――感情障害。あいつの国語音痴って感情っていうの? 正確には脳っていうの? そこに元から欠陥があったんだってさ、でもそのおかげであいつまともに見えたんだよな。あいつがまともな神経してたらもっとおかしくなってたと思うよ。

 ああ、あいつ欠陥が多いのか。たしかにどこか欠落しているとしか思えない人格破綻者だものね。

――知ってたか、三芳。俺も今日知ったんだけど、千恵の家ガスが止まったんだってさ。常にお腹が空いてて夜眠れないからぐっすり眠れる薬がほしいって言ってた。俺さ、お前に篠宮が「助けてほしい」と言うまでほっとけって言ったけどここらへんが俺の限界だった。江戸っ子みたいに熱い風呂が大好きな奴が真冬に水風呂だなんて、可哀想すぎるよ。今日両親を絶対説得して千恵を引き取る。醤油ベースの鍋しか冬は出てこない家だけどそれでも食べ物はあるしな。

 山田がついに、彼女を救済するために動き始めた。

 そのまま篠宮さんの幼馴染であるあいつは色々早口に話し始めた。

 オカルト好きな奴が前世で首を切られて殺されると今世で精神病になるとか根も歯もないこと言ってたことあるけど、千恵はマフラー首に巻けないんだよな。あいつは前世で誰に殺されたんだろうな?

 あいつがんばったよな。だけどさ、俺はあいつにがんばってほしいなんて思わなかったよ。とっとと弱音吐けばいいのにって思ってた。お前もそう思ってたよな、三芳。

 なんであいつはあの家庭を選んで生まれてきたんだろう、もっとたくさんマシな家庭はあったはずなのに。

 三芳、俺は将来あいつみたいな子供を守る団体作るからお前はそういう子供が誕生しない社会を相模町に作れよ。俺ら相模中の二大カリスマだもの、大きくなればそれくらいのことできるよな? 大人にならなくちゃできないかもしれないけど、大人になったらそれくらいできるようになるよな。

 千恵は銭湯せんとうのことをぜにゆって読んで俺に笑われたことがあるって知ってるか? あの国語音痴はどうにかするべきだよな、日本人として恥ずかしい。

 だけどあいつは小説書くのが趣味とか知ってた? すごく几帳面な文章しか書かないんだけど、作文苦手でもお話作るのはすごく上手なんだよ、無限大に作る想像力あるの。

 あいつの頭ってすごいんだぜ、パソコンみたいにできてるの。記憶をフォルダに整頓して収納したり検索かけたりとかできるんだって。どんだけ電子に傾倒した脳なんだろうな。

 三芳……色々言いたいことがあるのに整頓できねぇから今日はそろそろ……

「山田、篠宮さんに相模高校受験するように説得しておいて」

――は?

「相模高は僕が一年生だったときに特別監査委員長だった奴が今生徒会やってるんだ。僕よりサドな性格した奴だけど曲がったことは嫌いだから正攻法で校長を脅して正攻法で特別奨学生くらい勝ち取れると思う。篠宮さんさえ奨学生になるだけ勉強してくれれば堂々と入れるよ」

――分かった。伝えておく。

 ぷつりと電話が切れた。旧委員長……あの人、本当鬼畜なんですけれど、僕ですら会うのが怖いんだけど少しは君のために何かしてあげられるかな。

 僕がいなくても進むこのお話に絶望なんてしてないよ、僕がいることによって誰かの救いになればいいなんて、そんな物語の主人公みたいな自惚屋なだけなんだ。ナルシストなんだよ、僕。

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