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たまおの不幸な卒業文集  作者: 花南
16/34

10/10

「三芳……あんたどれだけ強運なの?」

「なんで?」

「どう考えたって一週間連続でジュースが当たるって確率論的におかしいでしょう!」

 毎日野菜ジュースを持ってくればさすがにこの嘘もしらじらしいかもしれないね。

「今日は間違えてボタン2回押しちゃったんだよ。1000円札入れてたから野菜ジュース出てきちゃったんだ。僕は野菜ジュース飲めないんだよ、だから飲んでよ」

「野菜ジュース飲めない奴が充実野菜のボタンを2連続で押すな!」

 篠宮さん本当に憎らしい人だね、君は黙って野菜とってりゃそれでいいんだよ。山田があははと笑った。

「三芳は本当によく篠宮に会いにくるよな。ジュースが当たるからか?」

「他に理由があると思うの?」

「篠宮本当に三芳がジュースが当たったから分けにきているんだと思っているとしたら相当鈍感すぎるよ。さすが国語音痴!」

「うるせぇよ、うるせぇよ。恐怖の特別監査委員長が私にジュースを貢ぎ続ける様を隣で笑って見ているがいいよ馬鹿生徒会長」

 篠宮さんと山田は本当に仲いいけれども君たち付き合ったらどうなの? そうすれば山田が篠宮さんを守ってくれるよね、僕は存在しなくても大丈夫でしょう。

 君たちのいない高校でいつもどおりトップレベルの成績と独裁者という立場を維持できるってものだよ。君たち見ていると、本当におめでたいというか……なんで、つらくないの? 篠宮さんはつらくないのかな? 貧乏なのになんでそんなに元気なんだよ、貧乏ってみじめとか感じないの? 賞味期限の切れたものを食べなくてもすむ生活がしたいとか君は思わないのか。

 君がお腹をすかせているっていうだけで僕は不幸なのに、どうして君はそんなに楽しそうに中学生活を送っているんだ。本当に不幸なのは貧困に耐えうる神経のない僕のほうなのか?恵まれているはずなのに貪欲に幸せを求め続ける僕が心の貧しい人間で君が崇高な精神を持った清貧に生きているとでも言うつもりなのか。

 昔童話物語という児童文学を読んだときにそこの主人公ペチカという少女が人が踏みつけたパンの泥を払って食べているシーンを読んでも何も感じなかったのに、あのときルージャンが受けたショックに近いものを今僕が感じているのは僕の神経がおめでたいからなの?

「三芳、顔色悪いぞ?」

 山田が心配そうに僕に話しかけてきた。

「別に……ちょっとくらくらしただけ」

「貧血じゃないの? 充実野菜飲めよ」

「それ……篠宮さんにあげるために買ったものだから、いらない」

 僕がうっかり呟いてしまった答えに篠宮さんが面喰らったような顔をした。山田と目を合わせる。

「みよしー! みよしー! お前篠宮大好きなのな!」

「いやーしらんかったなあ! お前ほどの美形が私のような奴にほどこしをくれるのはなんか理由があると思ってたら私が大好きだったのかってそんなことあるわけねぇだろ山田!」

 ぼかっと篠宮さんが山田を殴った。

「三芳は親切なんだぞ。からかわないように」

「はいはい。俺もお前にいいもん持ってきたぜ」

 山田が篠宮さんにコールスローのサラダを出した。

「キャベツの千切りは腸きれいにするみたいだからな。ダイエットは痩せるのも必要だけど内側からきれいになるべきだろ?」

「おう、受け取るよ。ありがとう」

 篠宮さんは山田には普通にお礼が言えるくせに僕には何も言わない。別にお礼を言ってほしいわけじゃあない、なんで頼ってくれないの? この中学校で一番権力を持っているのはそこの生徒会長じゃあなくて僕のはずなのに。

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