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俺は彼女たちから逃げられない。  作者: 石田未来
第二章茜の平和な日常とは?
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第二章Ⅰ生徒一の権力者

今回は新キャラが登場します。

お見逃し無く!!

「なんか今日はだるいな〜。そうは思わないか!?茜!!?」


「知るか、アホ。まだ今から1時間目だぞ?」


 茜は大輔とまだ1時間目の始まる五分前、そんな話をしていた。しかし、大輔がだるいと言うのも仕方がない気もする。

 今日は金曜日。今日という日を終われば、明日からは休みである。しかもこの学校は基本的に土曜日は土曜ゼミというものが存在しないため、実質二連休になるのだ。

  まぁ例外として特別進学科や普通科の希望者は土曜ゼミはあるらしいが……。


「はやく明日にならねぇかなぁ〜〜。」


 大輔にとっては待ち遠しかった。それは、大輔は明日彼女とデートをするらしいのだ。

 部活をすっぽかして………。



「別に休日でも平日でもあんまり変わらないと思うがな…」


 茜は大輔に対して、吐き捨てるような感じで答えた。少しうんざりもしているようであった。

 まぁこれにはちゃんとした理由があるのだ。そこで茜の2日間を見てみよう。

 まず、土曜日は部活が午前中あり、午後からは柚月とデート。

 日曜日は姉との買い物や家の手伝いをするor柚月と1日デート。こんなもの外野からしてみればただのリア充の優雅な生活にしか見えない。



 だが茜の場合、これが毎週続くのだ。休みの日であるのにこれでは本末転倒である。



「いいじゃねぇか。お前はいつでも彼女に会えるし。

 俺は学校が違うから、お互いの都合が合わないといけないんだぞ?」



「まぁ……そうなんだけどな。」



 大輔の言う通りいつでも会えるからいいかもしれないが、それはそれで大変である。

 現に、今がそういう状況になってしまったのだ。主に昨日のあの出来事(・・・・)のせいで。

 これからどうなっていくのか茜には全く分からなかった。



 ガラガラガラ………


「じゃあ授業始めるわよ〜。」


 うちの担任、森本玲もりもとれい先生が教室に入ってきた。

 金曜日の1時間目は日本史の授業である。



 こうして今日も1日学校生活というものが始まっていった。





 キンーーコンーーカンーーコンーー……


 ようやく4時間目までの授業が終わり昼休みとなった。柚月との昼ごはんを食べる約束を朝していたため、柚月の席へと行くことにした。



「加賀美くん〜!お昼一緒に食べましょう?」


 突然3組の教室に誰かが入ってきた。

 自分の名前を呼ばれた茜は振り向くとそこには里緒がいた。手には昨日と同じような、いや、それより少し大きい重箱のような弁当箱を持っていた。



「松枝さん……どうしてここに……?」



「どうしてって、昨日も言ったでしょ?………加賀美くんを彼女から奪うって………」




 途中から茜の耳元で話し掛けてきて、少し息が耳にかかった。茜はそれに少しくすぐったさを感じてしまった。

 しかし、その余韻も長くは浸れなかった。それは、いつの間にか茜の横に柚月がいたからである。


「あら〜?松枝さん。どうしたの?茜に用なら私が代わりに聞くけど……」ニヤ



「私は貴女に用はありません。加賀美くんと一緒にお昼を食べようと思っただけです。」



 柚月の発言に対してにこやかに、それでもって冷静に返してきた。

(あぁ、この人たち殺る気だわ……)

 茜は二人を見てそう思っていた。


「そもそも、私が茜とご飯食べる約束してたの。貴女の出る幕はないでしょ?」



「私の方が、先に加賀美くんと食べる約束をしていましたよ?」



 里緒が全く根も葉もない嘘を言ってきた。それにつられたのか、柚月は「本当なのか?」と言いたげな目で茜を睨んできた。



「ちょっとまって!俺は柚月と約束していたけど……。」



「え……昨日約束したのに……ドタキャンですか?……。」



 その言葉を聞いた周りは一斉に茜の方を見てきた。女子は信じられないような目で見てきて、男子に至っては、恐ろしいほど殺意のこもった目で見てきた。

 大輔も男子に紛れて睨んでいた。お前彼女いるだろ!?っと茜は思っていたが、そういう状況ではなかった。



 結局、お昼は3人で食べることになってしまった。当然、柚月は不機嫌になっており、里緒は茜に弁当を食べさせてきた。

 茜は楽しい昼食の時間になるはずだったのにこの時だけは、地獄の時間でしかなかった………




 放課後、茜はHRであった学校施設要望及び生徒会要望のアンケート

 を回収し、生徒会へ運ぶ係を森本先生から任された。

 柚月には今日は先に帰ってもらうように頼み、それを柚月は渋々承諾した。



 トントン………


「失礼しまーす。アンケートの回収と提出をしに来ました。」


「どうぞ。」



 ドアの向こうから入室の許可をもらい入ることにした。



「アンケートです。」


「あら、ありがとう。」ニッコリ


 真正面の生徒会長と名札のある席に座っている人に紙を渡した。

 ブロンズ色の髪のハーフアップに碧眼で泣きボクロのある女性、胸も立派である。

 この人は、高楼館学園生徒会長 高宮優梨華たかみやゆりか

 高楼館学園ヒエラルキーで理事長に次ぐ権力者である。簡単に言うと、教員よりも立場が上なのである。

そして何より、会長は理事長の孫娘である。


「お久しぶりですね。会長。」


「本当ですわね。この前のあの時以来かしら?」



「あーあ、そうですね。」

 茜と話している時でも花蓮な姿はそのままでおり、女神のようであった。いや、もうほとんど女神も同然である。



「ほかの役員の人たちはどうしたんですか?」



「今はみんな出払っております。つまり、ここにいるのは私と茜くんだけですわ。」



 そう言う言われ方をすると緊張してしまうし、胸がドキドキしてしまう。

 目の前には学校一の美女と呼ばれるほどの方であり、もう女神としか言えなかった。



「茜くん。あの話(・・・)考えてくれましたか?」



 ドキドキしている茜に唐突に聞いてきた。すぐにはっ!となった茜は質問を考えて答えた。


「この前も言いましたが、私には務まりませんよ。」



「私は、貴方の能力を高く買っていますのよ?」



 会長は茜に以前、生徒会役員にならないのか持ちかけたことがある。

 しかし茜はその話を断った。理由は色々とある。部活との両立や自分にはそんな能力は持っていないと思っていること。

 そして何より、柚月がいることだ。



「例え会長にお願いされてもそこは譲れません。申し訳ないです…」



 茜は前にいる会長に謝った。そうすると、会長は少し残念な顔で茜を見た。

 すると今まで椅子に座っていたのに、急に立ち上がり茜に詰め寄ってきた。


「私はね、茜くん。貴方が欲しいのよ?」



 そう言うと茜にもたれかかってきて上目遣いでそう言った。

 これには、男である茜は胸が高鳴ってきており動悸が止まらなくなった。

 だが、理性の方が僅かに打ち勝ちそろりと後退した。



「すいません会長…。でも私には向いてないと思います。

 せっかくのお誘いですが、断ります。」



 茜は丁重に断るとそそくさと生徒会室を後にしていった。生徒会室には、優梨華だけがポツリと残っていた。



「また失敗でしたわ……。でも必ず、茜くんは私のものにしますわ。

 例えどんな手を使ってでも………」


「私は我侭ですのよ?欲しいものは必ず手に入れる……。」


 さっきまで茜と話していた女神のような会長の姿とは違い、何か黒いものが背後にあった。





 その後、家に帰ってきた茜は翠から新しい女の匂いがすると追求されて大変な目に会うのであった。


 ちなみに柚月は家に帰っても不機嫌であったので物に少し当たり散らしていたらタンスに小指をぶつけて悶絶していたそうだ……。





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