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俺は彼女たちから逃げられない。  作者: 石田未来
第一章 すべての引き金
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第一章Ⅵ 物語の引き金

「あなたたち……何やってるの!!」


 翠にドアを開けられ、今現在まで行われていた行為・・をバッチリと見られてしまった。

 柚月はあまり気にしてはいないようだが、茜は顔が見事に青ざめていた。



「説明しなさい!!茜!!」


「は、はい!お姉さま!!」



 あまりにも大きな声で怒鳴られてしまったため、ついお姉さまと言ってしまった。だが、今はそんなことどうでもいい。

 この状況をどれだけ丁寧に健全に自己紹介しようとも姉の翠は納得してはくれないだろう。

 茜が何もいうことができずただ黙っていると、柚月が翠に対して発言してきた。



「こんにちは。お姉さん、お久しぶりでーす。」ニコ



 翠の方を見て笑顔で挨拶をした。だがそれは、笑顔というよりも作り笑いであり、目が全く笑っていなかった。



「あら?柚月ちゃん。どうして茜とここに(・・・)いるのかな?」ニコ



 今度は翠が柚月に対してニッコリと笑って話してかけてきた。こちらも柚月と同様全く目が笑っておらず、冷ややかな目をしていた。



「どうしてって、当然じゃないですか?私と茜は付き合っていますから。」ニコ



 作り笑いは崩さずに、翠の質問に答えた。このやりとりをしている翠と茜を見ていて恐怖を感じていた茜。

 彼は2人の間を割って入るほどの勇気を持つ人間ではなかった。

 もしそんなことをすれば、自分は2人から殺されるかもしれないと感じていた。それくらい今の状況は酷いものである。



「いつ、私が、あなたに、茜と、付き合っていいなんて、言ったかしら??」ニコ



 柚月と同様に笑顔を崩さない翠。こちらは、顔に怒りマークのようなものが浮かび上がっていた。

 おそらく、心の中ではかなりイライラしているだろう。



「お姉さんに許可とる必要はないじゃないですか?これは私と茜が決めたことなんですよ?」



「言ってくれるじゃない…。私は茜の保護者であり姉よ?

 弟をあんたのような女とくっつけるわけにはいかないわ。

 茜の教育に良くないから。」



(まずい…。どんどんヒートアップしてきてる…このままじゃ収拾つかなくなる!)

 茜は流石にこれ以上2人で話をさせると本当に喧嘩になりかねない。

 何とかして2人を止めようと思ったが、既にどうすることもできない状態であった。



「ちょっと…それどういう意味ですか!?いくら茜のお姉さんでも言っていいこと悪いことがありますよ!」



 とうとう、柚月は怒ってしまった。こうなっては話し合いも何もできない。

 とにかくなだめようと茜は試みた。


「柚月。落ち着いて!」


「何が、落ち着いてよ!大体お姉さんこそ、いい加減弟離れしたらどうですか!?」



 怒った柚月は、翠に対して核心にせまるようなことを翠に対して言った。

 だが、翠は慌てることもなく冷静に答えた。



「いやよ。私の可愛い弟なんだから。誰にもあげないわよ?」



 翠はなかなかの爆弾発言を言ったきた。これには少し柚月も驚いており、茜は俯いて顔が真っ赤になった。



「このブラコン!女!!」

「なんとでも言いなさい。この見た目尻軽女!」



 おいおいおい!!なんで火に油を注ぐようなことを言うの!

 茜は恐る恐る、柚月を見ると普段の彼女の怒った顔が可愛く見えるほど、の怒りに満ちた顔をしていた。



「誰が尻軽よ!私が今まで好きになった男は茜だけよ!!」



 柚月は家中響き渡るほどの声でそういった。

 結局この後、茜がなんとか死ぬ気で2人をなだめたことでこの場はおさまることができた。

 その頃にはもう外は暗くなっており、女性が一人で歩くには危ない時間である。

 そこで茜は柚月を家まで送っていくことにした。とは行ってもそんなに遠くなく徒歩5分圏内の場所にあるのだが…



「柚月。あんまり気にするなよ?」


「なんのこと?」


「さっきの姉さんの発言だよ。」



 ついさっき翠から尻軽女なんて言われて怒っていた柚月。もしそのことを気にしているのだったら、なぐさめないたほうがいいと思い尋ねた。


「そこまで気にしてないわよ。それにしても翠さんは本当ブラコンよね……」



「あはは……確かに俺も驚いたよ。まさか姉さんからあんな言葉を聞くなんて。」




 翠の言っていた自分の可愛い弟を誰にもあげない。という言葉、茜はそこまで気にしていなかったが、柚月はその言葉の意味がなんとなく理解していた。



「松枝里緒といい……翠さんといい……茜は私のものなのに……」




 ボソボソっとそう呟いた。

 自分が茜の彼女であるのに、その座を奪おうとしている彼女達。

 多分このままにしてもその状態は変わらないかもしれない。

 つまり、彼女達に茜の彼女が自分であると分からせる必要がある。

 柚月は真剣な顔をして考えていた。そして一つあることを考えた。



「柚月。俺が好きなのは柚月だから…安心して?」



 突然茜が柚月に対してそう言ってきた。不意をつかれた柚月はその言葉に顔を真っ赤にしてしまった。




「も、もぅ!いきなり言わないでよ!恥ずかしいから…」




 よく言うよ…さっきまでベッドであんなことをしていたくせに、茜はそう思ったが口には出さなかった。

 また柚月が怒ってしまうのではないか、と感じたからである。



「ごめん…ごめん。」



 柚月に謝った。

 そんな会話をしていると、あっという間に柚月の家についてしまった。


「送ってくれてありがとう。」


「当然だろ?」


 今日も内容が非常に濃い1日だったが、なんとか無事に終わることができた。

 別れの挨拶を交わし帰ろとした時に、柚月に呼び止められた。



「まってあかね!」



「ん?どうしたんだ柚月なんかあった………」



 途中まで言いかけていた時に、柚月の顔が目の前にきて茜の唇に軽くキスをした。


 ちゅ……



「私も大好きだよ!!茜」ニコ


 茜に満面の笑みでそう言って家の中へと入っていった。




「………」




 突然柚月にされたキスに驚き、自分の唇を指で触れた。それと同時に茜の顔も自分の名前の通り茜色に染まっていた。



 ぼーっとして帰っていたのか、帰り道電柱に頭をぶつけ大きなたんこぶを作ってしまった。





 加賀美茜。彼は普通の人とは違った青春を、これから味わって行くのだろう。それは甘くも決して逃げることのできない青春を………




第一章終わりました!

これから茜は彼女達から決して逃げることの出来ない生活が始まります。

もちろん、これからまた新しい登場人物もでてくるので次話もお願いします!

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