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俺は彼女たちから逃げられない。  作者: 石田未来
第五章 ビフォーサマーバケーション
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第五章 Ⅴ波乱万丈のお泊まりpart2

遅くなり申し訳ございません。

ようやく、更新できました。

今回は少しだけ重くなるかも知れません。

そこの所はご了承ください。

そろそろ変化も訪れるかもしれませんね…。

 それは突然だった。お風呂のお湯に浸かりリラックスしているさなか、ドアの方から物音がしていた。

 そしてうっすらと見える人影。今この家には茜と里緒しかいないはずである。

 しかし、茜からしてみれば、脱衣場に彼女がいるなどありえないのだ。


「え?だ、誰かいるの…?」


 思わず人影に尋ねる。しかし、何も反応はなかった。

 ますます怖くなってきた。一体何をやっているのか。分からないという恐怖。それを感じていたのだ。

 しかし、人影はスっと消えていき何事もないように気配はさった。


「な、何だったんだろう…。まぁ、後で里緒聞けばいいか?」


 若干納得のできない部分はあったものの、それは後にするとして、今はお風呂を堪能した。

 気分が良くなってきたのか、鼻歌でも歌って楽しそうだった。

 だがそんな安心はすぐに崩れ去った



 ガラガラガラ……


「茜。背中流してあげる。」


 そう言って入ってきたのはたった1枚の薄いタオルのみで己の身体を隠す里緒の姿だった。

 一言で言うなら妖艶な女神と言うべきか。タオルが薄いため、彼女のきめ細やかでシルクのように美しい肌は薄らと見えていた。

 そして極めつけは彼女のこぼれそうになっている胸だろう。

 普段から姉の翠の巨乳を見ているから、多少は慣れているものの、同い年の異性の肌を見るのはまだ慣れていない。

 そしてこれは2度目である。


「ちょっと!!里緒!?なんで入ってるの!?」


「大丈夫よ?隠してはいるから。」


「いや、見えそうだから!?ダメだって!!」


 平然としている里緒である。対して顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにする茜である。普通は彼女の方が恥ずかしいはずであるのに、そんな素振りも見せない。


「見られて恥ずかしいものなんてないよ?」


「いや、そうじゃなくて…俺が困るんだよ!?」


 なるべく里緒を見ないように手で隠しながら喋っていた。思春期の男子の目には毒であった。いや、毒ではなくご褒美に近いと思うが、友達である手前、そんなにまじまじと見るわけにはいかないのだ。


「もう、ちゃんとこっちみて話してよ。」


 全くこちらを見ようとしない茜に里緒は近づいていった。

 湯船につかっている茜は里緒の背後にドアがあるため、逃げることなどできなかった。


「ま、待って!俺たちって()()だよね?だからこんなことはいけないって。」


「ねぇ、もう柚月さんと分かれて私のものになって?」


 これでもかと茜に近づき息があたりそうなほど顔を近づけてそう言った。彼女の目は本気であった。

 決して嘘偽りのないもの。これは前々から言ってたことである。

 しかし、茜は柚月という彼女がいる。無論裏切るなどできない。


「里緒。それはできないよ。俺には柚月がいるから。」


「そんな分かってるよ。わかってる上で私は言っているの。」


 里緒も湯船に浸かっており、茜に身を委ねているような形になっていた。

 彼女の肌があたっている。あの綺麗な上質のシルクのような肌が。そしてあの胸が。

 茜自身も反応せずにはいられなかった。


「俺になんでこだわるの?」


「やっぱり忘れているのね…。だったら…。」


 そう言うと、さらに顔を近づけて、茜の唇に彼女の赤くハリのある唇が覆いかぶさった。


「ん…。ちゅっ…はぁ…はむ……ぺろっ…。」


「ん!?り、お…はむ…ちゅっ…じゅる…!!」


 彼女は茜の唇を貪るようにしてキスをしていた。彼女を離そうとするが、力強く抱きしめられ、逃れられなかった。

 淫乱な音がお風呂場に響き渡った。まるで何かを必死に求めている里緒は頭の中が茜でいっぱいであった。

 常に茜のことを考え、過ごしてきた彼女にとって今の時間は至福の時であった。

 たまらなかった。このままずっとしていたかった。

 しかし、それは不可能であった。


「里緒、ダメ…!!」


 何とか引き剥がした茜は里緒の顔をみた。唇からは唾液がいやらしくこぼれており、目は焦点のあってないようなそして、光が消えたような感じであった。


「茜…。もっと…もっと私に茜を感じさせて!!」


「里緒、正気に戻ってくれ!!一体どうしたんだ!?」


 ネジが外れたかのように暴走する彼女を我に返そうとしていた。

 何が彼女をそこまでさせるのか。茜にはよく分からないが、これは普通ではない。

 すると正気に戻ったのか動きをやめて俯いていた。

 そして少し静かになると、口を開いた。


「茜、()()したよね…。いつか必ず迎えに来るって…そして私を必ず幸せにするって。約束したよね!!?」


 顔をあげた彼女の目からは一筋の涙流れていた。そしてその涙はこぼれ落ち、湯船へと落ちていった。

 彼女を涙を見てかなり動揺していた。どうして泣き出したのかも分からない。

 それに約束?とはいつまたいなんのことなのか彼女には申し訳ないが、茜にはさっぱり分からなかった。

 だがこれは彼女の妄想によるものというようには見えなかった。



「ごめん、その約束っていつしたの…?」


 恐る恐る聞いた。


()()()()()の時、私たちがいつも遊んでいたあの時よ。」


 茜はその時のことを思い出そうとする。しかし、その時を思い出そうとすると、頭に激痛が走った。

 まるで、記憶を引き出すのを身体が全力で阻止するかのようであった。


「うぐっっ!!!!あぁぁ!!」


 思い出そうとすればするほど、痛みは強くなる。より強固になり、引き出させなかった。


「お願い…私をこれ以上苦しめないで…。もう耐えられないの…。ずっとあの女と茜がいる所を見ていられないの!!」


 彼女にとって切実な願いであった。彼女は小学二年生の時からずっと茜のことを想って生きてきたのだ。

 そしてようやく会えたのに、自分とは違う女といた。

 これ程絶望的なことはなかっただろう。

 だが彼女は茜をせめなかった。彼女にとって茜は約束を破るような男ではないと思っているからである。

 だからこそ、柚月のことを茜を誑かした女豹だと思っていたのだ。


「里緒…。」


「思い出して…お願い…。このままじゃ私おかしくなるかも…。いや、もう既におかしくなってる…。」


 茜のことをなんでもしろうと様々なことをやってきている。それは色々、だがそれらは茜を思うからこその行動である。

 もちろん褒められた行動はしていない。いずれも「変態」と言われて仕方の無いものであるから…。


「里緒…ごめん…。俺はその時の記憶がないんだ…。いや、本当はあるはずなんだ…。でも身体が拒むんだ…。」


 茜だって好きで忘れている訳では無い。彼のこのような記憶の欠落はあの忌まわしき出来事によるものである。


「どうして?」


 納得のいかない表情を里緒はして尋ねた。

 茜は本来は言いたくもないことであったが、言わなければ彼女の気がすまないと思い、重く口を開いた。


「俺は1度事故で死にかけて…その時に昔の映像記憶がすっぽりと欠落してしまったんだ…。」


 里緒はその言葉に衝撃を受けた。そのようなこといまはじめてきいたからだ。


「大中海道大橋飲酒ひき逃げ事件って知ってる?」


 茜はひとつの事件名を話した。

 これは遡ること数年前に起きた事件である。大中海道大橋を走っている走行車を後から、大型ワゴンが追突し、その後走行車は大きく道をそれ、橋から転落した。

 その車に乗っていた家族3人のうち、父親と母親は溺死していた。そして二人の子供である男は何とか助かったのである。


「知ってるよ…テレビでやってたの見たから…。それじゃあ…もしかして…?」


「俺はその事件で生き残った子供なんだ。」


 衝撃が強くて里緒は言葉にならなかった。そんなこと知ることもなかった。

 そして里緒の知る、茜の父と母の死因もよく分からないままであったが、これで分かった。


「あの時、本当だったら二人は助かっていた。でも俺を助けようとして、二人は逃げ遅れたんだ…。」


 哀しそうな表情をしてそして俯いていた。彼は先程の彼女と同様涙が目から浮かび上がっていた。


「俺があの時…自分の力で抜け出せていたら…。父さんと母さんは……ううっ…あぁっ…。」


 嗚咽が出ていた。自分を助けたばかりに大切な両親二人を亡くしてしまったのだ。

 二人が意識不明のまま病院へ運ばれ、最期に意識を吹き返した時に言われた言葉はこのようであった。


「悔いのないように強く生きて。」


「父さんと母さんはいつでもお前を見守っているよ。」


 父と母から言われた最期の言葉であった。

 そして息を引きとった。二人の顔はどちらとも安らかな顔であった。それは覚えていた。

 涙が止まらなかった。色々な思いが混同して、わけがわかなくなっていた。

 大切なものを一度になくす時人は空っぽになる。今まで心中に存在していた何かが抜け落ち、考えられなくなった。

 通夜や葬式が終わり、家に帰った時に茜は思っていた。

 一度に失ったものは帰ってこないと。そのショックのせいか、哀しみを恐れたのか知らないが、二人とともに過ごした記憶がポロッとなくなってしまったのだった。


「俺は最低なヤツなんだ…。自分の親を殺したようなもんだ…。約束を破るようなやつなんだ…。」


 涙が止まらなかった。考えないようにしてきた父と母の顔を浮かべると胸が締め付けられた。

 いつもとは違う弱々しい茜を見て、思わず里緒は抱きしめた。

 これでは約束を破ったことを責められるわけがない。

 もちろん、約束自体が忘れられたことは気にしていない訳では無いが、仕方ない。

 彼にとっては辛いのである。


「茜…。あなたのことよく知らないで…ごめんなさい…。」


 茜は彼女の胸に顔を埋めた。流石に格好が恰好なだけに、なんとも言えないが、そんなこと気にせず、里緒の胸の中で泣いていた。

 今だけは…。どうか責めないであげてほしい。


「うっっ。うあぁぁ!!!!あぁぁぁぁ!!!!」


 ここまで激しく泣く茜を見ることは滅多にないだろう。そんな彼を優しい母のような眼差しで見て、その頭を撫でていた。


 ――――――――――――――――――――――――


「さぁ、一緒に寝ましょう!」


「いや、俺のベット使っていいから。俺は床でねるよ?」


 あのあと風呂からあがり、何とか元の茜に戻った後に茜は恥ずかしそうにしていた。

 それはあの里緒の顔に自分の顔を埋めていたからである。恥ずかしいなんてものではない。もはや死んでしまいたいくらいであった。

 それに彼女の寝間着というのは、黒のネグリジェであった。なんともエロい。

 それにおろした髪はまだほんの少しだけ湿っており、それが彼女柔肌について色っぽさも出ていた。


「ダメだよー。ちゃんとベッドで寝よう?」


 そう言うと、毛布を広げておいでと手招きをした。


「いやいや、流石に。」


「私の胸に顔を埋めたのに?」


「そ、それは言わないでくれぇ!!」


 痛いところをつかれた。つい先程作ってしまった黒歴史をはやくもえぐり返していた。


「だったら、さっきのこと何も言わないから、一緒に寝ましょう?」


 彼女は何か考えてそうな目をしていた。なにかしてくるに違いない。だが正直、彼女は床に寝ようともやってくると思われるため、諦めて寝ることにした。

 ちなみに、空き部屋は掃除をしていなかったせいで、とても寝れるものではなかったので、茜の部屋でともに寝ることにしたのだ。


「茜やっぱりあったかいね。」


「あ、あの…恥ずかしいのであんまり近づくのは…。」


 冷房は一応つけてるとはいえ、くっつきあったら暑くなる。それを考慮してなるべく離れることを提案したのだが、そんな気は彼女には全くなかった。

 むしろ積極的に茜に抱きついている。

 もう麻痺していた。あんだけ抱きつかれていれば、イヤでも慣れてくるのである。

 そして電気を消して、寝る準備は整った。


「別に茜がしたいならしてもいいんだよ?」


「え?」


 電気を消して薄暗くなった途端そんなことを里緒は突然言い出した。

 してもいいとは、つまりその男と女が交わる行為。つまり交尾。ということなのか?

 しかし、そんなこと絶対にできない。そんなことをしたら何か大切なものを失いそうで怖かった。


「ふふ。冗談よ。」


「からかわないでくれよ…。もう…。」


「ホントは冗談じゃないけどね…。」


 ぼそっと呟いた里緒は結局茜から離れることはなく、眠りにつくことにした。

 もう離れないということ悟った茜は諦めて自分自身も眠りにつくことにした。

 今日1日様々なことがあった。墓参りをして、里緒がうちに来て、そして里緒と一緒に風呂に入り、また告白を受け、キスをした。

 そして茜の記憶欠落の原因を話して、彼女の豊満な胸に顔を埋めて…。

 後半に関してはエロゲのようであった。

 しかし、茜は同時にあることを考えていた。欠落した記憶を戻すことを。

 里緒との約束が何かを知るためにもいずれは取り戻さなければならない。

 色んなことを考えているうちに、意識は段々と遠くなりやがて途切れた。

 二人は里緒が一方的に茜に抱きつくような形で寝ていた。でも決して悪い構図ではなかった。



 そんな中で茜が部屋のちゃぶ台に置いていたスマホの画面が光っていた。恐らくなにかの通知である。

 そこには「柚月」と書かれていた。

 内容は、いくつもあったが、あげるならば、「今何をしているの?」だとか「返信遅くない?」や

 色々あって150件は来ていた。

 だが茜はぐっすり寝ており起きる気配すらなかった。

 すると、茜のスマホを手に取り不敵な笑みを浮かべている里緒の姿があった。





 しかし先程茜に抱きついて寝ていたはずの彼女だったが…。恐らく狸寝入りでもしていたのだろう。


 カチカチ…

 スマホのパスワードを容易く解除して開いた。

 そして、LIN〇のところを開くと、柚月のチャート見ていた。

 異常とも言える量を送っている柚月を見て嘲笑った。


「ふふふ。いつまで彼女面でいられるかしら?」













「皆守柚月。」


 この時の里緒の笑顔はまるで悪魔が乗り移ったかのように不気味で、異様なものであった。








どうでしたか?すこし内容が重かったでしょうが、茜にとってはこの出来事は忘れられないものなのです。


そして里緒ですね。彼女の奥底には何があるのか…。

そろそろ始まりますかね…。ふふ。

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