第三章 Ⅲ 彼女とデートのGW 3日目前編
今回はGW3日目
柚月と茜のデートの日です。
テーマパークにいく茜と柚月どんなデートになるでしょうか?
※今回は長くなったため前編と後編に分かれます。
ではどうぞ!
GW3日目……この日は茜は柚月とデートをすることになっていた。
茜は現在、駅前の噴水のところへ来ていた。黒の半袖シャツにグレーのロングカーディガン、スキニージーンズ、ブラウン色のブーツというファッションをしていた。
茜とて罰ゲームでデートをすることになったと言えども柚月とのデートは嬉しかったのだ。だからこそ、服も気合いを入れて選んできたのだ。
「柚月遅いな〜。服でも選んでるのかな?」
時計の針を見たら約束の時間を少しすぎていた。しかし、茜は特に怒るような様子は見せず、服を選んでいるから時間がかかっていると推測をしていた。
しばらく待っていると、突然視界が暗闇に支配された。
「だーれだ?」
突然な出来事に驚いたが、目から僅かに温もりが感じた。おそらく、これは手で視界を塞がれてるのだと茜は理解した。
そして、この聞き覚えのある可愛い声、間違いなくあの人であると思った。
「柚月でしょ?びっくりさせないでよ〜?」
自分の目を塞いでいる手を自分の手で優しく外し後ろを振り返ると、そこには彼女の柚月が悪戯な笑みを浮かべていた。
柚月も今日は気合を入れてきているなとわかった。デニムのシャツに白のふんわりとしたレーススカートを履いておりハイヒールのサンダルというファッションであった。
胸の大きさはシャツの上からでもすぐにわかりシャツのボタンは2つあきという、セクシーさがあった。その綺麗な姿に茜はただただ見とれていた。
「どうかな?茜?変じゃ…ない?」
柚月は少し不安げに茜を見つめてきた。だが変はところは一つも見当たらず、むしろご馳走様でした。と言いたいところであった。
茜はにっこりと微笑んで柚月を見つめ返した。
「似合っているよ。柚月。」
素直に褒めてもらえて嬉しい柚月は頬が紅く染まり髪を触って照れていた。だがそんな姿もまた可愛く、茜の熱情を高ぶらせた。こんな可愛い彼女が自分の彼女で本当によかったと思えた。
「じゃあ行こうか?」
「うん!そうだね!」
そう言うと二人は駅の方へと二人仲良く恋人繋ぎをして、楽しそうに足を運んでいった。
駅につくと、ネザーモール行きの切符を2枚買って駅のホームまでいった。今回のデートへ行く場所というのは、以前来たことのあるネザーモールである。ネザーモールはあの夢の国と引けを取らないほど人気のある超大型複合施設である。テーマパークもショッピングモールも映画館もスタジアムもなんでもある。
今回はその中で、テーマパークをデートスポットにした。規模も大きく様々なジェットコースターがあるのがネザーモールのテーマパークである。
二人は切符を買ったあと、ホームのベンチにより寄って座っていた。
「ねぇねえ茜。」
「ん?何?」
柚月の方を振り向くとフワッと女の子特有のいい香りがした。そして振り返った瞬間そこには柚月の顔があり、唇を軽く奪われた。
いきなりのことで驚いた茜は目が点になっていた。
「ちょ!?柚月!?」
「えへへ。我慢できなくてついやっちゃった!」
柚月は茜の驚いた顔を見て楽しそうに笑っていた。柚月はたまにこのように思いがけないことをするので、茜はよくハラハラさせられている。
さっきのように突然キスをしたり、首を噛んだりといろいろやってくるのだ。
「もぅ〜、びっくりするだろ?まったく柚月は〜。」
茜は仕返しに柚月の頭をワッシャワッシャと撫でた。傍から見たらただのバカップルのイチャつきにしか見えない。そして、GWのこの時期なので尚のこと目立っていた。2人を見て「いいな〜あんなカップルになりたい!」という人間もいれば「リア充爆発しろ…。」という人間もいた。
そんなこんなでイチャついていたら電車がやってきた。
「じゃあ行こうか?」
「うん!そうだね!楽しみだな〜。」
二人はベンチを立ち上がり手を繋いで電車をドアへと向かっていた。
――――――――――――――――――――――――
「見て見て茜!このジェットコースターすごいよ!!」
現在、二人はネザーモールのテーマパークに来てデートの真っ最中である。茜は柚月に手を引っ張られてあっちこっち連れ回されていた。
しかし、茜は顔が既に生きているのが不思議なほど真っ青になっていた。まぁ簡単に言うと茜はジェットコースターが苦手なのだ。
ならどうしてテーマパークに来たのかという話になってしまうが、茜と対照的に柚月はジェットコースターが大好きなので、とにかくえげつない軌道を描くジェットコースターに乗りたがるのだ。
「ちょっちょっと待って!しぬ…しぬ!!!」
「大丈夫だって!そのうち慣れるから!!」
柚月は歩みを止めようとはしない。それどころか次々とジェットコースターに乗ろうとしていた。茜は何とかして止めようと立ち止まろうとするが柚月はそうはさせなかった。
二人のその姿は、散歩中に止まろうしている犬の無理やり引っ張る飼い主のようであった。
「や、やめて!!それだけは…それだけは!!!」
「ほーら駄々こねてないでいくよ!?」
茜が必死に抵抗しているその先には螺旋や一回転、直角90度まさにてんこ盛りのジェットコースターであった。それだけではない。距離がやたら長いのだ。こんなものに乗ってしまっては本当に死ぬかもしれない。茜の身体はこれだけは乗るなと警告していた。
だがそんな抵抗も虚しく、柚月に連れていかれたのだ…。
「やめて柚月さん!お願い!!お願いだから!!!!あぁぁぁーーー!!!!」
かわいそうな茜…。だが仕方ない、そんな彼女も受け止めるのが彼氏の役割だ。そして第三者から見れば微笑ましい限りであった。
えげつないジェットコースターに乗った後茜は真っ青になり動かない骸のようになってしまっていた。
仕方なく休憩も含めて昼食をとることにした。
「茜〜。なにたべる?」
「身体にいいもの……。」
「身体にいいものね……。ってテーマパークにそんなものあるわけないでしょ!?ここは薬膳料理の店じゃないのよ?しっかりしてよ〜。」
テーマパーク内にあったフードコートで何を食べるか決めていた。だが今の茜にとって食欲などあるはずもなく、今はとりあえず身体にいいものが食べたいという欲求に駆られていた。
もちろんテーマパークのフードコートはそこまで万能ではないので、軽いファストフードを食べることにした。
「ハンバーガーでいいよ…。俺…。」
「ちょっと〜。本当に大丈夫?そうだ!元気になるようにキスして…「今はきつい」 むぅ……。」
駅でしたように茜に再びキスをしようとしたが疲れきった茜はそのキスを拒否した。勿体無いと思えるが、そんなご褒美のようなものであってもやろうとはしないほど疲れていた。
「じゃあ茜。きついならここら辺にいてよ。とってくるから。」
「了解です…。」
茜を見て軽いため息をはいて昼食を取りにいった。茜はぐったりしており、なぜテーマパークにきたのかと言いたくなるほどの体たらくであった。
少しまつとハンバーガーセットを2つ持ってきた柚月がやってきた。
「ほら〜。茜。ご飯だよ〜。」
「あ〜、やっと気分が良くなってきた。ありがとう柚月。」
ようやく復活を果たした茜はハンバーガーを食べ始めた。
「ほーら茜口に食べカスついているわよ?」
「え?どこどこ?」
「動かないでね。もうこんなお弁当つけて〜。はむ…美味しい。」
「な!?柚月いきなりやめてくれよ。恥ずかしいだろ?」
ハンバーガーを食べていた茜の頬に食べかすがついているを見た柚月は顔にお弁当をつけた子供のお弁当を見つけて食べる母親のような感じがした。
そして柚月の笑顔とその行動に茜は少し恥ずかしくなった。でもこれもまた彼女とデートだからやれるようなことなので、恥ずかしさの反面、少し幸せだな〜。と思うことが出来た。
その後、ハンバーガーを食べ腹ごしらえを終えた茜と柚月は再びアトラクションへと足を運んでいった。
「あの…。柚月さん?もしかして私はまたこれに乗るのですかね?」
「うん!もちろん!だって面白かったんだもん!」
「………。」
2人が足を運んだアトラクションというのは、先ほど茜にとどめを刺したえげつないジェットコースターであった。それを見た瞬間茜の顔は再び真っ青になり冷や汗もたらたらでて具合が悪いのでないのかと思うくらいになっていた。
「ほーら!いくよ?さっきも乗ったしなれたでしょ?」
「いや、ジェットコースターに慣れるも何もないから!?無理だから!?」
またしても行きたくないと近くのものにしがみついていた。しかし、柚月の力は強くジェットコースターの方へと徐々に引きずられていった。
「頼む…。頼むから!!もうジェットコースターはいやだ!!!」
「大丈夫だって!すぐに楽になるから!!」
「いやいや、死ぬって!!お願いします!いやだ…いやだーー!!!」
再び聞く茜の絶叫。だがそんなものも虚しく、ジェットコースターという地獄のアトラクションへと誘われていた…。
――――――――――――――――――――――
「茜。ちょっとお花積んでくるからそこら辺で待ってて?」
えげつないジェットコースターに再び乗った後茜はベンチに座り伸びきっていた。そんな茜に柚月はトイレに行くと伝えてその場を消えた。
一人ベンチに座っていた茜はジェットコースターを乗った後に自販機で買った水を口をあけガブガブと飲んでいた。
そんな心身ともに疲れきっていた茜の前に3人の大人びた女性たちが突然話をかけてきた。
見た目からしていて大学生くらいだろうと思えた。
「ねぇねぇ?君大学生?それとも高校生?」
「高校生ですけど?」
「そうなの?よかったらお姉さんたちと遊ばない?」
茜はその3人に囲まれていた。視界が3人に遮られており柚月を待っている茜にとっては邪魔でしかなかった。
「あの…。俺、彼女を待ってるのでこれで。」
茜はそう言って3人の女性たちの元を去ろうとしたが、3人のうちの1人の女性に手を掴まれた。
「いいじゃない。お姉さんたちと遊んだ方が楽しいよ?あんなことやこんなことを教えてあ・げ・る!」
そう言って茜を自分たちの顔が見えるところへ振り向かせ胸を押し付け、上目遣いで茜を見ていた。柔らかい感触が身体から感じてしまい思わず顔が赤くなってしまった。
そんな茜を見た3人の女性たちはますますヒートアップしてしまい、まだお子様のいる昼の時間帯には見せられないような行動をとった。
「ふふ。凛々しいけど可愛い顔してるわね。お姉さんそういう子大好きよ?」
「ちょっと香奈子ずるーい!私もその子に触りたい!」
「へぇ〜。いい身体してるじゃない!?素敵な筋肉だわ!」
茜を無理やりベンチへと突き飛ばして1人が動けないように壁ドンならぬベンチドンをして顔を触り、もう1人は茜の鍛え上げられた身体を舐め回すように触っていた。もう1人も2人と同じような行動をしようとしており、茜は必死に抵抗をするががっちりとホールドされており、動けなくなっていた。
「ちょっ!ちょっと!やめてください!!離してください!!」
女性がナンパされて無理やりこのようなことをされるのはよくあるのだが、まさか男である茜がそのようなことを受けるとは…。
いくら茜が男で力があると言っても、女性3人相手では負けてしまう。
それでも必死にもがき脱出しようと試みるがそんなこと3人はさせなかった。
「結構抵抗するわね?でも逆にいじめて服従させたくなるわね。ふふふ。」
「あなた彼女さんとヤッたことある?ないよね?もしまだならお姉さんたちが相手してあげようか?」
「どうせセックスも知らないような青臭い奴が彼女でしょ?そんなつまんない彼女なんかより私たちの方が色々知ってるからいいわよ?
ブチ。3人組の女性たちの言葉を聞いた瞬間、茜は激情が体を巡った。青臭い?つまらない?そんな言葉を彼女である柚月に言ったことが耐えれなかった。
自分が侮辱されるのは構わないが、自分にとって大切な人。柚月のことをバカにされることだけは例え相手が女性であろうとも、年上であろうと許せなかった。
「俺は彼女が…。柚月のことが好きなんだよ!あんたらに何が分かる!?柚月のことが!?あいつは俺を支えてくれた。だから今の俺がいる。俺は例えあんたらが年上だろうが女だろうが許さない…。」
茜の怒りの言葉を唖然として聞いていた。そして茜の怒りのこもった瞳には彼女たちは思わず後ずさりしてしまった。
だがこれは彼女たちの意思ではない。本能が彼女達にそのような行動をさせたのだ。
ハッと気づいた3人はそんなこと言われたことにプライドのようなものがズタズタに傷つけられたのか、茜を睨みつけ無理やり連れて行こうと再び茜を囲み拘束しようとした。
茜は再びその拘束から逃れようとするが背中に尖ったものを押し付けられた。女性が持っていたものはくだものナイフであった。
「舐めやがって…このガキ…。これは痛い目にあってもらわないわからないようね?」
「そうね、これは無理矢理でも犯してわからせるしかなさそうね。」
「動いたり、叫んだら思わずさしちゃうかもしれないから気をつけてね?」
3人はそれぞれ違った言葉で脅しをかけてきた。それも下品なものから犯罪になるような言葉で。茜はその尖った感触を感じた瞬間、突然力が抜けるようにその場に経たりこんでしまった。
決して脅しに怖気づいてそうなったのではない。これは過去のトラウマが茜を普段ならありえないような行動をさせたのだ。
下に経たりこんだ茜はぶるぶると震えていた。そして何かに怯えていた。
「いやだ…。もうこないでくれ…。お願いだから…。」
普段の茜とは正反対の老婆のような弱弱しさが伝わって来た。3人はそんな茜の行動をはじめこそは驚いて顔を見合わせていたが、逆にチャンスと思い連れていこうとしていた。
しかしその時、3人のうち一人が誰かに肩を3回叩かれた。
トントントン……
「何よ!今いいところだから邪魔しないでよ!」
自分の肩を叩いたその手をパシン!と弾いた。しかし、次は肩をあとがつくほど思いっきり鷲掴みにしてきた。
「痛いわね!なんなのよあんた!!」
肩を掴まれた女性が後ろを向くとそこには般若のお面よりも怖い顔をした、茜の彼女の皆守柚月が立っていた。
「私の大切な彼氏に何をしているの?」
柚月さんが茜のピンチに来てくれましたね!
そして気になるのが茜の普段からはありえない行動を取ったのですがどうしてでしょうか?
次回そこについて少し触れていきたいと思います。
はやければ明日に更新出来ると思うので宜しくお願いします!




