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俺は彼女たちから逃げられない。  作者: 石田未来
第二章茜の平和な日常とは?
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第二章Ⅵ たまにはアソコでのんびりとpart1

 色々と内容の濃かった土曜日と日曜日は終わり迎えて、またいつもの学校生活へと戻った。

 しかし、月曜日というものは、人々を鬱にさせる。それは社会人や学生たちに絶望を抱かせ、新しい週の始まりを知らせる。

 茜も例外でなく、月曜日が死ぬほど嫌いであるのだ。まず朝が弱い茜は、日頃から起きるのに苦労をしているが、月曜日はさらにきつい。

 例え、目覚ましが部屋中にうるさく響き渡ろうとも起きることは無かった。


 ピーピーピー!


「まだ……いける……」



 重いまぶたを必死にこじ開け、目覚まし時計の針を確認した。

 現在の時刻は、6時00分 。まだ学校まで十二分に時間はある。少しくらい寝過ごしても大丈夫だろう。そう考えた茜は再び眠りについた。

 しかし、あの人物だけはそんな茜の願いなどお構い無しにやってきた。


 ピーンポーン!

 

家のインターホンが家中に鳴り響く。しかし、誰が居るのか分かってはいるが、茜は起きようとはしない。

 


ピーンポーン!ピーンポーン!ピーンポーン!

 


またしてもインターホンは何度も鳴り響く。それでも茜は粘り強くベッドからは出ようとはせずに、布団にくるまっていた。

 流石に、しびれをきらしたのか、その人物(・・)はドアを壊れるであろうほど強く叩いた。


「茜!!はやく開けなさい!!いつまで寝てるのよ!」


 

その声は紛れもなく、茜の彼女 皆守柚月みなもりゆづきであった。いつものように綺麗なセミロングの髪をヒラヒラとさせ、整った顔をしているが、今日はかなり怒っている。

 それはもう、般若すら比べものにならないほどの顔で。だが、それでも眠気の方が勝っている茜は起きようとはしない。

 そして痺れをきらした柚月はある行動にでることにした。ブレザーのポケットからおもむろに何かを出してきた。

 なんと!その手に握られていたのは、鍵である。その鍵ををドアに差し込むと、カチャリ…という音とともにドアはロックを解除された。



「茜……。いい度胸ね。彼女を玄関で待たせるなんて……。ふふふ…。」



 家の中へと上がっていった柚月はズンズン奥へと進んでいき、階段を1歩ずつ床に振動が伝わるように上がっていった。

 そして茜の部屋の前につき、ドアノブに手をかけ思いっきり開けた。その音に驚いたのか、茜は目が覚めてハッとドアの方向を見た。

 そこには、明らかに不機嫌そうにしている顔の柚月が制服姿で立っていた。目は汚物を見るような蔑むような冷たい目で見ており、なんとも不気味であった。




「ゆ、柚月!?な、なんで!?鍵しまってるはずなのに!?」




 なぜここに、ここの家のものではない彼女がいるのか、理解が出来ていなかった。

 まぁ、普通に考えて、家の人間ではない者が合鍵を持っている時点で可笑しすぎる。いや、笑えないが…。

 そして冷たい目をした柚月は茜の発言に対して、作り上げられた笑顔で茜をみて言ってきた。




「あら?可愛い彼女が来ているのにどうして開けてくれなかったの?ねぇ…ねぇ?」



 柚月は作り上げられた笑顔で茜のいるベッドへと徐々に迫っていき、茜の逃げ場を完全なくした。

 これはもしかしたら、生命に危機が迫っているのかもしれない。そう感じた茜は震えが止まらなくなってきた。



「ま、待って!柚月!眠ってて……気づかなかったんだよ…。」


 なんというか、この前とデジャブな状況である。そんな言い逃れようとする茜の発言はただ火に油を注ぐことでしか無かった。作り上げられた笑顔から目が開きそこには怒りのこもった冷たい目が茜をしっかり捉えた。



「眠ってて気づかなかった?彼女が玄関で待っているのに?それにいつも一緒に行こうって言ってるでしょ?なんで約束守れないの?

 ねぇ…ねぇ…?私のこと嫌いなの?」



(これはまずい…!柚月の黒化スイッチが…。適切に対処しないと、俺殺される…!)

 

今度は目からハイライトがなくなっており、完全に殺る目になってしまっている。このままじゃ、自分の身体がどうなるかわからない、そう考えた茜は慎重に言葉を選ぶことにした。

 決して、悪い結果に行かないように…。



「そんなわけないだろ?俺は柚月のこと好きだよ?今回は俺が悪かった。ごめん…。」



 しっかり柚月に謝って自分の気持ちを正直にそして丁寧に伝えた。しかし、一旦火がついてしまった柚月はそんなものでは収まるような状態ではなくなっていた。

 柚月は茜のベッドに四つん這いで上がってくると茜の身体を押さえつけて動けないようにした。




「ねぇ?茜…。謝っても約束を破ったことには変わりないでしょ?ということは……。わかっているわよね?ねぇ?」


「待って、柚月!流石に朝からは!?」



 続きを言おうとした茜の唇を柚月の唇が重なり、言葉を言わせなかった。布団は床へと落として寝巻き姿の茜と制服姿の柚月が重なり合うようにいた。



「ちゅ、くちゅ……ぺろ…ちゅ…あ…はむ……ちゅ…。」


 柚月は茜を唇に激しくしゃぶりつき息をさせようとはしなかった。息をしようとする茜の口を自分の口で塞いだ。

 そしてその唇を首筋の方へと移動させ、歯を立ててかぶりついた。


「い、痛い!やめてよ柚月!」


 茜が必死に柚月を止めようとするものの、柚月はその行為をやめようとするどころか、さらに激しくかぶりついてきた。

 歯を立てて激しく噛んだせいか、首筋からはツーっと血が出てきた。柚月はその血も自分の舌で舐めて味わった。

 とはいえ、血は所詮血なので鉄の味しかしないのだか、それがくせになったのか、その傷口からさらに血を吸おうと吸血鬼のようにすすってきた。




「うぁ……やめて…お願いだからやめて…!痛いよ!あぁ…!いやぁ…!」



 柚月の頬は興奮により紅く色づいており、茜は情けなくも、女の子のような悲鳴や声をあげるが、柚月はやめようとはしなかった。ただひたすら茜の首筋を吸血鬼のようにしゃぶりつく。彼女の黒くて異常な一面が垣間見えた時であった。

 やがて満足をした柚月は茜の血をすするのをやめた。茜は柚月にやられた首筋の傷を片手で押さえていた。ズキズキ痛々しく傷が残っており、おそらく制服を着ても目立つようなものであった。

 おそらく、これは柚月が意図的にやったことであるだろう。




 茜は自分のものであると周りに、そして茜自身に自覚させる。その傷はしばらく治りそうにない傷となった。

 こうした柚月の黒化は茜が他の女と話していたり、柚月をあまり構わなかったり、約束を破たりすることでなっていたが、今回のは結構酷かった。

 いつもなら、茜を辱めるような行為ですむのだが、今回は血がでるほど首筋を噛んだのだ。明らかに異常である。



「まぁ、今日はこれくらいで許してあげる。でもね茜…。次に約束破ったりしたら、この程度(・・)ですむと思わないでね?

 もちろん他の女と馴れ馴れしくするのもだけど。」



 柚月は茜ににっこり高圧的ない 笑みを浮かべ脅してきた。その笑顔の中にあった眼差しは、笑ってはおらず、茜の全身を縛り付けるような目であった。その眼差しに茜はこれまでにない恐怖を感じた。

 柚月は約束を破る人間というのがとにかく嫌いであり、それが彼氏である茜も例外ではない。前にも一度約束を破った破りかけた時があったのだが、その時もなだめるのに大変苦労をした。

 今も首筋には痛みが強くはしっており、血が傷口から滴り落ちていた。


「うっ…。痛い……。」



 か細い声で茜は呟いた。それはそうだあろう、柚月に首筋を軽く噛み切られているからだ。当の本人は、その行動があたかも正当なことであると主張しているような顔をしていた。



「どうかした?」


「いや…。なんでもない…。」


 柚月の方は笑顔でこちらの方を見てくるが、今はその笑顔すらも怖く感じてしまう。だが、返事をしなければ不機嫌になってしまうので、すぐに反応を示した。

 とりあえず、学校へ行かなくてはならないので制服に着替えて、茜は柚月と一緒に学校へと行った。



 ―――――――――――――――――――――


 学校についてからというものの、まだ首筋の傷は痛みを伴い、授業に集中することが全くできなかった。

 その痛みはまるで柚月の感情がこもっているかのようであった。また茜が、他の女子から話しかけられ喋ろうとすると、その傷が突然激しく痛みだし会話の邪魔をしてきた。

 結局、痛みには勝てず、授業を休み保健室へと行くことにした。



 トントン……


「失礼します…。」



 ノックをして保健室の中を見渡すが、あいにく、保健の先生は席を外しており全く人がいる気配がしなかった。


「誰もいないのか?仕方ない…出直すか…。」


 先生がいなければ、勝手にものを触るのは良くないと考えた茜は授業に戻ろうとした。

 しかしその時に、カーテンのしまったベッドルームの方から何やら声が聞こえてきた。



「誰か居るの?」


 少しか細いが、透き通った綺麗な声であった。恐らく女性ではないかと茜は思った。この際、誰でもいいから、傷の痛みを和らげるものを貰おうと、その女性に話しかけることにした。


「あの、申し訳ないが怪我したから何か使ってもいいかな?」


「そうなの?良かったら私が診ようか?」

 


カーテンが開き、さっきの声の主が現れた。黒髪に三つ編みの眼鏡をかけた女の子であった。なんというか、病弱な人間とは思えないような雰囲気の女性である。

 その子は親切心にも、自分が施術してくれるというのだ。茜にとってはありがたいのだが、この傷(・・・)を人にあまり見られたくないと思い断ろうと考えた。



「いや、いいよ。自分でできるから。」


「ダメよ。ちゃんとした施術をしないと治りが遅くなるかもしれないよ?」


「そ、それはそうだけど……。」


「大丈夫、私看護師を目指しているからこういうの結構得意なの。」



 そう言うと、棚から消毒液やらバンドエイドやらをだして手際よく茜の首筋の傷に施術をしていった。流石に看護師志望であるか、あっという間にそれは終わった。


「それにしても、どうしたのこの怪我?」


「いや、その…。ちょっと切っちゃって。」


「切ったっていうよりも、噛み切られているみたいだけど……。」



 その女性は茜の傷について鋭い質問をしてきた。確かに彼女の言うとおり、普通にありえないような怪我をしていた。首筋を噛み切られたなんて、動物によるものでない限り想像がつかない、しかしこの柚月がつけたものである。だが、そんなことを言えるんわけがない。


「これは…。動物。うちのペットからやられたものだよ!」



 慌てて、適当な嘘をついた茜だったが、嘘が下手くそな茜は顔にでるか、もしくは声が裏返ったりする。


「いや、嘘でしょ?だって人間がやったような痕ついてるし。」


 茜はギョッとした。何故人間がやったとわかったのか?全く検討もつかない。いや、この女性は何を根拠に言っているのだろうか?と不思議に思った。


「どうして人がやったってわかったの?」



 茜はその的確な洞察力について聞いてきた。



「だって、ペットが自分の主人を噛んで血まで出させるなんてありえないわよ。それに人間のような歯型があったのを見つけたの。」



 な、なんだって?茜は自分からは見ることの出来ないその傷についてとても恥ずかしくなってきた。

 そして続けて、その女性は茜の顔をみて言ってきた。




「あなた、確か茜くんでしょ?」

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