第二章Ⅱ 割と地獄な土曜日曜part1
今回は、生徒会長とであった次の日の土曜の途中までの話です。
柚月の気持ちも少しでてきます。
ではどうぞ!!
今日は土曜日、いわゆる学校のない休みの日だ。
そんな中、茜は部活のために学校に来ていた。土曜日は必ず午前練があるのだ。
「さぁて、今日も部活をやるか!」
アーチェリー部は全国的に見てもあまり多くないので、初心者であっても練習をひたすらすればに全国大会に行くことはできる。
だがそれでも、茜のようにインターハイベスト4という記録はけしてでない。
それほど茜は練習は人一倍取り組んでいる。もちろん家でも体感を鍛えたり、ランニングしたり色々やっている。
「よ!茜!最近来てなかったけど何やってだんだよ?」
1人の部員に声をかけられた。もう弓は用意しており、これからアーチェリー場へと向かっていた。
彼の名前は渋木壮一。2年5組所属で茜の部活仲間だ。背は170ほどだが、顔はかっこいいと思う。
「なんだ、渋木か。まぁ色々あって休んだ。」
「いろいろって、どうせまた皆守さんだろ?ずるいな〜。」
茜は渋木にそう言うと、部室の方へとそそくさといって準備をした。
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やがて部活も終わり、家に帰ることにした。制服に着替え終わりテニスコートを通って行くと部活の格好をした葵を見つけた。
すらっとした足は綺麗でありモデルのようにも見えた。それは置いといて……。
茜は葵に声をかけることにした。
「やぁ。内海。部活中なの?」
茜が葵に声をかけると、それに驚いてビクッ!と動いた。そして恐る恐る後ろを振り返った。
「ひゃっ!か、加賀美。 今部活終わったところ…。」
一瞬驚いて可愛らしい声が出たが、その後はいつものように冷静な口調に戻った。
「よかったら一緒に帰らないか?帰り道同じだし。」
「え?あ、あぁいいけど…。」
茜は葵にそう提案してきた。すると、葵はまた驚いており、少し戸惑っているようにも見えた。
茜は葵にもこんな一面があるのかと、茜はしみじみ思っていた。
「じゃあ、私着替えてくるから…校門あたりで待ってて?」
そう言うと葵は走ってテニス部の部室へと向かっていたのだが、その足はとても軽やかであり、嬉しそうであった。
茜は言われた通りに校門近くで待っていると、制服に着替えた葵がやってきた。
「ごめん。まった?」
「大丈夫だよ。じゃあ帰ろっか?」
「う、うん」
2人は歩き出し家へと向かって行った。茜は葵とははじめて一緒に帰るため少し緊張をしていた。
だが、それは顔にこそでてないが、葵も同じであった。
あまりにも気まずかったので茜は自分から話をふることにした。
「内海はさ、すごいよな。 部活も勉強も頑張ってるし。自分に妥協してないよね?」
「そんなことないよ。ただ、無駄な3年間を過ごしたくないだけ。
そういう、加賀美こそ、インターハイでベスト4だし勉強だってがんばってるじゃないか?」
「いやいや、たまたまだよ。勉強だって内海よりも俺は成績下だしね。」
いざ話をふっかけたものの、あまり会話は弾んではおらず、同じことを繰り返して言っているようであった。コミュ障みたいで少し情けなかった。
「加賀美にはたくさんいいところあるよ。優しいし、私にも話しかけてくれるでしょ?
私あんまり話せる友達いないから……。」
「俺は内海と話していて楽しいって思ってるよ?それに授業寝たらノート貸してくれるし。ほんと助かってるし。」
「そんなこと言ってくれるのは加賀美くらいだよ。」
葵はネガティブに思考している。茜は葵と話したりしているが、普通に面白いと思っているのだ。
だが、彼女は自分というものに自信がもてておらず、自分否定的に捉えている。葵にはたくさんいいところがあるのに……茜はそう思っているのだが。
「内海。もっと自分に自信をもてよ?お前には沢山いいところがあるんだぞ?俺が保証する。」
茜はネガティブになっている内海を払拭するように言った。少し気恥しいのか頬をポリポリかいて言ったが…。
「っっっっ!!!?本当?」
「あぁ、ほんとだよ。だからそんなにネガティブなるな。」
葵は茜に確かめると、少し目をそらして答えた。
そしてポツリとつぶやいた。
「ありがとう……。」
やがて、別れ道となりそれぞれの家路へと帰ることにした。
「じゃあな内海!また月曜!」
「うん。またね。」
2人は互いに挨拶をかわしそこでわかれた。
今はもう午後12時をすぎており、お腹が空くころであった。
「腹減ったな…。さっさと帰るか。」
茜は残りの距離を全速力で走ることにした。
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ガチャ……
扉の開く音がした。翠は仕事で家を開けているから、普通考えてしまっているはずだが、例外というものが1つだけあった。
「あ!おかえり〜!茜!」
リビングに入ると柚月が、茜に抱きついていきた。それに対し、茜も同じように柚月を抱きしめた。
お昼ごはんを用意して待っていてくれた。メニューはミートソースパスタだった。
「ただいま。ていうか柚月、せめて電話かLIN○してよ。泥棒と間違えるからさー。」
「もぅ、可愛い彼女がご飯作って待っていたのに。」
抱きついていた柚月が上目遣いで茜を見ていた。しかし、別にそこまで怒ってはなく、どちらかというと楽しそうであった。
「わ、わかったよ!そんなこと言わないから。」
「ふふ。怒ってないよ?」
そんな感じでイチャつきつつ、パスタを食べることにした。
「今日は少し遅かったわね。」
「まぁね。部活がすこし長引いたんだよ。」
「ところで茜……。」
ミートソースパスタを音を立ててすすっている茜に対し、柚月が笑顔で何か聞いてきた。
「誰か別の女と帰ったでしょ……?」
柚月がそういった瞬間笑ってはいるものの、目はハイライトが消えており、不気味な笑みへと変わった。
それを見た茜はぶるっ!と身震いをした。こういう表情をする柚月は大抵何をしでかすかわからない。
ただ、嘘をついたところでどのみち知られてしまう。それに、別にやましいことはないから隠す必要もないのだ。
というか、なぜわかったのだろうか……。
「部活終わりにたまたま内海に会ってね。帰り道も途中と一緒だから帰ったの……。」
なだめるように恐る恐る言い、柚月の顔を見ると笑みは消えておりハイライトのない目だけがあった。
「内海さんと帰ったの?私がいるのに……?」
「いや、でも帰り道同じだし…。」
「私がいるのに……?」
「いや、あの…」
「私がいるのに…………?」
「………」
柚月は同じ言葉を何度も繰り返し、茜の方へと1歩ずつ歩み寄ってきた。その姿を見た茜は恐怖のあまり椅子をたち1歩1歩後ろへ退いていった。まるで、ネズミを追い詰める猫のようでもあった。
「どうして逃げるの?茜?」
「お前何かする気だろ?」
「何もしないわよ……?」
何もしないと言っているが、そういう顔には見えない。いや明らかに何かをしようとする顔をしている。
簡単にいうとこの姿は黒柚月状態である。もう茜がどれだけなだめようとも無駄である。
「待って!柚月!!話せばわかる!ていうか、何もやってないって!」
「何もやってない…?やってるじゃない。私以外の女と帰ったっていうことよ!!」
柚月は後ろへと逃げようとしている茜の身体をロックし、リビングのソファへと押し倒した。
ドサッ!
「うっ!ちょっとお願いしますからやめて柚月さん!」
「い・や・よ?」
柚月はそう言うと茜の制服に手をかけ上半身裸の状態にした。そして茜の鍛え上げられた上半身は露わになった。
「さぁ、茜?最後に言い残すことはない?」
笑ってはいても目は笑っていない柚月
「どうかお慈悲を……。」
「い・や・だ」
茜の願いも虚しく、またお仕置きという名の淫らな行為が始まった。茜の首筋にカブリつきいつものように始まった。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
願いが聞き入れられず、絶望に瀕した茜のこえが家中に虚しく響き渡り、やがて聞こえなくなった。
お仕置きが終わり柚月は満足気な顔をしていた。対して茜の方は体操座りでしくしくと泣いており、着ていた上半身の制服はぼろぼろにされていた。
「茜も可愛い声だすわね。楽しいわ〜。」
「もう……。痕が残るじゃないか………。」
「茜は私の物って証よ。最近は特に、注意しないとね。」
柚月の言う通り、茜に告白をしてきた里緒のような人間を茜に近づけさせないために、このような行為をしなければ不安でもあったのだ。
それは身内である翠も例外ではない。あのブラコン女は何か必ず行動を起こすかもしれない。
そんなことをさせないために柚月のこの行為は不可欠である。
「茜〜。暇だしゲームしようよ〜?」
「なんのだよ?」
「モ○ハン」
「わかった。じゃあちょっと準備してくるから待ってて。
後、着替えてくる…。」
茜はゲーム機を準備するためとぼろぼろにされた制服を着替えてくるために、1度自分の部屋へと戻っていった。
「はぁ………。全くもぅ、あの天然女ったらしは……。」
柚月は茜がリビングをでた後、大きなため息をついていた。それは茜に対するため息である。
茜は、意外にも女子に人気があり、それは彼女である柚月にとって嬉しいことでもあるが、同時に嫌なことでもあった。
中学校2年生の時、ずっと好きだった茜の彼女にようやくなれたのだ。
柚月は本当は、茜をずっと独占していたい、他の女を近づけさせたくない。そう思っている。
実際、茜が他の女とはなしているだけでイライラする。そんなこと思いたくないのに……。
「茜のばか……。もっと私を見てよ…。私しか見ないでよ…。」
茜がいないリビングでそう呟いていた。自分でもおかしいとはわかっているが、自分でも止めることのできない感情だった。いや、感情なのかもわからない。
その後、茜がゲーム機を持ってやってきた。
「ごめんちょっと探すのに時間かかった……どうしたの?」
茜はゲーム機本体を持ってきており、服もジーパンに黒シャツ姿に着替えていた。
何かブツブツと呟いていた柚月に不思議そうに尋ねてきた。
「うんうん…。なんでもない。じゃあやりましょ?」
「そうか?ならいいけど。」
さっそく本体をリビングのテレビに差し込みモ○ハンをはじめた。
モンハ○に熱中してはや3時間近くになり、そろそろ帰る時間となってきた。
茜は柚月を家まで送ることにして、今はその帰り道の途中であった。
「そろそろ帰るわ。明日は暇?」
「いや、明日は、家の手伝いしなくちゃならないんだ。ごめん。」
「そう……。まぁいいわ。今回のことは何処かできっちり責任とってもらうからね?」
「はい…。」
その答えに柚月はふふっと茜に笑いかけた。茜をいじめている時の柚月の表情はとても豊かである。
そんな会話をしていると柚月の家へと到着して見送っていった。
「また月曜ね。あのおん……翠さんに変なことしないでね?」
「するかよ!?」
「冗談よ。じゃあね茜!」
家の前で柚月は手を振り家の中へと入っていった。そして、茜は柚月が家に入っていくところまで見送り自分の家へと帰ることにした。
家に帰ると翠の靴があった。どうやら柚月を見送っている間に帰ってきたらしい。
「ただいま。姉さん」
「あら〜〜おかえり〜〜あかね〜〜〜。」
いつもの翠とは違いとても陽気であった。それに顔も赤くなっており、おそらくお酒を飲んできたのだろう。
「姉さんお酒くさいけど飲んできたの?」
「そうよ!玲と居酒屋でね〜〜。はははは!」
翠は何が面白かったのかわからないが、とても爆笑していた。これはおそらく、そうとう酔っているな 、と茜は感じ取った。
酔った翠の相手をするのはかなり大変なのである。猛獣のお世話をするくらいに。
「茜はどこいってたの〜〜〜?家にいなかったけど。」
翠は茜が家にいなかったことについて、突然聞いてきた。
「あぁ、柚月を送っていたんだよ。」
ついさっきの出来事を翠に包み隠さず話した。それを聞いていた翠は少し不機嫌になってきた。
「また柚月ちゃん?私はあの娘嫌いなのよねぇ〜。」
翠は自分の思っていることをストレートに言った。だがあまりにもストレートすぎて、茜は苦笑いするしかなかった。
「どうして姉さんはそこまで柚月のことが嫌いなの?
この前も喧嘩みたいになってたし…。」
この前の木曜日、あの告白の返事を返そうと屋上にいった日のことである。柚月と翠は茜の家で多少口論をしていた。
「私から茜を奪おうとしているからよ。たった1人の大切な弟を。」
たった1人の大切な弟……。この言葉にはとても深い意味が込められていた。
柚月にとって茜というものは、そして翠にとっての茜というものは……。
立場の違う2人の思いが交錯しています。
これからどうなっていくのでしょうか?
 




