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six in tha morning
名前は特にない。
1。 ゼロでもいい。
zeroと仲間は呼ぶ。
癖のついたかかとを直しながら、表通りに出ていった。
早朝から町は活気がある。
露店の市場はメインストリートの両側を埋めるし、隣町からも人は流れてくる。
朝の凜とした空気と、空腹を刺激する煙と、四季それぞれの風とが混同する。
この町の匂いだ。
『zero!早いな。寝てんのか?』
この町に越してきて最初に出来た仲間だ。
zeroは缶コーヒーをひょいと放った。
『ジム。調子はどうだ。』
『葉巻もくれよ。』
zeroの稼ぎは葉巻だ。もう3年になる。
ジムは細巻きの葉巻に火をつけると、2度深く吸い込み濃い真っ白の煙を吹き付けた。