スイーツ男子
朝、目覚めとともに枕もとに置いた携帯電話に手を伸ばす。寝ている間に返信がきたのではないかと期待するが、ディスプレイにはひとつの通知もない。
わかっていたことだった。それでも一縷の望みを抱くのは僕の甘さなのだろうか。
メッセージを送って36時間が経った。“既読”マークがついているから読んだことは間違いない。それでも返信はこない。
家を出る際、わざと携帯電話を部屋に忘れることにした。日中、連絡がくるのではないかと絶えず通知を確認する自分の姿を想像するに耐えられなかったのだ。
こっちから連絡した方が楽だろうに、口実を探して先延ばしにしている。
いっそのこと口悪く罵る事でもできれば、こんなにもウジウジと悩むこともなく少しは気持ちが晴れるのかもしれない。
しかし、それができないから僕は僕なのだ。僕はただただ自分に甘い、スイーツ男子なのだろう。