プロローグ
この小説には残酷な描写が少々あります。苦手な方は控えてください。
夜の東京の喧騒はとても騒がしく普通一人で歩くのは忍びない。
時刻は午後11時前後。東京の街の中でもとくに夜騒がしい場所。
そこに高校生くらいの少年が歩いていた。
まだ若さが目立つ顔立ちに少年とは思えないほど鋭い目つき。
その若さはともかく服装は周りに溶け込んでいないような学生服。
夜の街では目立つような服装。
警察に見つかったら確実に補導されるであろう。
そんな彼は紙切れを一枚真剣に見つめていた。
紙切れと言ってもそれは普通の紙切れではない。
招待状だ。
彼はとある催しに招待されているのである。
ふと、彼は足を止めた。
何の変哲のない街に出来たただの人だかり。
彼の瞳は確実にそちらを向いている。
「へへへ……、譲ちゃんおれっちと遊ばない?」
「いいことしようぜぇぇじゅるり。」
「こ、困ります。私、用があるんです。」
ベタだった。とてもベタで非現実的な光景が繰り広げられていた。
ガタイのよい二人の男が一人の少女に詰め寄っているのである。
少女は意外と可愛らしい。華奢なのにしっかりしている感がある。
肩で切りそろえられた栗色の髪は少女の可愛らしさを強調しているようであった。
彼はその姿をみてむかつき20%殺気20%めんどくさい60%のなんともいえない表情を浮かべた。
「いいじゃんいいじゃん。減るもんでもないんだし。」
「そうだぜぇぇじゅるり。」
「じ、時間が減るから。やです。」
と人だかりの中心はいたちごっごを繰り広げているみたいだ。
助けようか。助けまいか。彼の中で葛藤が生まれる。
「時間なんて山ほどあるよ。夜はながいんだし。」
「じゅるりじゅるりじゅるり。」
なんだかかなり気持ち悪い二人組だ。
彼は自分が気持ち悪いのであの少女を助けようと思った。
「や、やめてください。やめないと……」
その時だった。彼が気配を感じたのは。
気配と言っても人がいる気配ではない。人が何かをじっと凝視するような殺気をおびた気配。
危険を感じ彼は人だかりへ向かった。
しかし、それはもう遅い判断だった。
「やめなよ。」
人だかりの中に少年が現れた。
年齢はおそらく彼より下だろう。
少年は肩に縦に長いショルダーバックを下げておりその服装は珍妙。
ボロボロのマントのようなものを羽織り旅人といった感じがある。
さらにそのマントにはフードがついていてレインコートのようだった。
そんな格好の少年は二人組の男の前に出た。
「なんじゃぁあ?このクソガキ。」
「へへへ、俺たちに逆らうのか…じゅるり。」
「やめてあげなよ。その人、嫌がってるよ。」
少年はすたすたと歩き少女の手をとる。
それに怒ったのは男。
「おい、ガキ。なめんじゃねぇぞ。」
男はこぶしを握る。
「へ、兄貴は空手道場に通ってるんだぜぇぇじゅるり。」
たしかに男の構えは空手をやっている風ではある。
「往生せぇやっ!!」
男が少年に殴りかかった。
刹那、少年のマントの中から少年の右手が出てきて綺麗に流す。
その結果、男はいきおいよく吹き飛んだ。
普通の人間には男が何故吹き飛んだのか理解できるはずがない。
だが、一人だけ理解できるものがいた。
彼である。
彼は音もなく少年に近づくと声を掛けた。
「おまえ、超えたな。」
「え?」
少年は間の抜けたような声を出した。
「とぼけるな。超えただろ。人間を。」
「超えた?」
少年は彼の言っている意味がわからないようだ。
「イテテテ……」
「あ、兄貴…じゅるり。」
「お、おぼえてろよ。」
いつの間にか二人組はどこかにいき。
人だかりもなくなり始めた。
彼はもう一度少年居に問いかけた。
「今の技。普通の人では理解できない……いや、理解できるはずがない。なぜならお前の攻撃が早すぎたからだ。」
「気づいてたの?今の業。でも超えるなんて聞いたことないよ。」
「……」
彼は少年の言ったことに絶句した。
「まさか、自力で超えたのか?」
「超えた超えたってしらないって。」
押し問答が続く。
「ひゃあっ!?」
短い悲鳴が響いた。
発信源はさきほどの少女。彼と少年は二人揃って少女の方へと向いた。
「お。お手紙が……。」
そう言って少女は地べたを探し始める。
彼は少女が探しているものが手紙と言うことで彼の足元に落ちている手紙を取った。
「………っ!?」
手紙をとって彼は気づいた。
その手紙が自分の持っている紙切れと同じ内容だと。
彼の表情に驚きが生まれる。
「あ、ありがとうございます。」
少女は彼の表情など一切見ず礼を述べた。
手を差し伸ばし少女は首をかしげた。
なぜなら、彼が手紙を返してくれないからだ。
「あの……」
「お前も招待されたのか?」
少女がしゃべろうとした瞬間彼は言った。
「招待……あなたもされたんですか?神様に。」
「ああ、俺もほら。」
そう言って先ほどの紙切れを見せる。
「あ……ほんとだ。」
少女は顔を綻ばせた。
「ねぇ。」
先ほどの少年が声を掛ける。
「それってもしかして神様からの招待状のこと?」
「……っ!?お前も……なるほどな。」
「もしかしてあなたも招待されたの?私、この集合場所がよくわからなくて。」
少女は再び喜ぶ。
それを見て彼は嘆息した。
「お前ら、これがなんなのか知ってるのか?」
彼の言葉に二人は固まる。
内容について良く知らないようだ。
「じゃあ、説明を始めるぞよく聞くんだ。」
こうして3人は出会った。
これが必然なのかはたまたただの偶然なのか。
それはまだ誰も知らない。
はじめまして、今回始めて投稿しました。文章力が少なく読みづらかったりしますがよろしくお願いします。