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強気美人、名前を後回しにする ~激辛パフェから始まる、ちょっとチョロい出会い~

作者: 春凪とおる
掲載日:2026/04/08

——翌日。


「……来たわね」


 私は腕時計に軽く視線を落としてから、顔を上げた。

「来ますよ、約束したんで」


 当たり前みたいに隣にいる。

 それが、少しだけ不思議だった。


 ——来ないかも、って思っていたのに。


「今日は何するんですか?」

「決めてない」


「またですか」

「行き当たりばったりのほうが面白いでしょ」


「昨日もそれで失敗してましたよね」

「失敗じゃない」


 私は髪を指で軽く払って、歩き出す。

春の空気が、少し軽い。


「……じゃあ、とりあえず歩きます?」

「案内しなさいよ」

「はいはい」


 並んで歩く。

 沈黙は、意外と苦じゃない。

 足音が、やけに揃う。


「……ねえ」

「はい?」


 私は少しだけ視線を逸らした。


「あなた、名前は?」

「遅くないですかそれ聞くの」


「今思い出したの」

「忘れてたんだ」


「重要じゃなかっただけ」

「ひどいなあ」


 少しだけ、笑う。


「悠真です」

「……そう」


 私は小さく頷いて、視線を戻す。


「そっちは?」

「レイナ」


「知ってます」

「は?」


「さっき呼ばれてましたよ、店員さんに」

「……」


 聞かれてた。

 私は無言で前髪を整えた。


「……じゃあ、最初から名乗りなさいよ」

「聞かれなかったので」


「今聞いたでしょ」

「タイミング逃したんで」


「言い訳ね」

「そうですね」


 ——少しだけ、空気がやわらぐ。


「……ねえ、悠真」

「はい」


「今日は外さないわよ」


 私は袖口を軽く引いて、言い切る。


「毎回言ってません?」

「今日は違うの」


「根拠は?」

「なんとなく」


「一番信用できないやつだ」

「うるさい」


 でも。


 その“なんとなく”は、昨日より少しだけ。


 当たる気がしている。


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